「少年A 矯正2500日の全記録」草薙厚子著 文春文庫

を読みました。神戸の児童連続殺傷事件、酒鬼薔薇聖斗の事件の犯人の少年のことを書いた本です。

富田富士也先生と話をしたときのことが気になっていて、少し勉強したいなあと書店をフラフラしていたときに気になった本僕はパパを殺すことに決めた 奈良エリート少年自宅放火事件の真実」が、次のようなニュースとなって報道されていました。7月13日だったと思います。東京法務局が「少年の成育歴などを詳細に記述したのは、プライバシーなどの人権の著しい侵害」と判断し、草薙と講談社に長男や父親らへの謝罪と増刷中止も含めた被害回復措置を取るよう勧告した。

ということでしたので、早速数点をまとめて読もうと思い、購入いたしました。そのうちの一冊です。ショッキングな事件だっただけに、わりと早く読み進みました。親の子を思う気持ちと、子の親に対する気持ちとのミスマッチが解明され、矯正され、実社会に出て行くまでのことが書かれていました。大変興味深く読み、確かになあ~とか、なるほどねえ~という部分がたくさんありました。しかしながら、いまひとつ、理解できない部分もありました。理解できないというより、「えっ、そこがちょっとわからない」というような部分もありました。

あと2冊購入済みなので、読んでみてからいろいろ考えてみたいと思います。しかし、最も驚いたのが、この作者に対する批判や、著作に対する批判が多いことです。なぜでしょう。こういうことは中村実議員がお詳しいので、聞いてみようと思います。なんか、みなさんカリカリしている感じで、ネット上がにぎやかな感じです。深入りはしませんが、著作を読む限りは、こういう考え方や捉え方があるんだなあと読み取るのは許されるのではないかと思いました。

少なくとも、私は少年院や鑑別所など少年犯罪者の矯正に関わる方々や、その後、社会へ出て行くことがどういうことか、そして、犯罪の被害者がどういう気持ちでいて、どう受け止めるかなど、「少年犯罪」がどうしてこんなに増えたのかを考えていくときに、一度は読んでみてよい著者だと思いました。それだけで子育てを語ることはできないのですが、こういうケースがあるんだと、知識の蓄積はしても良いのではないかと思いました。

でも、ああいう事件を起こした少年が成人し、矯正され、世の中に出ていること。これをどう捉えるかは、個々人の考え方が大きく影響すると思います。僕も、その矯正の記録をこのまま信じるならば、なるほど社会に出ても良いのではないかと思いました。でも、被害者家族だとしたら、あり得ない……という立場に決まっています。

それ以外でも、複雑なバックグランドによる少年犯罪。パターン化して物事を捉えること自体躊躇せざるを得ないとは思います。しかし、事件ごとに、原因は何だったんだろうということを考えて、ひとつの結論に導いているのを読むことはあってよいことだと思います。それにしても、子育ては難しいなあと考えさせられる本でした。