ネットのニュースからですが、下記のようなニュースがありました。ブッシュ大統領の行動に「政治家」をみました。

事の詳細がわかりませんので、その是非については何とも申し上げられませんが、記事からだけ、本当に記事からだけ読み取っていけば、「?」をつけるべきかもしれません。もし日本でこのような状態になれば、メディアにめちゃくちゃ叩かれるだろうし、大変なさわぎでしょう。議会や政治の制度が違いますから何とも言えませんが、議会を通過した法案に拒否権の行使とは穏やかではありません。政治的背景もあるとは思いますが、記事文面から逐次私の考えを書かせていただきます。

<米大統領>子供向け医療保険助成拡大法案に拒否権行使

1041816分配信 毎日新聞

【ワシントン及川正也】ブッシュ米大統領は3日、議会を通過した子供向け医療保険助成制度拡大法案に拒否権を行使した。大統領は制度自体は支持する一方、法案通りでは巨額の経費がかかると批判した。無保険者が4700万人に上る医療保険制度改革は来年の大統領選でも大きな争点となる見通しで、米国民の7割が支持する同法案への拒否権行使には共和党からも不満が出ている。

日本でいうと子育て支援の範疇に入るのではと思いますが、医療保険制度自体が大きく違う米国においては、細かく知らないのでコメントは避けたいのですが、アメリカ合衆国という国全体の制度や社会から考えたときに、「福祉」の無用な拡大はあり得ないものだと思います。

ここにもあるように、現状では無保険者が4700万人いることが社会問題になっているようですが、「それは、それで仕方がないこと」がアメリカ社会だと思うのです。そこへ政府が介入していくと、せっかく、「小さな政府」で名実ともに世界のリーダーになった国が、さまざまな面で窮地に立っていくことになるのではないかと思います。「福祉の拡大」は、一つのことをやって、一つの理論が成り立ってしまえば、際限なくなる可能性を秘めております。大変危険だと思います。

ですから制度自体は支持するが、巨額経費の出費はダメよということなんだと思います。たとえ国民の7割が支持したって無理ですよということだと思います。国民は自分たちが楽になれば良いし、少しでも余分な出費が減らせるなら良いに決まっているのですから、支持するに決まっています。仮にこのことについて日本のようにメディア先導で支持を拡大していったとしたら、悲劇の始まりのような気がします。

 助成制度は、低所得者向け医療保険制度の対象外だが、収入が低く民間保険に加入できない家庭が対象。法案は9月末で期限切れとなった現行法を延長し、今後5年間で助成額を350億ドル(約4兆810億円)増額し、助成対象を現在の660万人から1000万人に拡大する内容だ。

ブッシュ大統領は演説で拒否権行使の理由について、最高で年収8万3000ドル(約968万円)の家庭も受給資格を得ると指摘し、「もともと貧しい子供を助けるための制度なのに、その目的を逸脱することになる」と説明した。大統領は増額分を50億ドル程度にとどめたい方針だ。

下線部のことが事実としたら当たり前の拒否権行使だと思います。物価が違うとしても日本では年収約1,000万円に近い人は、普通は福祉サービスの対象からは外れるケースが多いはずです。むしろ、次期大統領選挙などの争点にして、貧困層の支持を得ながら、中高所得層まで取り込もうという政治的意図さえ感じます。

大統領の拒否権行使により法案は議会に差し戻されるが、下院では再可決に必要な3分の2以上の賛成票を得られておらず、廃案になる可能性が高い。

私はこのように、国民の7割の支持を得ていてさえも、総合的に国益を考えた場合、どうするかの判断は、正当になされるべきであると考えます。ですから、ある意味英断だと思います。「忸怩たる思い」「断腸の思い」などという言葉がありますが、大統領選挙も控え、大変な時期に、気が狂いそうな決断だったと思います。

でも、これこそがアメリカ政治の真髄というか、素晴らしさだと思います。繰り返しますけど、事の是非は本来は私などが論評できないことです。政治の制度や国民性、あるいは、メディア、政治風土等々何をとっても、日本とは大きく違う世界での出来事ですから。でも真実は一つです。

日本でも乳幼児医療費の問題って以前から議論されていますが、これだけ健康保険制度が充実していても、乳幼児の医療費の補助をしてほしいという話があり、段階的にといえば聞こえは良いのですが、なし崩し的に拡大がなされています。もちろん私だって立場的にはどんどん拡大して子育てをしやすいようにすべきであるというほうですが、これがお金を出すほうである市長の方はどこまで、にしていくのでしょうか??心配ですね。