結局、話がずれていってしまい、委員会の様子を報告できませんでした。

どうも、横にずれていってしまうのは、私の悪いところみたいです。

さて、私の気になっていた高度地区変更の方針に関する陳情がありました。興味深く陳情文書をじっくり読ませていただいておりました。私たちは、口頭で陳情者から時間を自由に使って説明をいただくわけではありません。従って、この文書で、どう取り扱うかの判断をしなければなりません。以下にちょっとコピーしました。


陳情第30号高度地区変更の方針(案)に基づく都市計画の変更に関する陳情

[願意]

高層建造物の建設によって、居住環境が悪化し、その影響を受け続ける市民の負担を解消・軽減するため、平成19315日に公表した船橋市高度地区変更の方針(案)に基づき、速やかに都市計画の変更を願いたい。(資料・略)


私が違和感を持って質問した点は、「高層建造物の建設によって、居住環境が悪化し」と書いてあり、最初から、高層建造物の建設は居住環境を悪化させると決めつけていることです。

というように、文書でしか判断できない私たちは、陳情者がどういう理由で陳情してきたのだろうと、さまざまな角度から考えます。で、関係する部の部長さん、課長さんなどが出席し、委員からの質問に答えてくれます。答弁する職員の方にとっては、ある意味過酷な業務です。というのは、陳情しているのは、あくまでも市民の方。県民の方。国民の方。陳情者がどういうことを言っているのか及び知らないのに、私が質問したのは、「高層建造物の建設によって、居住環境が悪化するのですか?」ってこと。

かわいそうなのは答弁する都市計画課長さんです。陳情者の方が陳情の中でそう言っていたって、都市計画課長さんが持ち合わせている情報は、どう考えても、たくさんの事例があって、「はい、高層建造物の建設によって、居住環境が悪化します」とは言いきれる状況ではないのです。いままでもこれからも、行政は、所定の要件が整っていて、関係法令に則って行われる高層建造物の建設は認めていきますし、居住環境が悪化するような建設を認めるわけがないのは明白であって、それを、有無を言わさず否定から入るわけにはいかないのです。

というように、陳情の多くが非常に難しいというか、心情は十分理解しますが、法治国家であるわが国において、行政が行うことには限界があって、その人の意見も、この人の意見も、あの人の意見もってことで、なんでも「はい」って聞くわけにはいかないのです。だからこそ、「法令」という国民共通のルールに則って生活をしていかなければならないのです。そういうルールを破ってでも、市民の皆さんの意を汲んであげることを良しとする議員さんがいらっしゃいます。このことによって、「いやだなあ」と感じたり、思ったりしている善良な市民の皆さんを「錯覚」させ、市役所の職員が悪者になったりしてしまうのです。大変困ったものです。

http://www.city.funabashi.chiba.jp/giji/gikaisite/index.html


請願陳情の部分をクリックし、平成19年第2回定例会の建設委員会の陳情第31号を例として読んでみて下さい。


1. 船橋市環境共生まちづくり条例の趣旨に基づき、業者に対し、誠意ある対応を行うよ

  う指導すること。

2. 現在、業者との話し合いが継続中なので、合意するまで建築確認申請を出さないよう

  指導すること。

陳情の内容は「指導すること」と書いてあります。あたかも、担当者が指導も何もしていないように読み取れますが、これらのことを担当する課の職員の方は、事前協議といって、事業の相談段階からさまざまな指導をします。いわゆる行政指導というものです。そこからずっと、建設が終わり入居するまで、担当課の職員は一貫して指導を行うわけです。

それなのにこういう陳情があって、採択なんて結果になると、議会がこの陳情は正しいと判断したんだから、言うことを聞け。みたいな状況が生まれるのです。これはある意味、悲劇です。法律を守るということは、住民の側にとって思い通りにいかないということもあるのです。しかし議会で議決されたから、思い通りになると錯覚するのです。違うっていうのに。

ですから、陳情の持つ意味、陳情の取り扱いの意味、議会が陳情を採択することの意味、それが導く結果が何なのか等々、陳情者が熟知していれば悲劇はおきませんが。