※青字が長谷川議員からの質問 黒字が政府答弁です

○おはようございます。自由民主党・こころ、北海道選挙区の長谷川岳です。今日はよろしくお願いいたします。
 最初に、この法案に入る前に、航空局に日本の成長戦略につながる御質問をさせていただきたいと思います。
成層圏を目指すソーラー機、ソーラーストラトスが初の試験飛行をしたというのが、先般報道されました。
 今、世界では、情報通信事業における成層圏の利用というのが注目されておりまして、こういった成層圏に飛行物体を飛ばす場合は航空法上どのように整理をされるのか、及び今後実用化された場合、法整備をどのようにしていくのかをお聞かせをいただきたいと思います。

○政府参考人
お答え申し上げます。
 委員御指摘の成層圏における飛行物体の飛行でございますが、現在、成層圏におきまして、気象観測や情報収集等を目的として航空機等が飛行しております。こういった航空機を、情報通信事業のための航空機等の飛行を、例えば無人の航空機を長期間成層圏に滞空させて活用していくというようなことが内外の民間事業者において検討されていると承知しています。
 成層圏におけるこのような航空機等の飛行につきましては、航空法が適用されることになります。具体的には、例えば、航空法第十条及び第十一条の機体の安全確保のための耐空証明でありますとか、同法第八十七条の無操縦者航空機などの規定の適用が考えられます。
 このため、成層圏における長期滞空を前提とした機体の安全性の確保でありますとか、操縦者が乗り組まないで飛行する場合の運航の安全確保、ほかの航空機との区域調整など、航空安全の観点から十分な検討を行う必要があると考えております。
 国土交通省といたしましては、成層圏における具体的な飛行の計画や国際的な動向なども踏まえまして、法整備の必要性も含め検討を進めてまいりたいと思います。

 

〇まさに、二〇二〇年の東京オリンピックに向けまして、こういった日本の成長戦略を支える上で情報通信事業における成層圏の利用というのは非常に重要になってくると思います。
 政府として、こういったガイドライン又はルール作りはどのように考えているのか、副大臣、伺いたいと思います。

○田中良生副大臣
お答えいたします。
 成層圏においては、今後、高度な情報通信環境の整備等を目的としました航空機等の飛行が増えていくものと見込まれております。このために、航空の安全を確保しながら、民間による成層圏の利用環境を整備していくことが重要であると考えております。
 国土交通省といたしましても、情報通信事業での成層圏の利用に向けまして、総務省ですとか文科省、関係省庁と連携を取りながら、今後の具体的な利用計画等に即した対応を積極的に講じてまいりたいと思います。


○ありがとうございます。
 続きまして、今回の法案の前提として、やはり地方にいかに人を送り込むか、そして交流人口をいかに促進していくかということが非常に重要になってくると思いますので、鉄道行政、所管する鉄道局にも伺いたいと思います。
 現在、リニア新幹線に対する融資も始まり、新幹線がまさに速達化という部分においては新しい段階を迎えていると思います。
 現在、東北新幹線の宇都宮―盛岡間は最高速度三百二十キロの走行を実現しておりますけれども、一方で、盛岡から上になりますと、新函館北斗の最高速度が二百六十キロに変わってしまいます。
 この二百六十キロでの走行区間において車両性能の最大限までの速度向上を図ることができれば一層の速達化が図れ、地域経済の波及効果を高められることから、是非これは実現をすべきと考えておりますけれども、この最高速度が、今リニアも出てきている段階で二百六十キロに抑えられている理由、これを伺いたいと思います。三百二十キロにできないのかという質問であります。

○政府参考人
お答え申し上げます。
 整備新幹線の最高設計速度は全国新幹線鉄道整備法に基づく整備計画で定められておりまして、既に開業いたしました路線や現在整備中の路線では時速二百六十キロメートルとされております。
 東北新幹線や北海道新幹線などの整備計画は昭和四十六年及び四十八年に定められましたが、新幹線の最高速度につきましては、その当時、乗り心地による限界、車両の蛇行動による限界、架線を伝わる波の速さによる限界、車輪とレールとの間の粘着による限界、軸受による限界などの様々な技術的な観点から検討されまして、また軌道構造、集電性能、車両重量、台車の走行性能などについての将来の技術開発の可能性を加味して時速二百六十キロとされたと承知をいたしております。
 現在、東北新幹線宇都宮―盛岡間では最高速度時速三百二十キロでの営業運転が行われておりますが、これに至るまでには、JR東日本において車両の開発が進められるとともに、防音壁のかさ上げ、側壁の吸音工施工、トンネル緩衝工の新設や増設といった騒音対策などが行われることにより、平成九年三月から二百七十五キロに、平成二十三年三月から三百キロ、平成二十五年三月から三百二十キロに速度向上が図られてきたところでございます。
 一方、整備新幹線区間における時速三百二十キロ走行につきましては、これまで全国的に二百六十キロを前提に施設整備を進めてきた経緯がございまして、速度向上に必要となる防音壁のかさ上げ工事などのための費用を確保する必要があるなどの課題がございますので、そのような課題についても関係者間で検討していく必要があるものというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、以上のことから、現在の施設では時速二百六十キロでの走行となっておるところでございます。

 

○まさに今、局長から御指摘があったように、整備計画というのは昭和四十六年、四十八年、我々の生まれた年なのですね。非常にもう年代がたってきていて、しかも、こういうリニアとかそういうことも考えますと、やはり速達性というものがこれからますます重要になってくると思います。
 鉄道局の試算によると、現在進められている北海道新幹線、新函館北斗―札幌間は最高速度を仮に三百二十キロに向上することで、八%、千二百人、一日の利用者拡大を見込んでおります。特に、この区間は長大トンネルが多くて、七割近くがトンネルであることから騒音対策の工事費が比較的少ないと予想されます。さらに、建設時点から騒音対策工事を行うことで、開業からやはり工事に着手するよりも工事費の圧縮が可能であります。
 そこで、ちょっと新しい提案でございますけれども、騒音対策を促して速度向上を図る新たな仕組みとして、建設主体である鉄道・運輸機構が防音壁等の追加で必要となる工事を施行する一方で、事業者であるJRから速度の向上で利用者が増加したことで得られた利益を鉄道・運輸機構が貸付料として徴収する、まさに整備新幹線法にのっとった形で、こういった貸付料で防音壁工事をしてしまうという、そういう徴収する仕組みを導入する方法は考えられないか、伺いたいと思います。

○政府参考人
お答え申し上げます。
 整備新幹線では、防音壁などの地上設備が時速二百六十キロに対応して整備されております。このため、最高速度を時速三百二十キロに向上させるためには、今後整備いたします区間については二百六十キロ対応の施設の設計を変更するとともに、既に整備された区間においても防音壁のかさ上げやトンネル緩衝工などの追加の騒音対策などが必要となります。また、高速走行する場合には軌道や架線等の維持管理費も増加することとなります。
 このような状況の中で、昨年十二月、与党整備新幹線建設推進PT、青函共用走行区間に関する検討委員会から、共用走行区間の走行速度引上げのほか、盛岡―新青森間の速度向上などの実現可能性について検討するよう求められたところでございます。
 これを受けまして、国土交通省では、今年の四月、交通政策審議会の下に新たなワーキンググループ、青函共用走行区間等高速化検討ワーキングを設置いたしまして、まずは盛岡―新青森間の速度向上のために必要な工事内容などについて現在検討を進めているところでございます。
 平成二十四年度には、盛岡―札幌間について、青函共用走行区間を含め時速三百二十キロに速度向上した場合の需要予測を行い、現計画に比べて需要が八%程度増加するとの試算結果を公表いたしました。
 速度向上の方策を検討するに当たっては、関係者により追加の施設整備費や維持管理費などを精査した上で、まずはその費用対効果や収支採算性などを検討していく必要がございます。さらに、これらの課題についての検討が進み、その具体化を図る段階になりましたら、先生からの御指摘の内容も含めまして前向きに幅広く検討を行っていくことになるものと考えております。
 鉄道の高速化につきましては、時速五百キロでの走行を目指したリニア中央新幹線が国民の期待を集めているように、北海道新幹線の沿線においても様々な期待があることは承知をいたしております。
 いずれにいたしましても、今後、平成二十四年度の検討結果や高速化検討ワーキングでの検討状況も踏まえながら、引き続き、盛岡―新青森間を始め、速度向上の実現可能性について検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

 

○前向きに幅広く検討を行っていくと御回答いただきましたので、しっかり我々も協力をさせていただきながらこの速達化について進めていきたいと思います。
 大臣に伺いますけれども、この新たな、先ほどの鉄道・運輸機構に貸付料として防音壁工事料を払うということで、北海道新幹線の収益拡大、速達性の向上、地域経済への波及効果の向上に寄与すると考えておりますが、大臣のお考えを伺いたいと思います。

○石井啓一大臣
一般に、新幹線の速度向上等によりまして地域間の移動時間が短縮されますと、観光客やビジネス利用客等の増加に伴う交流人口の増加が期待をされ、地域の産業や社会に大きな効果をもたらすものと考えております。
 北海道新幹線につきましては、現在、国土交通省におきまして、青函共用走行区間における時間帯区分案による高速走行の実現に向けた検討と併せまして、東北新幹線の盛岡―新青森間の速度向上の実現可能性等についての検討も開始したところでございます。
 いずれにいたしましても、東北新幹線の一部では、北海道新幹線も走行している車両によりまして時速三百二十キロの営業運転が行われていること等も踏まえまして、また札幌開業時の東京―札幌間の所要時間も念頭に置きながら、交流人口の増加、地域の更なる振興、利用者利便の向上等の様々な課題に対しましてどのようなことができるのか、新たに検討してまいりたいと考えております。

 

○新たに検討していただけるということの御回答をいただきましたので、しっかりと検討いただきながら、やはり何よりもこの実現に向けて御尽力をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、今回の通訳案内士及び旅行業法の一部を改正する法律案について伺いたいと思いますが、現場関係者の皆さんからいろいろ意見を伺いますと、ほとんどが異論なしという非常に評価のあるお声をいただいておりますが、その中であえてちょっと二、三項目質問をさせていただきたいと思います。
 これは地域通訳案内士の創設ということを書いてありますけれども、問題は、やはりこの地域通訳案内士の質の向上、それから量ですね。多く地域に人を送り込むのであれば、やはり量も確保していかなければならない。こういった質と量の確保をどうこの施策で実行しようとしているのか、伺いたいと思います。

○政府参考人
お答え申し上げます。
 これまで既存の各特例法に基づきまして地域限定特例通訳案内士制度が実施されてきたところでございまして、今年の四月現在、二十六の地域で取り組まれておりまして、登録者数は二千五十二名となっております。
 地域通訳案内士の人員の確保につきましては、英語以外の言語の場合には、余り狭い地域で制度を運用いたしますと効率性が落ちる懸念がございます。このため、複数の都道府県が連携するなど、より広域での取組を勧奨いたしまして一定程度の有資格者の数を確保することを検討しているところでございます。
 また、地域通訳案内士の質の維持につきましては、地域通訳案内士が満たすべき外国語能力水準について国が一定の基準を示すとともに、地方公共団体が行う研修において、研修の最後に修了試験を実施することを勧奨する等によりまして、地域の通訳案内に必要となる知識等に精通した者であることを担保する適切な措置を講ずることを求めていく所存でございます。
 これに加えまして、地域における地域通訳案内士育成等計画の策定に際してのアドバイスや優良事例の横展開など、地域通訳案内士の導入、育成に関して積極的な支援を行い、有資格者の数の確保や質の高い通訳案内が行われるよう努めてまいりたいと考えております。


○一部のランドオペレーターによるキックバックを前提とした土産物屋への連れ回しとか高額な商品購入の勧誘とか、こういったことが報告をされておりますが、この法案が成案した後に、ランドオペレーターの実態をきちっと把握をして、業者の皆さんとランドオペレーターとの取引の内容の適正化とか、あるいは取引のそういう公正化をどのように図っていくか、ここが一番重要なところだというふうに思いますが、この方策についてはどのようにお考えか、伺いたいと思います。
○政府参考人
悪質なツアーガイドによる土産物屋への連れ回し行為は、外国旅行会社の依頼を受けたランドオペレーターが土産物屋からのキックバックを前提としたツアーを手配したケースにおいて多く見られるところでございます。このため、観光庁におきましては、ランドオペレーターの調査を行いましたところ、千三百六十九社を確認し、これらのうち約六〇%は旅行業登録を有している一方で、残りの約四〇%が登録を有していない等の実態を把握したところでございます。
 このような実態を踏まえまして、今般旅行業法を改正し、これまで規制対象とされていなかったランドオペレーターに対する登録制を創設するとともに、悪質な土産物屋への連れ回しを禁止行為として位置付け、悪質な場合には処分を行うことといたしております。
 このような規制の遵守について、ランドオペレーターに対する報告徴収や立入検査の実施を含めて適切に周知、指導することにより、悪質な連れ回し事案を防止してまいりたいと考えております。


○このランドオペレーター、特に日本の観光の評価に直結する問題だと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 質問の最後をさせていただきますけれども、今回の規制緩和等ございますが、やはり東北とか北海道という観光資源が広域に存在する地域については、今回の地域限定という、そういうことを考えても、交通アクセスの実情も踏まえながら、地域の旅行業者の皆さんが地域の観光資源を活用した旅行商品の造成には積極的に関与していくことが重要であると考えておりますが、今回の規制緩和はここら辺をよく考えていただいているのかどうかを含めて、大臣の所見、伺いたいと思います。

○石井啓一大臣 
訪日外国人旅行者を始めといたしまして、旅行のスタイルが団体旅行から個人旅行へ、物の消費から事の消費へと大きく変化をしている中で、地域の魅力を生かした体験交流型の旅行商品を企画、販売しやすくする環境の整備が重要でございます。このため、今般の法改正によりまして、地域限定旅行業務取扱管理者制度や、複数営業所の兼務制度を創設することとしております。
 委員御指摘のとおり、北海道や東北のように観光資源が広域に点在する地域もございまして、また交通アクセスについても、それぞれの地域で事情が異なっていることも事実でございます。
 今般、第三種旅行業者及び地域限定旅行業者の業務範囲の設定についても見直しを行いますが、それに当たりましては、消費者保護の観点も踏まえつつ、各地域の空港、新幹線等の交通アクセス拠点の実情も十分反映して定めることとしておりまして、着地型旅行の企画、販売の促進に向けた環境を整備してまいりたいと考えております。

 

○地域の実情を十分に反映していただけると伺いました。やはりこういった皆さんの施策が地域地域によってそれぞれ異なる場合もございますので、十分に実情を反映していただくことをお願い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。