ある市役所の事業の説明会に行ってまいりました。総体的には、関係職員の皆様お疲れ様でしたという感じです。日頃の市役所に対する不満のはけ口にしている方が数人いました。あ~、これじゃあ大変だなあというのが実感。いわゆるクレーマーの類の人がいました。
今回に限らず、多くの苦情を聞く機会があると、その大半が、「自分の考えが通らないと怒る」ことです。自分自身が「善」であり、自分自身が「正義」であり、自分自身以外は悪であり、市役所もなにもアホで、ボンクラです。ひどいもんです。自分中心に地球が回っている感じです。市役所は万能でもなければ、無尽蔵にお金があるわけでもないのにです。あれもやれ、これもやれ。本当にひどいものです。そして自分の意見が通らないと許せないんですね。
社会が多様化し、個人個人の生活が多様化し、豊かになったからこそ、人々の欲求がどんどん増殖し、その欲求が多種多様になり、「公」で行える限界点をはるかに超えているように思います。
先般も、ある陳情が提出され、その関係者から説明をいただきました。内容そのものは納得できるものですから、お手伝いはしたいなと思いますが、数ある市役所の事業の中でプライオリティを考えた場合、非常に難しいということや、限られた予算の中でどこまで市民要望に応えていくかということになると非常に難しいものです。その陳情者にとってはプライオリティの高いものであっても、市役所全体の中では非常に低いケースは多々あるのです。
地方自治法の一部引用をしましょう。
第一条の二 地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。
こういうことなのです。特定地域の特定住民のための役割ではないのです。総合的という部分が重要だと思うのですが、今は住民要望が多様化したために、相反する事象、要望がたくさんあり、時代の変遷とともに、価値観の変化なども加わり、業務を行うための判断さえも難しくなっているのが現状です。したがって、「何もしないほうがいい」と思いこんでいる職員もおり、そういう部分が市民との軋轢を生んでいるのかもしれません。軋轢というのは適正でないかもしれませんね。「市民の不満」かもしれません。
第二条 地方公共団体は、法人とする。
○2 普通地方公共団体は、地域における事務及びその他の事務で法律又はこれに基づく政令により処理することとされるものを処理する。
○3 市町村は、基礎的な地方公共団体として、第五項において都道府県が処理するものとされているものを除き、一般的に、前項の事務を処理するものとする。ただし、第五項に規定する事務のうち、その規模又は性質において一般の市町村が処理することが適当でないと認められるものについては、当該市町村の規模及び能力に応じて、これを処理することができる。
背伸びはいけないのです。やれる範囲でやりなさい。という法律ですよね。
○4 市町村は、その事務を処理するに当たっては、議会の議決を経てその地域における総合的かつ計画的な行政の運営を図るための基本構想を定め、これに即して行なうようにしなければならない。
きちんと議会(市民代表)の承認を得て、仕事をしてね。しかも、計画をきちんとして、その計画通りにね。ってことです。ですから、総合的に立てられた計画以外のことを、個人個人の感覚でものを言われてもちょっとなあ~。ってところです。
○14 地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。
重要なことはここです。たぶん、あれこれ言ってくる人は、自分の家庭生活においては、意外に節約家
だったりするんだと思います。大体、市役所のお金は皆さんからの税金ですから、きちんとここに書かれているような使い方をしなければならないのです。それなのに、前述したように市役所のこととなると、俄然無駄使いをさせようとするのです。我慢しろというのではありません。市民全体の幸福のために、を考えるべきです。
ここまで個人主義が蔓延していると恐ろしささえ感じます。だからこそ、先般、町村官房長官の発言の記事をブログに掲載させていただきましたが、徳育の教科化を頑張っていただきたいものです。教育って重要です。個人主義で育った方々が、問題行動を起こしていることを否定できない社会現象がおきつつあると思います。
○16 地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはならない。なお、市町村及び特別区は、当該都道府県の条例に違反してその事務を処理してはならない。
○17 前項の規定に違反して行った地方公共団体の行為は、これを無効とする。
市役所は法律違反をすることはできないのです。