より。

このMSN産経ニュースのありがたいことは、重要な記者会見は、全文をかなり早い時間で文字にしてくれることです。各社記者による要点報道は、ともすればミスリードになりがちで、報道各社全部の記事を総合的に読み砕いていかなければ信用できません。最近は、YouTubeやニコニコ動画などで、「生」に触れやすくなってきていますから、今度は報道各社の記者の日本語能力がばれてしまうのです。だからむしろこういう形で全文をそのまま記事にしていただく方がずっと信頼性が高まるのではと思います。これらを記載し、会社独自の考え方、記者独自の考え方、捉え方を記事にすればよいと思うのですが、いかがなんでしょうか。

MSN産経ニュースより

「けじめをつけるに当たり」

2007.11.4 17:42

民主党の小沢一郎代表が4日夕、都内の党本部で行った辞任表明の記者会見で、冒頭読み上げた「民主党代表としてけじめをつけるに当たり」と題したコメントは以下の通り。

民主党代表として、けじめをつけるに当たり、私の考え方を一言申し上げる。福田総理の求めによる2度の党首会談で、総理から要請のあった連立政権の樹立をめぐり、政治的混乱が生じたことを受け、民主党内外に対するけじめとして民主党代表の職を辞することを決意し、本日、鳩山由紀夫幹事長に辞職願を提出し、執行部をはじめとして同僚議員の皆様に私の進退を委ねた。

ひとつ。11月2日の党首会談において、福田総理は衆参ねじれ国会で自民、民主両党がそれぞれの重要政策を実現するために、民主党と連立政権を作りたいと要請するとともに、政策協議の最大の問題である、わが国の安全保障政策について、極めて重大な政策転換を決断された。

ものすごく重みのある話です。これを、公の場でやるべきだとか、「密室」だとか言う人の気が知れないですね。

そのポイントは、1、国際平和協力に関する自衛隊の海外派遣は、国連安保理、もしくは国連総会の決議によって設立、あるいは認められた国連の活動に参加することに限る。したがって特定の国の軍事作戦については、わが国は支援活動をしない。2、新テロ特措法案は、できれば通してほしいが、両党が連立し、新しい協力態勢を確立することを最優先と考えているので、連立が成立するならば、あえてこの法案の成立にこだわることはしない。福田総理は、その2点を確約された。

これまた重い。一国の総理が今までの政府、与党の考え方も場合によっては転換をすると確約をした。これほど重いものは無いのになあ~。と思います。

これまでのわが国の無原則な安保政策を根本から転換し、国際平和協力の原則を確立するものであるだけに、私個人は、それだけでも政策協議を開始するに値すると判断した。

この「私個人は~判断した。」と言う部分も、その判断になんら問題は無く、野党第一党の代表としては、至極当然な真っ当な判断だったと思います。

ふたつ。民主党は先の参院選で与えていただいた参院第一党の力を活用して、マニフェストで約束した年金改革、子育て支援、農業再生をはじめ、国民の生活が第一の政策を次々に法案化して、参院に提出しているが、衆院では依然、自民党が圧倒的多数を占めている現状では、これらの法案をいま成立させることはできない。逆にここで政策協議を行えば、その中で国民との約束を実行することが可能になると思う。

国会運営をわかっているべき全国会議員が誰でもわかる、むしろ小学生でも説明すれば理解できるはずの理屈。衆議院選前までに公約を何一つ実現できないように自民党がしたら、むしろ民主党に投票をした国民の失望は大きいだろうと。

政権をとろうと思えば、冷静に一つ一つ実績を積み上げていくべきだということだと思いますが、民主党の昔からの体質は、「朝日新聞に迎合していれば大丈夫」的なところがあって、朝日新聞が自分の記事に責任を持たないで、相矛盾することを平気でやっていたり、言っていたりすることに気がつかず、マニュアル世代の若手議員さんは頑張っちゃう。自己矛盾に陥っていることなんて考えもしない。困ったものです。それじゃ勝てないぞ。国民はバカじゃないぞ。っていうのが小沢代表の考えだと思います。

多くの民主党の議員さんとも交流がありますが、地方議員は特に、何の努力もしないで都市部では当選していますから、国民を本当にバカにしています。そういう地方議員が国政選挙で集票マシーンになりえるわけもなく、一対一の勝負に勝てるわけもありません。それをよ~くわかっているのが小沢代表だったのです。そして全国行脚した。だけどきつい。だからこそ、足腰をしっかりするためには、公約を実現するようにしなければならない。その間に、政権をとれる方策を考える。と思ったのに…。

3番目。もちろん民主党にとって、次の衆院総選挙に勝利し、政権交代を実現して国民の生活が第一の政治を実行することが最終目標だ。私もそのために民主党代表として全力を挙げてきた。しかしながら民主党はいまださまざまな面で力量が不足しており、国民の皆様からも、自民党はダメだが、民主党も本当に政権担当能力があるのかという疑問が提起され続け、次期総選挙での勝利は大変厳しい情勢にあると考えている。

こういうことが、足で稼いだ情報なのに、それに耳を貸さないのでしょうね、自民党の古い体質だけを責めていれば良いと思っている若い世代の民主党議員は。自民党が最も革新的に党内改革が進んでいるのに。

その国民みなさんの疑念を払拭(ふっしょく)するためにも政策協議を行い、そこでわれわれの生活第一の政策が取り入れられるならば、あえて民主党が政権の一翼を担い、参院選を通じて国民に約束した政策を実行し、同時に政権運営への実績も示すことが、国民の理解を得て民主党政権を実現する近道であると私は判断した。

この判断はまったく同感です。

また政権への参加は、私の悲願である政権交代可能な二大政党制の定着と矛盾するどころか、民主党政権実現を早めることによって、その定着を確実にすることができると考えている。

順序としても最善の方法であると思います。小沢代表の長年の経験による判断だと思います。

4つ目。以上の考えに基づき、2日夜の民主党役員会において、福田総理の方針を説明し、政策協議を始めるべきではないかと提案をしたが、残念ながら認められなかった。それは私が民主党代表として選任した役員の皆様から不信任を受けたに等しいと考えている。よって多くの民主党議員、党員を指導する民主党代表として、また党首会談で誠実に対応してもらった福田総理に対し、ケジメをつける必要があると判断した。以上が私のコメントだ。

ここまで説明をしたとしたら、それでも、ここに記述されている通りとしたら、当然の行動であると思います。むしろ私は、前段で書いたように、代表の決めたこと、更には総理との話し合いでのこと、それらだけでも十分すぎるくらい十分なことで、「大変なことではありますが、よろしくお願いします。」となるのが本来ではないかと思います。

「中傷報道に厳重に抗議する」

民主党の小沢一郎代表が4日夕、都内の党本部で行った辞任表明の記者会見で、冒頭読み上げた「中傷報道に厳重に抗議する」と題したコメントは以下の通り。

中傷報道に厳重に抗議する意味において、私の考えを申し上げる。福田総理との党首会談に関する新聞、テレビの報道は、明らかに報道機関としての報道、論評、批判の域を大きく逸脱しており、私は強い憤りをもって厳重に抗議したい。特に11月3、4両日の報道は、まったく事実に反するものが目立つ。私のほうから党首会談を呼びかけたとか、私が自民、民主両党の連立を持ちかけたとか、果ては今回の連立構想について、小沢首謀説なるものまでが社会の公器を自称する新聞、テレビで公然と報道されている。いずれもまったくの事実無根だ。

もちろん党首会談および会談に至るまでの経緯と内容について、私自身も、そして私の秘書等も、どの報道機関からも取材を受けたことはないし、取材の申し入れもまったくない。それにもかかわらず、事実無根の報道が氾濫(はんらん)していることは、朝日新聞、日経新聞等をのぞき、ほとんどの報道機関が政府・自民党の情報を垂れ流し、自らその世論操作の一翼を担っているとしか考えられない。それにより、私を政治的に抹殺し、民主党のイメージを決定的にダウンさせることを意図した明白な誹謗(ひぼう)・中傷報道であり、強い憤りを感ずるものだ。

今回の一連の報道は確かに、小沢代表を良く書かないものが多かったですね。その内容は当事者にとってはかなりシビアなことです。論調はどちらかというと、噂話に基づいているというか、裏取りの無い、無責任な報道姿勢がミエミエではありましたが。これまた非難されても仕方ないことのような気がします。

このようなマスメディアのあり方は明らかに報道機関の役割を逸脱しており、民主主義の危機であると思う。報道機関が政府・与党の宣伝機関と化したときの恐ろしさは、亡国の戦争へと突き進んだ昭和前半の歴史を見れば明らかだ。また自己の権力維持等のために、報道機関に対し、私や民主党に対する誹謗中傷の情報を流し続けている人たちは、良心に恥ずるべきところがないか、自分自身によくよく問うてみていただきたい。各種報道機関が1日も早く冷静で公正な報道に戻られるよう切望する。以上だ。

これは代表がおっしゃるまでもなく、その通りですが、決して「報道機関が政府・与党の宣伝機関」にはなっていないと思います。むしろ、独自の思い上がりで、自分たちこそが、日本の政治や世論を動かしていると思っているのではないかという気がしないでもありません。


「辞職願を出そうと考えたのは昨日」

民主党の小沢一郎代表が4日夕、都内の党本部で行った辞任表明の記者会見の質疑応答は以下の通り。

-離党するのか。

小沢氏 「離党するなどとはいっていない。今後の政治活動はこれからゆっくり考える」

-代表の大連立のイメージはどんなものだったのか。次の衆院選はどうするのか。単独で過半数を取った場合には、自民党とは連立を解消するのか。福田首相との間でどんな話をしたのか。

小沢氏「連立というのは、みなさん、ご承知の連立です。ほかに2つ3つも連立の解釈はない。その言葉は、通常の通りイメージしています。よく君の質問の意味が分からない」

-衆院選で過半数を取った場合は、その後に連立を組むのか

小沢氏「われわれは野党として、全体で、参院ではほぼ民主党で一党で過半数を維持しているが、衆院で過半数あれば、衆参両方で過半数あれば連立する必要がない。自民党だって、参院の過半数が割れたから、連立しましょうといってきたのだから」

-辞意を決意したのはいつか。代表を辞するのは、次期衆院選に向けて、マイナスに作用すると思うが。

小沢氏「辞職願を出そうと考えたのは、昨日でございます。今朝、使いのものに幹事長にお届けさせました。それから、私は、一議員となっても、次の総選挙に対しては、全力で投球する考えは変わりません。この党首会談をめぐって、このような報道が、私の不徳の致すところで繰り返されることは、党にとっても決してプラスではない。このさい、けじめをつけるべきと考えた。党内的にもわが党は若いですから、みんなで考え、党内でも議論して、国民の期待に応えられるような、力強い、本当の意味での民主党になっていただきたい。これが私の願望であり、そのきっかけになれば、と思いました。

-政権交代可能な二大政党を目指すといわれたが

小沢氏「政策協議が整えばね。われわれの主張が入れればね」

-国民の理解を得られると考えたのか。

小沢氏「手を組むとかでなく、生活第一として国民に約束した政策が協議によって、現実のものになるなら、それは、大変いいことだと思う。なぜならば政治はなんのためにあるのか。政策を実行するのが政治でしょ。それが実行されないでいたのなら、政治の意味がないだろ。われわれが強く主張することで、参院で多くの議席を与えられたことで、形はどうであれ、大事な政策が実行されるなら、政治家として、政治として大変結構なことだと思う」

-さきほど、代表は民主党は力量不足と言っていたが、何が力量不足なのか。有権者に対する裏切り行為でないか。

小沢氏「力量不足というのは、あなた方がしょっちゅう報道している通り、政権担当能力が本当にあるのか、というような、あらゆる意味で今一歩という感じであります。あなた方もそういう観念で報道されているんじゃないでしょうか。また、私のことに関しては、国民には私自身がこういうことになったのは申し訳なく思いますが、まったくの事実無根の中傷報道がこのようになされていくなら、私がいることがかえって党のためにならない。障害になると判断した結果です」

-代表が政策協議を持ち帰った理由は。代表は役員会でこのような反対が出ると思っていなかったのか。そうであれば、なぜ見込み違いがあったのか。

小沢氏「私は見込み違いだったとか、特別な思惑をもって諮ったわけではない。あなた方はあまり重く受け止めていないからもしれませんが、国連の活動以外は軍隊を派遣しないというのは、今までの政府の方針の大転換であり、憲法解釈の大転換だ。私は年来、ずっと主張してきた。国民生活に直接利害を及ぼすものではないが、安易な軍隊の海外派遣はどのような結果をもたらしたか、歴史をみればわかることだ。国連を中心にして、国際社会で平和を守っていく、そのために日本は最大限の努力、貢献しないといけないとずっと主張してきた。従って、日本の国の将来にわたっての、国民生活の安定と安全のために大事なのだと考えた。私個人としては、この大転換を福田首相が認めたことをもってしても、それで政策協議に入ることがいいのではないかと思った」

-代表が辞任しても、衆参のねじれは変わらない。後継幹部も連立を模索するのか。

小沢氏「それは私が話すことではない。辞職願を出した私がどうこういうことではない。あとは執行部で判断すべきことだ」

こういう記者会見の内容を見ていると情けないくらい稚拙です。日本語の能力や言葉使いから始まってもう情けないくらいです。総理や野党第一党の代表に対する言葉使い?って思うことばかりです。マスメディアの社員教育に期待したいものです。