それでは次に、生食用の食肉について伺います。

 昨年、非常に残念な事故が起きました。五月で一年を迎えるわけですけれども、やはり今問題なのは、私も北海道で現地調査をしてまいりましたが、このユッケの事件が起きてから、焼き肉店においてユッケの提供ができなくなったところにおいては売上げが平均で一五%下がっています。客の入りは、一か月一回の来店のところを二、三か月に一回というふうに来店の頻度も落ちてきているわけです。やはり、焼き肉のこういった販売が、あるいは来店が落ちるということは、消費牛肉が当然ながら落ちるということにこれは直結するわけでありまして、やはり私、これから大切なのは、安全性の確保とそれから景気の向上、デフレ対策、これを同時に解決するべきではないかというふうに思います。

 そこでお尋ねしますけれども、昨年、厚生労働省が食品、添加物等の基準の一部の改正を行いました。その際、生食用の食肉を扱う場合は、これは一般の焼き肉店もそうですよ、調理場を分けろと、そういう基準になりました。

 厚生労働省が今、今年の一月ですか、調査をしたところ、この法改正に適合している飲食店は全国で十八店舗しかありませんよね。本当に僅かです。できるわけがないんです、こんなの。こういった適合する店がほとんどなかったというふうに聞いております。

 食品の安全というのは最重要でありますけれども、安全性を確保した上での現実的な基準にこれはなっていると思われますか。厚生労働省に伺いたいと思います。
 

○厚生労働省食品安全部長

 生食用の食肉の安全性につきましては、平成十年に示しました通知によりまして都道府県等を通じて適切な衛生管理を指導してまいったところでございますが、法的な強制力がないということもございまして十分に遵守されていなかったと認識しております。

 こうした中で、昨年四月に発生しました飲食チェーンでの食中毒事件によりまして五名の方がお亡くなりになる大変痛ましい事件がございました。

 薬事・食品衛生審議会の下の部会などで議論を重ねまして、食品安全委員会の科学的評価を受けて食品衛生法に基づく規格基準を制定したというのは議員御指摘のとおりでございまして、これにつきまして、食の安全を確保する上で必要な規制だと考えているところでございます。

 現時点では、規格基準に適合している生肉を提供する飲食店等も出てきておりますので、引き続き規格基準の周知徹底を行ってまいりたいと考えております。

 

○そこが浮世離れしているんですよ。全く違いますよ。もう一回言いますよ。全国で十八店舗しか適合していないのを適合し始めたと言うんですよ。そこの感覚が厚生労働省としては狂っているとまずは指摘をしたいと思います。

 安全性を確保した上で、現実的な基準になっているかどうかを聞いています。現実的基準ですか、これは。

○厚生労働省食品安全部長

 もちろん、食品の安全と、それからもう一つは、そういうものを召し上がりたいという国民の皆さんの声、この両立というのをどうやって図っていくかということは要件としてはあろうかと思います。その上で、大変痛ましい事件が起きたということを重く受け止めて今のような規格基準ができているということでございます。

 

○例えば、レアステーキはオーケーで、牛たたき、ユッケ、牛刺しはNG、これ、なぜですか。それから、屠殺四日とする根拠、不明です。例えば、私たち、店を回りましたけれども、通常は新しくて一週間から二週間、それから普通は一か月です。また、中小の規模、店舗では、これは調理場を二つ造ることが現実的に不可能です。だから、私はここら辺が現実的な基準に適合していないと、そういうふうに思いますが、いかがですか。

○厚生労働省食品安全部長

 食品の安全につきましての科学的な評価に基づけば今のような状況になっているということでございますけれども、私どももこれで最終的に決して動かさないということではございません。関係団体とか、そういうところからの意見というものをいただいておりますので、そういうものを踏まえて、科学的な知見が認められた場合についてその条件というのを見直していくということもあり得ると考えております。

 

○それでは、今後、現場の意見をよく聞いた上で、安全を前提にした必要に応じた修正をするという考えがあるということでよろしいですか。

○厚生労働省食品安全部長

 既に私ども関係業界団体から幾つか要望をいただいております。それについて意見の交換も行ってきておるところでございます。その中で、医薬食品、国立医薬品食品衛生研究所の専門家の助言もいただきつつ今、相談、協議に応じているところでございます。

 今後、関係業界団体から、具体的な衛生管理の方法など、いろいろなアイデア、提示があった場合には、科学的観点からの妥当性の確認など、その内容を踏まえて検討したいと考えております。

 

○現場の意見、やはり大事にしてください。

 私は、安全性というのは絶対だというふうに思いますが、全国で十八店舗しか適合する店がないのに、適合し始めたという認識を持つのは、厚生労働省としてはこれは狂っている、そういう認識でいてほしいと思いますが、いかがですか。

○厚生労働省食品安全部長

 規格基準を決めましてまだ時間的な経過がそれほどではございませんが、私ども、業界の皆さん方の中でもかなり努力をされている方もおられるというふうに認識しております。そういう中で、現在のまず規格基準というものについて広く周知を図っていくと同時に、今、議員から御提案がございましたような、関係団体との話合い、そういうようなものも深めてまいりたいと考えております。

 

○農林水産大臣にも伺いますけれども、BSEの問題が起きて、それから口蹄疫の問題が起きて、今回こういうふうに生食用の食肉の食中毒って、やっぱりこれ、畜産農家の皆さんにとってはトリプルパンチだと思います。その中で、やっぱり現実的な基準作りに対して大臣としても要請をしていただくということをお願いできませんか。

○鹿野道彦国務大臣

 いろいろ、食品安全委員会においての議論等々につきましては、農林水産省としては、現場の実態、実情というものをできるだけ情報を提示させていただいたというふうな経緯もございます。そういう意味で、今後ともこの現場の情報、状況というふうなものはさらに引き続いて提示させていただきたいと思っております。

 

○よろしくお願いします。

 それでは、また話題を変えさせていただきます。 福島県の放射能対策について伺いたいと思います。

 今日は林野庁の資料を、これ、再度配らせていただきましたので、もしよかったら御覧になっていただきたいんですが、現在、福島県の木材は、放射性物質が環境や健康に影響がない状況であるにもかかわらず出荷に影響が出ているという状況にあります。もっと、実はこれ、この資料を見ていただいて、大きな懸念が出てまいりました。

 この昨年の大玉村、川内村、只見町で実験しました杉の吸収、移行調査では、線量の高い地域ではやはり放射性物質の吸収があるという結果がこれ見て取れます。そして、杉に関しては葉からの吸収が多いという見解もありまして、線量の低い地域でも長期間セシウムが葉に付着したままでは吸収しないかどうかということが疑問視されているところです。もしも、時間的な要因も吸収に関係するのであれば、やはり早急に杉の枝打ちなどを行って移行を止めないと、数十年にわたって手入れをしてきた杉が、本当にごみになってしまうというおそれが出てまいります。

 これ、どのような対策を考えているかを伺いたいと思います。

 

○森本哲生大臣政務官

 今、葉からの吸収、これは土からの吸収ということも考えられるんですが、あることは事実でございます。

 ただ、例えば、かんなで削って、表面を、のこぎりで切っていくわけでございますけれども、そんな中で、今、私どもの森林総合研究所で調査をしている資料、その数値的なものについては、まず大丈夫だろうという、そういう認識を今のところ持っています。ただ、個々の因子的、御指摘のところのこの中の部分については、もう少し時間を要することが必要でございますので、どの程度になるか私どもも、この今の委員の御指摘をしっかり我々、検討をしまして、なるべく早くそうしたお返事をさせていただきたいと。

 今のところ、その技術的にどう申し上げていいかということがまだ私のところでは今、分かりませんので、御指摘、十分理解をいたしておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 

○福島県の木材業者さんが非常に不安に思っていらっしゃいますので、説明会等なりをやっていただくことをお願いできますか。

○森本哲生大臣政務官

 これは、大臣から指名を私自身でもいただきましたら、私どもは積極的に対応させていただきます。

 

○大臣、いかがでしょうか。

○鹿野道彦国務大臣

 指示をいたします。

 

○よろしくお願いします。

 もう一つ伺います。放射性物質の吸収抑制対策事業について伺います。

 私も月に二回ずつ福島県に通っておりますけれども、中通りの農村では、東日本大震災農業生産対策交付金の放射性物質の抑制対策のメニューで今、取組を行っております。

 ところが、平成二十四年から要綱の改正が行われる予定でして、空間線量の高い〇・二三マイクロシーベルト以下が対象になっていますが、こういった高い地域は対象とならないということになりました。それから、空間線量の高いところは反転耕や深耕といった方法が進められておりますが、基盤整備を行った圃場は、表土は二十センチしかありませんので、自治体では全水田を実施できないという状況です。

 しからば、除染対策交付金を使えるのか。これ、除染対策交付金というのがあるんですが、これを使えるかといえば、こちらは工事が伴わない事業は対象外だと。

 福島県の本当の課題である、本来、この米から放射性物質のみを検出を行うには、やっぱりカリウムとかゼオライトによる吸収抑制というのは不可欠です。どんなに検査体制を強化したとしても、何もしなければ昨年以上に検出されるのは目に見えています。

 先日も緊急調査が行われて、郡山で新たに百ベクレルを超えるお米が出ているというのは報道のとおりでありますが、平成二十四年度の東日本大震災農業生産対策交付金事業につきましては、やはり原発事故の被災県である福島県及び地域の自治体が使いやすいものであるべきと考えますが、いかがお考えか。特に、こういう、こっちの事業にもこっちの事業にも入らないという空白スポットをつくっちゃいけないと思いますが、いかがですか。

○岩本司副大臣

 放射性物質で汚染されました農地への対応についての基本的な考え方といたしましては、高濃度に汚染され、毎時〇・二三マイクロシーベルトを超える農地につきましては、先生先ほどおっしゃった反転耕等と併せて地力回復資材の施用を助成する除染事業により対応して、それ以外の地域では、農作物への汚染のおそれが比較的高い農地においては、カリ肥料等の吸収抑制資材の施用等を助成する吸収抑制対策、これは東日本大震災農業生産対策交付金でございますけれども、これによって対応することとしているところであります。

 しかしながら、除染事業の対象となる農地の中には、先生先ほどおっしゃったように、作土層が薄く反転耕等が困難なものもあるなどの声が上がっていることも承知をいたしております。このため、現場の実態を踏まえまして、吸収抑制対策による支援が画一的な運用となり過ぎないように努めてまいります。

 

○じゃ、この話については、先ほども申し上げたように、制度、制度の間のすき間をつくらないという考え方で対応してくださるという考えでよいですか。

○岩本司副大臣

 しっかり前向きに議論を重ねて取組を進めてまいりたいと思います。