MSN産経ニュースより
食品偽装対策、4省庁で連絡協 法律の一本化論も (3/3ページ)
2007.12.30 11:11
今年、全国で発覚した「食品偽装」。政府は来年度、農林水産省、厚生労働省、公正取引委員会、警察庁の4省庁間に「食品表示連絡協議会」を新設し、悪質業者に監視の目を光らせる方針だ。しかし、食品表示には日本農林規格(JAS)法、食品衛生法など、いくつもの法律と官庁がある。それぞれが立ち入り調査し、罰則を適用する「縦割り」は、消費者だけでなく企業側にも分かりにくく、相次いだ偽装を教訓に、食関連法の一本化を求める声も出ている。(守田順一)


この記事の書き出しにあるように、法律にも問題があったと言わざるを得ないでしょうね。


■違反3回
10月末、福岡市の店で菓子などの期限シールの張り替えが発覚した「船場吉兆」。食品衛生法に基づく福岡市の調査に続き、農水省が大阪市の本店を調査。さらに大阪府警が不正競争防止法違反(虚偽表示)容疑で本社を捜索した。
健康を害する可能性のある期限切れ商品の販売は食品衛生法違反。期限や牛肉などの産地を偽った表示はJAS法違反。これらの虚偽表示で不当な利益を得れば不正競争防止法違反となる。
食品衛生法は、三重県の和菓子メーカー「赤福」のように即時の営業停止処分が可能。不正競争防止法違反は警察が捜査を行い、北海道苫小牧市のミートホープ社長のように、経営者が逮捕されるケースもある。
ところが、JAS法は同じ違反を3回繰り返さない限り罰金に至らず、適用の実績もない。農水省が11月初めに警察庁と結んだ連携強化の協定は、悪質な業者への厳罰化を求める世論に押されたものだった。
■押しつけ合い
JAS法は、違反業者の営業区域によって都道府県と農水省が対応を分担。ミートホープ事件では、道庁と農水省に告発が相次いだが、休眠していた東京営業所をめぐって互いに、対応を押し付け合った。また、ミート社の偽装はJAS法で規定しない業者間取引だったため、腰が引けたともみられている。
その後も、宮崎県のウナギ、名古屋コーチン、秋田県の比内地鶏などに偽装や疑惑が浮上。いずれも県が調査を担当したが、地場特産品の普及・振興を担う立場で、業界全体の実態に迫れたのか疑問を残している。


非常に難しい取扱いであったと思います。


また、脂身を注入した馬肉を「霜降り」と不当表示していた大手居酒屋チェーンなど5社に公取委が今月、排除命令を出したが、同じ肉でも外食メニューを問えるのは景品表示法違反(優良誤認)だけ。


なんだか複雑ですよねえ。


同じ外食でもマクドナルド一部店舗におけるサラダの調理日の改竄(かいざん)の場合、各保健所は「食中毒は起きていない」と静観。農水省外食産業室が同社に報告を求めたが、そもそも外食を規制する法がなく、消費者にはわかりにくくなっている。


実は浪人中は、大手外食チェーンの各店舗の厨房を見せていただく機会がありましたが、正直申し上げて、勇気を振り絞らないと、大手外食チェーンでは飲食をする気にはなりません。
全部が全部とはもちろん言いませんが、「え~」って思うことは多々ありましたし、それはホテルに勤務していたときも、なるほどなあ~ってことがたくさんありましたからね。


■現行法の枠内
政府は17日、「生活安心プロジェクト」を発表。農水省に「食品表示特別Gメン」20人の新設や、政府として相次ぐ食品偽装に厳しい姿勢を示すため、食品表示に関係する4省庁で「食品表示連絡協議会」も設置。都道府県との連携を強め、迅速に対応していく方針が盛り込まれた。


私個人の見解としては、「法を知らない」ことがいけないことなのですが、「法を知らせる」ことを怠った側の問題もあるかもしれないのです。取り締まる側が、知らしめる努力をもっともっとするべきなのかもしれません。


全国的に名前が知れ渡っていても、今回の謝罪や事情説明の記者会見を見ると、やはりというか、失礼ながら、地方の中小企業を脱していない感じがしました。そもそも、中小企業は、法令遵守はわかっていても、かまっていられない、という意識がどこかにあると思います。その企業でエンドユーザーに直結していれば、まだ経費のかけ方の方向性が見えるでしょうけど、さてさて、大企業の下請けや、さまざまな理由によりギリギリの企業経営を余儀なくされている企業にとっては、法令遵守の観点がどうしても甘くなるのではと思います。これは、法令遵守をしないというより、今回のそれぞれの事件を見ても、知識がない、知識を得る機会を持つことができない、のではないかと思うのです。


しかし、すべて現行法の枠の中での対応の上、霞ケ関特有の「縦割り行政」を打破できるのか課題も多い。
食品行政への提言を行っている市民団体「食の安全・監視市民委員会」は政府に、食の法律を一本化して摘発や命令、罰則などの権限を強化するよう要望している。同委員会によると、国は平成7年に製造年月日表示を廃止し、期限表示の基準設定を業界任せにした。このため企業側に混乱が広がり、偽装への罪悪感が抱きにくくなっているという。
水原博子事務局長は「国民は食品企業にだまされることに怒っている。国に要望に出向いても相変わらず省庁間をたらい回しにされる。まず法を一本化して国の責任を明確にしなければ消費者の疑念は払拭できない」と話している。


そういう意味では、末端の行政機関と事業者が常に切磋琢磨するようにするのか、市の経済関係部署などが勉強会を辛抱強く開催するかですね。意識の少ない事業者は、行政がそういうことを行っても、参加しないので困りものです。参加しない事業者こそ問題事業者だったりするのです。