本日10時より参議院で農林水産委員会が開かれました。
TPPに関して自由民主党、公明党、民主党、国民の生活が第一、みどりの風の5党で下記内容の決議文を提案しました。
みんなの党と共産党は反対でしたが、賛成多数で決議されました。

以下、全文紹介いたします。

「環太平洋パートナーシップ( T P P ) 協定交渉参加に関する決議」

本年三月十五日、安倍内閣総理大臣はT P P 協定交渉への参加を表明し、四月十二日、T P P 協定交渉参加に向けた日米協議に合意した。
そもそも、T P P は原則として関税を全て撤廃することとされており、我が国の農林水産業や農山漁村に深刻な打撃を与え、食料自給率の低下や地域経済・社会の崩壊を招くとともに、景観を保ち、国土を保全する多面的機能も維持できなくなるおそれがある。また、T P P により食の安全・安心が脅かされるなど国民生活にも大きな影響を与えることが懸念される。
これまで本委員会では、平成十八年十二月に「日豪E P A の交渉開始に関する決議」を、平成二十三年十二月に「環太平洋パートナーシップ( T P P ) 協定交渉参加に向けた関係国との協議に関する決議」をそれぞれ行い、二国間、複数国間の経済連携協定が、我が国の農林水産業や国民生活に悪影響を与えることがないよう、政府に十分な対応を求めてきたところである。
こうした中、本年二月に行われた日米首脳会談における共同声明では、「日本には一定の農産品、米国には一定の工業製品というように、両国ともに二国間貿易上のセンシティビティが存在することを認識」したとしており、政府は、この日米首脳会談において「聖域なき関税撤廃が前提ではない」旨確認したとして、T P P 協定交渉への参加を決断した。
しかしながら、我が国には一定の農産品以外にも、守り抜くべき国益が存在し、この確認がどのように確保されていくのかについても、その具体的内容はいまだ明らかにされていない。そのため、各界各層の懸念はいまだに払拭されておらず、特に、交渉参加について農林水産業関係者をはじめ、幅広い国民の合意が形成されている状況ではない。
よって、政府は、これらを踏まえ、T P P 協定交渉参加に当たり、次の事項の実現を図るよう重ねて強く求めるものである。

一  米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物などの農林水産物の重要品目について、引き続き再生産可能となるよう除外又は再協議の対象とすること。十年を超える期間をかけた段階的な関税撤廃も含め認めないこと。

二  残留農薬・食品添加物の基準、遺伝子組換え食品の表示義務、遺伝子組換え種子の規制、輸入原材料の原産地表示、B S E に係る牛肉の輸入措置等において、食の安全・安心及び食料の安定生産を損なわないこと。

三  国内の温暖化対策や木材自給率向上のための森林整備に不可欠な合板、製材の関税に最大限配慮すること。

四  漁業補助金等における国の政策決定権を維持すること。仮に漁業補助金につき規律が設けられるとしても、過剰漁獲を招くものに限定し、漁港整備や所得支援など、持続的漁業の発展や多面的機能の発揮、更には震災復興に必要なものが確保されるようにすること。

五  濫訴防止策等を含まない、国の主権を損なうようなI S D 条項には合意しないこと。

六  交渉に当たっては、二国間交渉等にも留意しつつ、自然的・地理的条件に制約される農林水産分野の重要五品目などの聖域の確保を最優先し、それが確保できないと判断した場合は、脱退も辞さないものとすること。

七  交渉により収集した情報については、国会に速やかに報告するとともに、国民への十分な情報提供を行い、幅広い国民的議論を行うよう措置すること。

八  交渉を進める中においても、国内農林水産業の構造改革の努力を加速するとともに、交渉の帰趨いかんでは、国内農林水産業、関連産業及び地域経済に及ぼす影響が甚大であることを十分に踏まえて、政府を挙げて対応すること。


右決議する。