MSN産経ニュースより

【主張】カートリッジ訴訟 消費者目線で権利論議を

2007.11.11 02:52

プリンター用インクカートリッジの特許権侵害訴訟で最高裁は、キヤノンの訴えを支持し、リサイクル品の販売を差し止める判決を下した。

私の知人で香港在住の英国人が、インクのビジネスをやってうまくいっていると言っていましたが、日本はダメだということでした。なんでかなあ、って思っていろいろ調べていたら、いわゆるサードパーティ製のインクカートリッジは、軒並み訴訟を抱えているようでした。調べれば調べるほど問題ありでした。

それを更にいろいろな方に雑談で聞いている限りでは、前にもちょっと書きましたが、プリンターは製造コストの積上げにより価格設定では大赤字で、それを交換カートリッジ式インクでプリンター製造コストもペイできるようになっているとのことで、サードパーティ製インクなんてのは邪魔な存在であって、徹底排除をするのだと。なるほどなあ。と思いました。

リサイクル品は、量販店などで回収した使用済みカートリッジにインクを再充填(じゅうてん)し、純正品より2~3割安い価格で販売されている。問題のリサイクル品は、再充填法がキヤノンの特許権を侵害していると判断されたのである。

判決では、知的財産権保護と環境問題を視野にいれたリサイクル品の折り合いをどうつけるかが注目された。

これについて最高裁は、キヤノンの特許権を尊重しつつ、特許権侵害の判断は、純正品の属性、加工の内容などを総合的に考慮するとした。個別に判断するというのだ。確かにこれでは、リサイクル品が特許権を侵害するかどうかを事前に予測するのは難しい。

それでも、特許権問題は多様で複雑だ。セイコーエプソンのリサイクル・カートリッジをめぐる訴訟では最高裁はエプソンの特許権自体を無効とした。このように、司法判断を積み重ね、ルールを確立していくことが現実的だろう。むしろ、安易なリサイクル品排除につながりかねない画一的な判断基準を避けたことを評価したい。

忘れてはならないのは、多くの消費者が「純正品は高い」との不満を抱いている事実だ。

プリンターメーカーは「品質・信頼性の維持に必要なコスト、技術開発料も加味した価格」と説明する。しかし、メーカーは本体機器の価格を抑える一方、カートリッジを高くして収益を確保している。これが純正品価格を高止まりさせている理由の一つだ。

私の知人の話では、単純に、まったく同じ製品を作って売るだけですごく儲かるんだよ~って話だったのです。そして、世界各国のあちこちに工場を作って、それぞれの国のビジネスが成功しつつあるらしいのです。その話を聞けば聞くほど、おかしいのは、日本だけ。まあ、ひょっとすると手間隙、資金に問題がなければ世界中の類似工場、会社を訴えるのかもしれませんが、まあ日本市場だけでもって感じで、他国の法律の問題もあるのでしょうかねえ~。

インクは消耗品だ。近年はファクシミリ兼用プリンターも普及し、インク消費量は増えている。これからシーズンを迎える年賀状印刷の際は、相当量のカートリッジが必要になる。「少しでも安いものを」というのは消費者の当然、かつ切実な欲求なのだ。

リサイクル業者だけでなく消費者団体も、判決を機にリサイクル品排除の動きが強まることを警戒している。

知財保護が重要なのはいうまでもない。同時に、保護される側も、消費者の目線を常に意識すべきだ。そうでなければ、知的財産の全体の議論をゆがめかねない。

私は、最初からプリンターの価格政策が違うんじゃないのって思いが強いのです。法律の関係もあるのかもしれませんが、オープン価格で消費者が、価格の相場感(この漢字をあてる単語が無いようなのですが)(大体の相場イメージとでも言うのでしょうか)がつかめないようにして、販売者(店舗側)の販売戦略に任せる。そういうことにより、プリンターのこういう販売方法に巧みにだまされているとは言いませんが、いかがなものかなあと思います。

価格というのは、コストから算出されるのが本来だろうと思います。それが消耗品という別の商品(製品)と一体での販売戦略が構築される。販売戦略に一体ということがあってもよいのですが、価格相場イメージが安価に形成されることが納得できないのです。品物によっては、全部のインクカートリッジを2回交換すると、もうプリンター1台買うことができちゃう。やはり異常だなあと思います。