MSN産経ニュースより
【トップランナーに聞く】グーグル村上憲郎社長
2007.12.31 09:57
村上憲郎(むらかみ・のりお)昭和45年、京都大学工学部卒。日立電子、日本DECを経て平成4年に日本DEC取締役。6年に米インフォミックスソフトウエア副社長。9年にノーザンテレコムジャパン副社長、10年に社長。11年にノーテルネットワークス社長、13年に ドーセントジャパン社長。15年より米グーグル副社長兼日本法人社長。大分県生まれ、60歳。


――2007年、ネット業界で一番関心があった出来事は
「やっぱり動画共有サイト。社会的な認知を得たんじゃないか。違法投稿などの問題は完全には解決してないが、それで良しとはしていない。著作権を保護しながら、ユーザーの利便性を高めるよう、どう折り合いを付けていくか。違法投稿を人の目で全部削除する企業もあるが、グーグルは機械的に削除できるソフトを開発し、コンテンツのオーナーに配布した。削除するか、残して収益につなげる方策を考えるかの判断を委ねた。こうした形ができあがりつつあることが非常に印象的だ」


私は、著作権関連法規が追いついていけるのか、心配しています。国際的にも。インターネットの世界は国内法規ではどうにもならないような気がしています。大変だなあと思う今日この頃です。


――違法投稿削除ソフトの採用企業は増えているのか
「詳しくは話せないが、10月から配布している。まだ試用版だが、十分使用に耐えられる」

――他のサービスでお勧めは
「本の内容(文章)の一部から書籍を探し当てられるブック検索を、出版社の協力を得て7月にスタートした。図書館の古い蔵書の検索事業もあり、慶應義塾に世界で26番目、アジアでは最初の大学として参加いただいた。2つを日本で同時発表できた意義は大きい」


これまたすごい話ですね。ここまで進んできているとは驚きです。
この行以下は、難しいです。
まあとにかく便利な世の中になることでしょう。


――興味深い取り組みだ。グーグルにおける位置付けは
「世界のあらゆる情報を整理し、ユーザーが情報にたどり着くために簡便で迅速で的確な方法を提供するというのが会社のミッション(使命)だ。動画共有サイトも書籍の検索も、その流れの中にある。インターネットの中の情報検索から、ネットに載っていなかった書籍や動画に踏み込んだ。コンテンツはあくまで著作者、クリエーターのもの。それを私どもがお預かりすることで、ネット上で公開する道筋をつけた。オフライン情報のオンライン化が画期的だ」

――世界中の情報は無尽蔵。どのように索引化するのか
「ウエブ上の検索は玉石混淆だが、グーグルは関連度の一番高い情報を検索結果の上位に出す。正しいか間違っているか、美しいか醜いか、道徳的に良いか悪いかという判断は停止している。そんな判断をグーグルごときがやれるわけがない。あくまでもウエブ上の情報のありかを指し示しているだけだ」

――昨年来、CGMが話題になった。この分野の方向性は
「SNSか、ブログか、それともCGMという括りがいいのか。とにかく狭い括りにとどまらず、ユーザー発信型プラットフォームが融合してくるのではないか。ブログやユーチューブやSNSは(役割が)限りなく似てきた。境目がぼやけ、同じような人達が集まるコミュニティ的な形になってきた」

――携帯電話のOS「アンドロイド」の開発も発表した
「通信ネットワークは携帯電話会社、端末はメーカーが作り、グーグルはOSとインターフェース、アプリケーションを無償で提供する。そんな風に水平分業するのがこれからの携帯業界の姿だと提唱している。来年の後半には日本でもアンドロイド携帯が出てくる」

――米グーグルは百万キロワット級のエネルギー開発にも取り組むと発表した。グーグルが何をやりたいかわかりにくい
「サービスを無償で提供するために、廉価なサーバーを内製するなど、非常にコストを抑えている。しかし電力価格はコストダウンしようがない。そこで自分たちがソリューション(問題解決方法)の一部になりたいという思いがある。石炭よりも安いクリーンなエネルギーで解決することに少し投資したい」

――さらに巨大なコンピューターシステムを作っていくのか
「もちろん。使命を遂行する上で、どうしても必要だ。われわれは世界の情報のまだ数%しか整理できていない。この仕事は200年かかるというくらいの覚悟でやっている」