中国の食品のことがずいぶんとメディアで取り上げられています。テレビの番組でも中国外務省スポークスマンの会見の模様を放送していました。ほんの一部の問題あることをことさら大きくしているのは世界中のメディアにも問題あり、みたいな発言をしていました。相変わらずだなあ~なんて思い、一人苦笑をしてしまいました。

私の弟はもう20年近く中国と香港に住んでいますが、生野菜を食べたいときは、日本から野菜を購入すると言っていました。たぶん今も定期的に買っていると思います。そういう購入システムがあるようです。なぜなら、「お兄ちゃんだってわかるでしょ」ってことです。弟は6年間中国本土の武漢というところの大学に留学しておりました。その後も一貫して中国ビジネス一本です。まだまだ発展前の中国から今の中国まで、地域的には一部ですが、生で実際に見てきているのです。

確かに、僕が駐在している頃、弟が武漢大学の学生だった頃は、野菜を作るときの肥料は昔の日本と同じです。肥が中心でした。糞尿ですね。まだまだ化学肥料などは一般的ではなかったんです。ですから、当然ですが、それらをそのまま食べてしまえば、間違いなく病気になる確率が非常に高いのです。そもそも、少なくとも僕が駐在していた頃の中国は、というと問題があるといけないから、西安の一部はと限定して書きますが、国民全員が平等であるはずの共産主義国家中国には、厳然たる階級社会でありました。士農工商どころではなく党政公工商農って感じかなあ。今ぱっと考えた身分の順番です。とにかく中国共産党の序列が何よりも優先されます。会社内でも、党員のほうが格上でした。そもそも事務所内に党の部屋がありましたから。どこでも。

さてそれはさておき、私の周りの中国人の間でも、「農民」という言葉はもう明らかに、人をバカにするときに使ったりする言葉であり、完全に侮蔑しておりました。


話は少しずれますが、私のいたホテル会社の採用試験の願書には、出身身分というのを書く欄があり、そこに記入しなきゃいけません。提出された書類を見ると、中国語でも漢字ですから大体読めるわけです。

「幹部」「貧農」という文字がたくさんありました。幹部という階級、これはどこからどこまでかも知りません。そもそも、中国側の我々と接する中国人は、我々が知らないことをいいことに、自分たちのことをすべて幹部だというのですから。(以前も書きましたが、外国人と一緒に働く人マニュアルに忠実ですから、余計なことは言わないんです。)

でも、だいたい、その「貧農」の若い社員たちのほうが、素直で、いい子がたくさんいましたがね。

で、その、農民たちですが、これはもう、どれくらいの教育を受けたのだろうかということです。西安もちょっと郊外に出ますと、まだ、傾斜地や段差のある丘陵地などで、横穴を掘って住んでいますからねえ。(いましたからねえと過去形かもしれませんが)

また、中国には文化大革命という時間が止まったような時期がありましたから、ひょっとするとまったく教育を受けていない農民もたくさんいると思います。そんな人たちには、公衆衛生の概念なんてあるはずもなければ、伝染病なんて知らないかもしれませんし、とにかくできるだけ多く野菜を作って、自分で売る分を確保しなくてはいけなかったのです。

ですから、日本で農業に関してさまざまな変遷があったのと同じように、中国も変わってきているのですが、外国の知識を導入したりすることには、時間もお金もない。そのため、今の日本では間違ったことでも昔の日本ではやっていたことや、いわゆる公害などという経験をしてさまざまな規制が始まったことなど、まだまだ中国はそういう同じ道をしっかり通っているという感じです。

ですから、多くの中国の農作物は、もう化学肥料やさまざまな「農薬」を使うでしょうが、それがもたらす影響までは考えてもいないであろうということです。薬の考え方も、かなりハードですというか、乱暴だと思います。その成分によってそのこと自体に劇的な効果があればそれでよいのです。っていう感じ。その二次的作用、副作用はたぶん「不知道」(知らな~い)って感じでしょうね。この「不知道」もよく使われる言葉でしたね。

もちろん一部地域の、日本をはじめ外国の農業技術(機械、肥料なども含めた製法、農作業の先進技術、公衆衛生等々)を学んだ人材がいる地域は、より良い作物を作っているのは間違いないのですが。