北京オリンピックのカウントダウンイベントがあったそうです。それに伴い、テレビでいろいろなことが特集されています。あ~懐かしいなあと思ったのが、「農民工」の話でした。北京オリンピックにあわせて急ピッチで進む北京の都市基盤整備や建築ラッシュに農民工が大変多く働いているということでした。身分が農民でありながら、いわゆる出稼ぎ労働者のような形で、中国全土から建設現場などで、末端の建設工事、土木工事などの作業員として働く人たちです。

私が関わったホテル建設現場でも、中国側工事責任者が、「農民をいくらいくらで雇っていいか」などと私の上司に言っていたものです。たしか日本円で何十円の世界だったと思います。日当が。工事の遅れを取り戻すための人海戦術です。それはそれですごいものでして、ちゃんと予定人員が集まるんですね。以前にも書きましたが、厳然とした身分社会というか、ものすごい扱いでしたね、その労働者に対する扱いは。でも特段反発するわけでもなく、良く働いていた感じです。

そういう中には、すごく味のあるオヤジがいたりするんですね。ズーズー弁で、無精ひげで、歯が欠けていて、破れた中山服(人民服)で、帽子をかぶって、破れた布靴で、でも笑顔がいいんです。裕福でもなんでもない。幸せでもなんでもないと思うんですけど、妙に笑顔が人なつっこくて、タバコが似合うんですね。そういうオヤジなんかに筆談や訳のわからない言語で身振り手振りで会話したりして遊んでいると、あからさまに差別して、「長谷川ダメだダメだ」みたいにいわれたことがあります。

でもね~、そういうオヤジたちは確かに字は読めないけど、「おめえらどこからきたんだべ?」みたいに気軽に話しかけてくるんですね。「日本だよ」って言っても、書いても、読めないし、日本がどこなのかもわからないのですが。

大体、西安の我々が仕事を一緒にしていた人たちと農民とでは、同じ地域だろうと思うんですが、言語も通じなかったりしていましたから不思議なものです。あれで共産主義、みんな平等なんだ~と深く考えさせられましたね。

ですから日本共産党の船橋市議団の議員さん方も友好都市の西安に行ってみればいいんですよね。世界の超大国で、純然たる共産主義国家を実際に見て、「共産主義とは」って考えるといいかもしれませんね。

同時に、ロシアもいいみたいですね。私が駐在を終えて数年経ってからですから1990年代だと思いますが、その共産主義国家中国の友人たちが「ロシアはいいですよ~」って言っていました。金額は忘れましたが、ちょっとお小遣いが貯まると、そのお小遣いを持ってロシアに行くようですね。「皇帝のような生活が1ヶ月できるんですよ」って言っていました。本当に金額は忘れちゃって残念ですけど、「え~っ そんな額で~?」って言った覚えがありますから、かなり安価だったと思います。だから資本主義のわが国で共産主義を言うのではなく、船橋から出て、日本から出て、本当の共産主義国を見て、どうすべきかを事実に基づいて語っていただきたいですね。

またまた脱線です。

中国の戸籍制度、個人履歴継承制度はすごかったですね。都市への人口移動を抑制するために、戸籍の移動が非常に厳しかったです。特に大都市上海、北京、広州などはもともとの住民以外は、戸籍の移動ができない。移動ができないと職にも就けない。行政サービスも受けられない。のでした。ですから前述した郊外農民が出稼ぎに来ても必ず戸籍地へ戻っていく。今、全国から北京へ出稼ぎに来ても戻っていくのです。しかし、一度味わった蜜の味。忘れるわけもありません。あまりにもその格差がありすぎるのですから。

民主党がいう格差社会。中国では格差のうちに入らないのではと思います。日本でのお金持ちの部類に入る人たちと実質同じような生活をする人の数は、日本より多いでしょうし、ヘタすりゃ、資産が日本人のそういう世界の人と引けを取らない人も、ひょっとして多いのではと思います。表に出ない資産を形成している人が多いですからね。以前書いた私の部下だった女性もある意味そういう一人かもしれません。そういう人がいながら、まだ、穴掘って住んでいる人がこれまた数多くいて、年収日本円で千円に満たない人っているんじゃないでしょうか。そもそも、戸籍の無い人もたくさんいるみたいですからね。(一人っ子政策のために。)

「档案」って書いたと思いますが、個人の誕生からの履歴書のことです。これが、その人が動くたび(学校入学、就職など)に表に「档案」って書いた封筒に入れられて動くみたいです。ですから個人の人権なんて無い?個人情報保護?みたいな感じではないでしょうか。日常の出来事も記載されちゃうみたいです。従業員同士喧嘩したとか、賞罰がわりと詳細に書かれているらしいです。人と一緒にその書類が動いているということで、ホテルの従業員のその封筒の外だけは見たことがありまして、その説明を受けたときはけっこう衝撃的でした。その「档案」が無いと、雇い入れができない仕組みになっていたと思います。でも、強制的にそうでもしないと、あの広い国土、世界一多い国民を平和に平穏に治めていくことはできないのでしょう。

胡錦濤国家主席、温家宝国務院総理には心の底から敬意を表したいと思います。長い歴史の中でヨーロッパ諸国のように遠くまで攻め入って、植民地にしたということの無い、ある意味、侵略の歴史の無い民族でもあると思います。詳しい歴史はわかりませんが、たしか私の知るところでは、そういう民族であると思います。但し、世界的に経済面での侵略と申しましょうか、どこの国へ行ってもチャイナタウンがあるという、これまたものすごい現実もあるわけで、この民族の強固な意識、愛国心に敬意を表したいと思うところです。北京オリンピックはぜひとも成功させて欲しいものです。