アフターコロナの日本の大きな成長戦略として、カーボンニュートラルの実現は、非常に重要であります。北海道は、鈴木直道知事を先頭に、47都道府県に先駆け、カーボンニュートラルの地方版と言われる「ゼロカーボン北海道」の実現を掲げ、①カーボンニュートラルと地方の成長 ②農業、漁業、林業と地域エネルギーの循環 に全力で取り組んでいます。

 

そこで質問します。

 

 2050年に日本のカーボンニュートラル、すなわち温室効果ガスの排出量を実質的に0とすることを実現するためには、日本各地域において地域特性を踏まえて取組を着実に積み重ねていくことが重要です。本年6月に、政府は「地域脱炭素ロードマップ」を策定し、その中で「脱炭素先行地域」を創設するという考え方を打ち出したと承知しています。この「脱炭素先行地域」の考え方と取組内容を伺います。  (対環境大臣)

 

○山口壯環境大臣

 今、長谷川委員のおっしゃられた脱炭素先行地、先般、イギリスのグラスゴーでCOP26でまとまったこの一・五度目標、これを実現するためには二〇五〇年のカーボンニュートラルがどうしても必要、それに先立って二〇三〇年にこの四六%とか、温室効果ガスの目標も掲げているところです。

 そうなると、どういうふうにそれを実現するかという点では地域の脱炭素化が非常に重要なこととなってきます。そして、環境省としては、この脱炭素先行地域という概念を掲げて、これは脱炭素への意欲と実現可能性の高い地域において、二〇五〇年を待つことなく、前倒しでカーボンニュートラル達成を目指される全国のモデルとなる地域というイメージです。

 その意味で、環境省として、地域脱炭素・再エネ推進交付金というものを来年度の概算要求にも盛り込ませていただいて、この脱炭素先行地域づくりに取り組まれる意欲的な地方公共団体をしっかりと支援させていただく所存です。これは、実は、脱炭素化プラス地方の成長戦略、町おこしという意味も持っている極めて重要なものとして積極的に推進させていただく所存です。

 

ありがとうございます。脱炭素先行地域は、地方の成長戦略だとおっしゃっていただきまして、まさに私も同感でございます。

 この脱炭素先行地域は、日本全体でどの程度選定されるものなのか、また、そのうち来年度には何地域が、いつ頃に選定される見込みなのか伺います。(対環境大臣)

 

○山口壯環境大臣

 お尋ねの脱炭素先行地域、これ来年度から二〇二五年度までに少なくとも百か所これを選定させていただきたいと思っています。目指したいと思っています。場合によっては百か所以上という気持ちもあります。これは、初年度には少なくとも、来年度ですけれども、少なくとも二十から三十地域の選定を想定させていただいています。

 できるだけ多くの先行地域を選定させていただきたいし、その意味で地域の脱炭素化の取組を全国で加速化していきたいと思います。その意味で、北海道がゼロカーボンということをいち早くおっしゃっていただいたことは本当に心強いし、歓迎させていただきたいと思います。

 その手続的には、一月から脱炭素先行地域の募集を開始させていただいて、来年のですね、そして来春、春頃に第一弾を選定させていただきたいと思っています。

 御地元の北海道を始めとした多くの地方公共団体に脱炭素先行地域に手を挙げていただくことで、地域の脱炭素ドミノ、こういうことも起こしていきたいなというふうに思っております。

 

ありがとうございます。意欲的な取組を表明いただいたことに感謝を申し上げたいと思います。ただ今、来年度は20から30カ所程度を選定するとのご答弁がありました。モデル的な取組の支援という意味では対象地域が限定されることは分かります。しかし、日本全体では1741の市区町村が存在します。カーボンニュートラルを実現するためには、社会全体が取り組んでいかなければなりません。脱炭素先行地域を参考にしながら、できる限り多くの市区町村での取組を促していくためには、取組に要する経費に対し地方財政上の財源手当を十分に行うことが必要と考えます。

例えば「ゼロカーボン推進債」といった新しい地方債のメニューを設け、その償還に当たっては高率での地方交付税措置を行ってはいかがでしょうか。地域資源を活かした再生可能エネルギーの導入、脱炭素を売りにする企業団地や物流基地の整備、さらには電気自動車や水素自動車といった次世代自動車の導入、国の補助事業の自治体負担分等に対して財政措置を行うことが考えられます。

環境省、経産省だけではなく、総務省という地方自治体を所管する役所が脱炭素の取組に対ししっかりと地方財政措置を行うことが、地方に対し国の本気度を示す大事なメッセージとなると考えます。政府の見解を伺います。(対総務大臣)

 

○金子恭之総務大臣

 長谷川委員には、総務大臣政務官、総務副大臣として総務省が御指導いただきました。引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 地域における脱炭素への取組は、地方の成長戦略としても重要ですし、国全体の取組を足下から支える重要な取組と考えております。本年十月に閣議決定された地球温暖化対策計画においても自治体に対し率先的な取組が求められており、総務省としても後押しを行ってまいります。

 長谷川委員の御提案も参考にさせていただき、令和四年度に向けて、地域脱炭素の取組に対する地方財政措置の充実強化を検討してまいります。

 

 ありがとうございます。金子大臣からこのような、やはり自治体が、地方が引っ張っていく、先ほど山口環境大臣も言われましたが、地方戦略なんだと、成長戦略なんだということをあわせながら、この総務省、環境省、そして経産省と共に進めていっていただければというふうに思います。

さて、日本における再生可能エネルギーの大幅な増加を図るために、最も期待できるエネルギーは洋上風力と考えます。特に、1000万kWを優に超えるポテンシャルをもつ北海道、東北における洋上風力の導入を一刻も早く進めることが2030年の46%削減、2050年のカーボンニュートラルの実現に必要です。

そのためには、北海道と最大の電力需要地である関東を結ぶ海底直流送電網、そして北海道内の送電網の増強が不可欠です。このたびの補正予算案に海底直流送電網の調査費50億円が盛り込まれたと承知しています。具体的にはどのような調査を行うのでしょうか。また、整備決定の判断を行うのはいつ頃を予定しているのか。伺います。(対経産大臣)

 

○萩生田光一経産大臣

 今、先生御指摘のように、再エネ主力電源化に向けて、北海道の立地として果たす役割ってすごく大きなものがあると思います。既に風力発電は国内最大量を発電をしていただいていますし、また太陽光の面積も非常に大きなものがある。

 加えて、今お話のあった洋上発電、洋上風力ですね、それから地熱などにも非常に野心的な取組をしていただいているんですが、北海道では自然発生した再生エネルギーをそのまま消費地として使い切るだけのポテンシャルは逆に残念ながら今はないわけですから、それを大消費地である東京などに送ってくるというのは大変有り難い話であります。

 本来、青森を経由して東北を通ってと、こういうふうに思ったんですけれど、それではやっぱり容量が足りないということなので、これ思い切って長距離にわたる海底直流送電網などの整備を検討したいというふうに思います。そのための補正予算においては本年度より海底ケーブルの敷設に関する調査を行って、整備に適した海域、また施工方法などについて具体的に検討してまいりたい、こう思っているところです。

 

ありがとうございます。

 カーボンニュートラルを社会全体で進めていくためには、多くの人が利用する移動・輸送手段の脱炭素化の取組も重要と考えます。自家用車はもとより、バスなどの公共交通機関やトラックなどの輸送機関の脱炭素化です。

このたびの補正予算案の中でも電気自動車やその充電設備の購入補助などが盛り込まれており、燃料電池車や水素ステーションの整備も対象となっていると承知しています。しかし、移動・輸送手段における水素の活用も、国は一層強力にアシストすべきではないかと考えます。なぜなら、水素は航続距離も長く、パワーもあるという電気自動車とはまた異なる特性があるからです。自家用車だけではなく、水素を使ったバスやトラック、重機の活用などを進めるべきではないでしょうか。移動・輸送手段における水素の活用をどのように考えているのか、またどのように推進しようとしているのか伺います。(対経産大臣)

 

○萩生田光一経産大臣

 政府としては、移動、輸送手段の脱炭素化に向けて様々な選択肢を追求しております。今朝ほど白委員の方からは北海道の鉄道の重要性について御指摘がありましたので、それも私は重要な一つだと思っています。

 一方、二〇三五年までに新車販売で、電気自動車、プラグインハイブリッド車、ハイブリッド車、そして水素を活用した燃料電池自動車で一〇〇%にするという野心的な目標を掲げております。これらの普及に向けて、購入支援や充電、水素インフラの整備をしっかりと進めていきたいと思います。

 また、水素の活用は、移動、輸送手段の脱炭素化に向けた重要な手段の一つであり、このため、例えば今般の補正予算案において、北海道に豊富に存在する余剰再エネなどからクリーン水素を製造するための水電解装置の導入支援を盛り込んだところです。これらを総合的に進めることで運輸部門の脱炭素化と水素社会の実現を図ってまいりたいと思います。

 

ありがとうございます。明快にお答えをいただいたこと、感謝申し上げたいと思います。

 移動、そして輸送手段の一つとしては航空機もあります。新型コロナがなかなか収まらない中、いつ航空需要が戻ってくるかは見込めないところではありますが、そう遠からず大勢のインバウンド客が来日する日がくることは間違いありません。日本の魅力を高めるためには、観光に関連する分野でも脱炭素を進めることがこれからは必須です。

観光客の日本への入口は航空機です。ポイントなるのは航空機燃料です。SAFとも呼ばれていますが、化石燃料を用いない持続可能な航空機燃料へのシフトを日本も早く進めていく必要があると考えます。日本におけるいわゆるSAF、持続可能な航空機燃料の開発、利用はどのような状況にあり、どのような課題を抱えているのか、また、そうした課題を解決してSAFを普及させていくために政府としてどのように取り組んでいく考えか伺います。

 

○渡辺猛之国交副大臣

 二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けまして、ただいま委員御指摘の航空分野の脱炭素化は喫緊の課題であると認識をしております。国土交通省では、令和三年三月に航空機運航分野と空港分野のCO2削減に関する有識者検討会をそれぞれ立ち上げ、検討を進めてまいりました。

 航空機運航分野におきましては、この十二月十日に第四回検討会を開催をし、バイオジェット燃料などのCO2削減効果のある航空燃料、いわゆるSAFの導入促進や、機材、装備品への新技術導入などの課題について今後の取組等を盛り込んだ工程表を取りまとめたところでございます。この工程表に基づきまして、SAFについては二〇三〇年の本邦航空会社の燃料使用量の一〇%をSAFに置き換えるという目標の下、資源エネルギー庁、燃料供給事業者等と連携した国産SAF開発の促進、サプライチェーンの構築等の意欲的な取組を進めてまいりたいと思います。

 さらに、今後、中長期的に導入が見込まれます水素航空機あるいは電動化といった新技術につきましても、国土交通省として早期の実用化に向けて、国内製造事業者における開発段階から積極的に関与したいと考えております。

 

ありがとうございました。開発段階から関わる、非常に重要な言葉であると思います。是非よろしくお願いを申し上げたいと思います。