会館事務所です。

去る3月11日に議員運営委員会で日銀総裁の任命同意に関する件で質問に立たせていただきました。その主な内容です。

議 員:自由民主党選出の長谷川岳です。
まず、最初に本日は3月11日です。東日本大震災より二年がたちますが、自民党も震災復興の加速化に向けて全力を尽くしているところでございますが、社会を構成する一員である日銀総裁候補として、黒田さん個人として震災復興にどう向き合い取り組むつもりか決意を伺いたい。

黒田参考人:議員ご指摘の通り二年前に大震災が起こり、その直後、当然、日本銀行としてもあらゆる可能な対応措置とったと思うが、未だ復興が完全に実現したわけではない、当然のことながら、被災地その他経済にまだ傷跡が残っているのは事実です。日本銀行としても当然そういうものに対する十分な対策を考えていかなければならないと思っている。

議 員:是非顔の見える日銀として機能を果たしていただきたいと思う。早速ですが、黒田候補については、筋を曲げない頑固者であるとか、しんの通った人間と言う評され方をしているが、就任された場合その頑固さを是非通してほしい、そういう意見もたくさんあるが、頑固さを日銀総裁としてどのように強みとして生かしていくのかお聞かせいただきたい。

黒田参考人:中央銀行総裁の役割は、どこの国でもある意味似ている面があり、中期的な観点から物価の安定と金融システムの安定を最大の使命とし日々の金融政策を実現していくことに尽きると思うが、私自身、2%程度の物価安定目標がグローバルスタンダードになっており日銀にも必要と思っている。総裁に任命されたら、一日も早い実現に向けて最大限の努力をすることになろうかと思う。金融システムの安定にも十分な注意を払い、かつての金融システムの大きな問題、あるいは欧米が最近経験した大きな問題をなんとしても回避していく。その二つについては一貫して筋を通していかなければならない思う。

議 員:物価の安定、金融システムの安定の話をお聞かせいただいたが、特に日本のデフレ状態は、物価の安定といえるのか、それとも逸脱しているのか、どのようにお考えか。

黒田参考人:明らかに物価の安定から逸脱していると思う。部一課の安定は、多くの中央銀行がそうしているように2%程度緩やかに消費者物価が上昇していくのが安定で、消費者物価指数はどうしても新製品その他が入らないこともあり0.5%から1%は過大に出てくる。実際はほとんど上がっていない。それにもう一つ、1%程度ののり代、そういうものがないと、物価、景気が落ち込み始めた時に短期金利を操作して下げていくとすぐゼロになり、量的緩和や異質の金融緩和政策をとらざるおえなくなる。やはり2%程度の消費者物価上昇が一番望ましい状況がグローバルスタンダードになっている。基本的に消費者物価が毎年下落するのは、明らかにデフレであり、日本経済の劣化につながって来たと思う。

議 員:次にアベノミクスについて伺いたい。アベノミクスは大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する長期戦略の3つ基本方針としておりそれを3本の矢と表現している。そこで、アベノミクスと呼ばれる経済政策についてどのような評価をされるか。

黒田参考人:当面デフレが続いている状態を一日も早く是正して脱却することが重要で、デフレギャップを縮めて実需をつくっていく財政政策の役割も持続的な経済政策を実現する意味で重要で、特にデフレからの脱却の助けになるのは事実。さらに中期的に財政健全化に努めるのも重要で、さらに成長戦略を通して民間主導の経済成長を高め兒のも重要であるので、3つの組み合わせは適切だと思うが、日銀は金融政策について責任を負っておりほかの2つは政府が責任を負っていると認識している。

議 員:3つの基本方針のうち日銀のフィールドに属するのは言うまでもなく大胆な金融政策でありますが、大胆な金融政策の大胆というのはどのようにとらえているか。

黒田参考人:日銀はこれまでのいろいろな措置をとって来たが15年続きのデフレを是正できなかったと言う意味では明らかに不十分な金融緩和であった。したがって大胆というのは、量的にも質的にも大胆な対応をとらなければならないと。単に量的ベースマネーを拡大すると言うだけでは十分でない。質的に例えば国債について、長期物を購入して長期金利対する影響を強めなければならない。ベンチマークになっている長期国債の長期金利の上にリスクプレミアムで乗ってくる民間の長期金利を引き下げる、リスクプレミアムを縮める努力も必要。そういう意味だと思う。

議 員:これまでデフレ脱却を果たせていない日銀の政策を厳しく批判されたが、日銀はこれまでに十分に責務を果たしていないとの評価か、その候補は何か。

黒田参考人:まさにその通りであり、15年続きのデフレは世界にも例がなく、明らかに日本銀行法の定める物価安定の理念、責務を果たしてこなかったのは否定出来ない。

議 員:デフレを解消するためにはどのような手段が有効と考えるか、政府が考えいる以上のことをがあれば述べていただきたい。

黒田参考人:定性的には、国債、より長期のものを大胆に購入していくことが必要で、その他リスクプレミアムが高すぎて市場が十分機能していない所についてはリスク資産の購入も考えて行くことになるが、具体的にどのようにするかは市場に対する影響とか経済の動向を踏まえて政策委員会で議論して決めて行くことになる。

議 員:考えているかはどうか。

黒田参考人:当然2%の物価安定目標を出来るだけ早期に実現するためあらゆる措置を考えて行くことになると思う。

議 員:物価目標達成には日銀による思い切った資金供給が必要と思う。具体的に資金供給の手段について伺いたい。

黒田参考人:欧米の中央銀行がやっているが、通常量的緩和というとバランスシートを拡大し、典型的にはベースマネーを拡大することにより金融緩和を実現すると流動性が大きくなる。その一部が株式市場、その他の資産市場にいく、あるいは直接的に投資に代替していくとかの効果がある。さらに資産側の中身も重要で、もっと長期の金融資産、典型的には国債を購入していくことにより長期金利に影響を与え、あるいはリスクしさんを購入することによりリスクプレミアムに影響を与えるといったことも考えていかなければならない。量的な日銀のバランスシートの拡大は重要で必要であるが、質的な緩和も考える必要がある。

議 員:2014年から始まる期限を定めず毎月2兆円の長期国債を買う無期限緩和を前倒しする、あるいは長期国債の借入額の増加は考えているということか。

黒田参考人:当然考えられる。

議 員:外国債券購入についてはどのように考えて入るか。

黒田参考人:外積の購入については、為替に対する影響を当然考慮しなければならない。為替の安定は政府の責任で、日銀としては物価の安定が責務である。したがって外積を購入するということを検討する必要はない。

議 員:資金供給以外に金融機関が日銀に預けている当座預金の金利を撤廃することについてはいかがか。

黒田参考人:これも欧米でいろいろ議論されているが、短期金融市場の機能を維持する意味で重要とする意見、金融緩和から徐々にエグジットしていくという意味で重要とする意見、他方で中央銀行への預け金利のフロアになってしまい短期金利がそれ以上下がらないのは問題があると。したがって、付利はやめてゼロにするとか、むしろマイナス金利をつけろという議論さえ欧米ではあり賛否両論である。現時点で直ちに付利をやめるとか、マイナス金利をつけるとかは考えていないが、十分議論されるべきである。

議 員:安倍政権はスピード感を大切にしているが、新体制発足後の初の金融政策決定会合はどう臨まれるか

黒田参考人:スピード感は非常に重要だと思う。まだ就任していないので最初の金融政策決定会合で何をどうするかは申し上げる状況でないことをご理解いただきたい。

議 員:私はデフレに苦しめられている今の日本の経済を考えると、日銀は独立性を保ちながら、政府と方向性を一致させることが求められていると思うがその独立性と方向性は基本的に別の者と考えるがいかがか。

黒田参考人:ご指摘の通り、日銀法の3条で「日本銀行の通貨及び金融の調節における自主性は尊重されなければならない」4条で「日本銀行は、その行う通貨及び金融の調整が経済政策の一環をなすものであることを踏まえそれが政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう十分な意思疎通を図らなければならない」と言うことで、2%の物価安定目標は政府と日銀が十分協議して、日銀の自主的な決定でおこなわれたと理解している。

議 員:黒田候補は通貨マフィアと言われているが、これから国際金融界との強調についてはどのように考えているか。

黒田参考人:1999年から2003年まで財務省の財務官を務めG7の財務デピュティー達と毎年のように合い国際金融の問題を協議してきた。そこから離れて10年たち基本的に8年間はアジア開発銀行の総裁として様々な人と接してきた。いわゆる通貨マフィアといわれる立場とは異にしている。そのときに知り合った人的なネットワークは活用出来るのではないかと思う。日銀総裁に任命されたら適切な金融政策を早期に達成することが最大の使命であると思うので、元通貨マフィアとして何か行動することはないと思う。

議 員:これで質問を終わります。

今後も、様々な問題、課題を質問していきたいと思います。