予算委員会で、2度目の質問のご機会をいただきました。

参考人質疑で、日本原子力技術協会の石川迪夫最高顧問に、

原発事故に関する件について質問いたしました。

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1号機の海水注入の継続・中断をめぐり、発表が二転三転しています。

結果として、参議院予算委員会における海江田大臣の答弁も誤りとなりました。

誤った情報か否かを政府官邸が見抜けぬ状況が続いており、政府発表やおよび国会答弁の信用性をゆるがす事態となっています。
また、5月24日の報道によると、1号機に続き2号機、3号機の炉心すべて溶融していることが判明しました。政府は、事実認識ができているのか。見通しが甘いのではないか。政府は最悪の事態を想定できていないのではないか、という疑念を持ちました。
最悪の事態を想定し、公表する責任を持ち、被災されている住民の皆さんおよび国民の皆さんに万全な対策を促すべき立場にある政府の対応について、石川参考人から見解をお聞きいたしました。

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自由民主党の北海道選出の長谷川岳です。
 今日は、参考人の皆様、本当にありがとうございます。
 まず最初に、一号機の海水注入の継続中断をめぐり発表が二転三転しています。結果として、この参議院の予算委員会における海江田大臣の答弁も誤りと結果としてなりました。正しい情報か否かを政府、官邸が見抜けぬ状況が続いておりまして、政府の発表や及び国会答弁の信用性を揺るがす事態となっています。また、五月二十四日の報道によりますと、一号機に続き二号機、三号機の炉心全て溶融していることが判明をいたしました。
 政府は、事実確認ができているのか、あるいは見通しが甘いのではないか、そして政府は最悪の事態を想定できていないのではないかという疑問を皆が今持っている状況にあると感じます。最悪の状態を想定し、公表する責任を持ち、被災されている住民の皆様及び国民の皆様に万全な対策を促すべき立場にある政府の対応について伺いたいと思います。
 今日は時間が限られておりますので、石川参考人に限り御質問させていただくことをお許しいただきたいと思います。

 現在、政府、東電の海水注入の対応に見られる政府・東電統合対策室及び東電の混乱は何に起因をしているかお答えをいただくことができればと思いますが、お願いをいたします。


○石川迪夫参考人

 一つは、この数年、原子力の安全というものに対する私たち原子力界の考え方というのが多少甘くなっていったというのが一つ、状況だと思います。
 例えば、その例としまして、保安院は初めの尺度を、INESの尺度を3、4、5、7と、時間とともに上げていったということ自体がその状態を示しているであろうと。こんなものは大したことないよというふうな甘い見方というのが当初から、これは東電それから保安院、それから政府もそうかも分かりませんけれども、あったのではないだろうかというふうに考えて、考えてといいますよりも思っております。


今回の報道をめぐりまして、東電は今現在、吉田所長の処分を検討していると伺っておりますが、官邸の意向があしき政治主導の名の下で現場へ非常に大きな圧力となっているのではないかと懸念しておりますが、御意見をお聞かせいただきたいと思います。


○石川迪夫参考人

先ほど私申し上げましたように、原子力発電所の福島の一号炉の状況を知っているのは発電所の所員でございますけれども、そちらがやっていくべきことというよりも、官邸にお伺いを立てないと、ベントを開けてもいいとか悪いとか、これ事実かどうか分かりませんけれども、新聞紙上ではそのようになっておりますので、こういう体制が私は一番悪の根源であると思っております、現在のあれを解決していくためにですね。


先ほど、石川参考人の資料によりますと、第一福島エリアを戦場として治外法権にすべきだというような御意見をいただきましたが、私も今感じているのは、原子炉規制法がございますが、これはあくまでも想定内の事故である、私は想定内での事故を前提としていると私は感じます。とてもじゃないですけれども、今のこの原子炉規制法の六十四条の危険時の措置というものは非常に限界があるのではないかと。このお話を伺ったときに、治外法権化というふうに書いてありますが、これは六十四条の危険時の措置という部分での改正ということも含めて頭に入れるべきではないかということでよろしいでしょうか。


○石川迪夫参考人

六十四条、今明確に、申し訳ありませんが、すぐに思い出しませんけれども、原子力発電所の想定外の今安全というふうにおっしゃいましたけれども、原子力発電所というのは、原子炉を動かして電気を起こすというシステムですね、これをキットというふうに考えてください。これについては極めてきちんとした対策が世界的に取られておりますし、今回の事故でもそれは侵されていないと思います。
 それでは、どこが間違っていたか、これは、そのキットを置く地球との関係、それから、八時間たったら電気がやってくるという社会的なその関係、これにおいて欠陥があったというふうに考えております。
 ついでに申し上げておきますと、チェルノブイリ並びにスリーマイル島の事故というのは、このキットと人間との関係にミスがあった。それが近年非常に良くなり出したところで、今度は神様が、多分、地球との関係をまだ考えないといけないぞ、それから社会等のルール、停電の時間が八時間たったら十二分に戻ると、こういったような点で足りなかったところを指摘されたんではないだろうかというふうに私自身は考えております。
 したがいまして、六十何条というところは、ちょっと今具体的に覚えておりませんけれども、そういった観点から、原子力発電所の安全設計指針とか審査指針とか、そういうものではなくて、もっと大きくとらえていくべきではないだろうか。また、これが世界に発信すべき問題点というふうに私は考えます。


それでは、今後のことについて伺いたいと思います。
 まずは、やはり今後の想定として、収束をする、あるいは収束をしない、そして悪化をするという、やはり私は残念ながらこの三つ、想定をしなければならないと、そのように考えます。
 そして、まず最初に収束するということについて伺いますと、先ほど参考人は収束させる方法として、現在のこのような冷却水の方法についてと、もう一つは、あえて外に燃料を出してというような、このお話をされましたが、これはメルトスルーをさせるという意味でよろしいでしょうか。この方法、ほかに取られたことがあるのかどうかも伺いたいと思います。


○石川迪夫参考人

前者の方法はスリーマイル島で先ほど申し上げましたように取り扱いました方法でございまして、水を、強制的に冷却することによって炉心を固化させたわけでございます。固体になってしまいますと、もう気体は出てまいりませんので、放射能は外に漏れ出ることはありません。外部被曝だけの問題でございます。
 さて、これが、水を循環させるのが、先ほど言いましたように非常に高い水の循環水でございます、不適当でございまして、例えば日本原子力研究所の私たちと同じ第一世代のほとんどの人は、危ないぞと、危ない方法だよと言って危険を感じておられるようでございます。

 私は、まだ何とかできる、様子を見たいというふうに考えておりますが、もしそれができない場合、今の状態を悪化させるということは、これは許されませんです。止めなくちゃなりません。そうした場合には、炉心のおかまの底を、例えば水を止めてやりますとどういうことになるかというと、UO2の温度が上がりまして、このメルティングポイントは多分圧力容器よりも高いと思いますので下におっこちるでありましょう。その場合には何かサプライズが起こるかもしれませんが、それをおっことすことによって面積を下にずっと広げてやるわけでございます。そして、広げることによって先ほどのチェルノブイリがやってあるような空冷の状況にさせるわけですが、私たちはチェルノブイリとは違いまして格納容器も持っておりますし、まだ、大分爆発をして壊れたとはいえ原子炉建屋というコンクリートの建物もございますから、チェルノブイリのようなことにはならないではあろうとは思います。思いますが、まずは中にある溶融炉心というのがどういう状態で、どういうふうな水の状態であるか、これを知らない限りは軽々しく、幾ら絵をかいても、これは申し訳ないがポンチ絵にしかすぎないわけでございます。
 そういうような意味で、炉心を見て、それからはっきりと態度を決めるべきであろうというふうに私は考えております。悪化するようなことは、これは許されないというふうに考えております。


収束させる方法として、冷却水の方法と、それから今言ったメルトスルーの方法で、状態を見てみないとというふうには聞きましたが、今、参考人の知見からいって、全ての収束にどれぐらいの年数がずばり掛かりそうかということについて伺いたいと思います。


○石川迪夫参考人

強制冷却がうまくできるような状況になりますと、多分現在の工程表よりも、が守れるかどうかは話は別にしまして、それに近い状況で固化をさせまして、それから比較的ゆっくりと片付けていけばいいと思います。しかし、片付くまでにはやはり十年近くの年月が掛かるであろうと思います。
 それから、後者の方の石棺から空冷へといったような方向、メルトスルーとおっしゃいましたけれども、そちらの方の方法を採用するということになりますと、いつメルトスルーをするかといったことも、これは後の固化とともに非常に大切なことになると思いますので、相当時間が掛かるであろうと。しかし、収束は、十年とか十数年の時間単位で見れば、まあまあ、ほぼ同じかそれよりもちょっと長いぐらいで済むんではないだろうかというふうに考えておりますが、というところでございます。


 強制冷却をすれば工程表にほぼ近くなるというふうに伺います。
 そこで、ちょっとお尋ねをしますが、昨日のサミットで菅総理は、来年一月までに放出抑制及び管理する工程表に従い安定状況に持っていきたいと。つまり、サミット冒頭での総理の発言によって、政府の工程表は国際公約となったわけであります。この国際公約は果たして守れるでしょうか。その質問をさせていただきたいと思います。


守りたいと思いますし、日本の国民としては守らねばならないとは思いますが、非常につらいロードを掛けられたなという感じでございます。


もう一つ、先ほどの戦場という中に、残念ながら福島の地域の皆様方のこの三キロから五キロが、まあ治外法権にすべきだという表現をされておりますが、これは率直に申し上げると三キロから五キロは十年間は居住禁止にしなければならないという状態であるというふうに認識をするべきですか。教えていただきたいと思います。


○石川迪夫参考人

ある意味ではそのように、といいますよりも、三キロから五キロの線の外ではもう普通の日本として暮らしていただきたい。今、先ほどから問題になっているような、二十ミリシーベルトがいいの悪いのというお話もございますけれども、私は子供のときに集団疎開をいたしました、させられました。恥ずかしい話ですけれども、終戦の日に私は心の中で、これで家へ帰れると思って喜びました。日本少年としては非常に恥ずかしいことで、これ、生まれて初めて公表するわけでございますが、それほど親から離れての集団の避難というのはつらかったわけでございます。そんな意味で、私は、帰りたい人は、それは嫌だという人はそのまま避難されていいと思いますけれども、人がもし帰られれば牛を殺すこともないであろうし、というふうに思っております。
 そんな意味で、三キロから五キロ圏は我々原子力屋が何としてでもこれはきれいにしていきますし、やっていきますが、ちょっとゆとりは持っているんではないかと思いますけれども、それ以外は普通の日本として住ませてもらうためにそのような領域をいただきたいと。そして、これは海が入りますので、政府がきちんと宣言をして、そうしてここからここまでは何かあったとしても勘弁してください、まあ海は流れがありますからそれでも難しいかも分かりませんけれども、そういうふうにしないと、何か汚水でも出るたびにやはり近隣の諸国からいろんな苦情なり文句なりというのが出てくるのは私は当然であろうと。そういったときに、あらかじめ準備をしながら私たちはきれいにしていく義務があるんであろうというふうに考えております。


 収束させるのに国際協力が欠かせないと先ほどおっしゃいました。この国際協力、例えばどんな手法、方法、やり方があるのかということを更に詳しく伺いたいと思います。


○石川迪夫参考人

 正直に言いまして、まだ炉心の状況が分からないのに具体的にどのような方法ということはまだ申し上げることはできませんが、何しろ大きな方向としては、水で冷却するか、メルトスルーさせてやるかということで、この中で最も安全で、しかも効果的な方法というのを見付けていくことが国際協力であろうと思いますが、その一番初めのスタートは、もう原子炉のそばまで寄れるようにきれいにしたら、その場からどのようにして、今の原子炉がどういうふうな状況になっているのか、塩と一緒にまみれてどろどろになっているのか、それとも固体になりかけているのか、私の描いた、想像したようなあの卵形のような怪物になっているのか、そういうのを測定するところからもう世界の原子力学者の知恵を借りたい。
 それから、スリーマイル島とかチェルノブイリで実際に放射能の中で頑張ってくれた人たちの実際の体験、どのようにしたら余り浴びなくてよかった、このようにしたら実は物すごい放射能を浴びさせちゃったんだという、そういうのを集めながらやっていかなくちゃなりませんので、玄関先さえ掃き清めたら、そのときからもう始めさせていただきたいと思いますし、是非御協力を、その場合には多分外務省とかそういったところが非常に力になっていただけるところになると思いますので、御協力をお願いしたいと思っております。


この国際協力は、更にもう少し、より詳しくお話をしていただきたいんですけれども、例えばどんな方々を各国からお呼びをして、どのような想定で考えていらっしゃるのか、もう少しもし構想としてあれば教えていただきたいと思います。


○石川迪夫参考人

まずはIAEA、NRC、それからフランス政府、規制当局ですね、こういうところにまずコンタクトをいたしまして、日本のこうこうこういうふうな解決方法については日本政府も、それから実際上やっている司令官のような人がいませんと、まあそう言ってはなんでございますが、一々政府が口出しをしてブレーキが止まっているような状況じゃ恥ずかしくて国際協力、これはできません。ですから、こんなときはやめた方がいいです。
 司令官ができて参謀がいるときには、こうこうこういう組織をつくって、皆さん方の考え方も取り入れて有効なものは採用したいと思うけれども、是非そういう人を、協力してくれないかということを出していただきますと、例えばフランスでも、日本でも同じでございますけれども、日本原子力研究所みたいなものがございますので、そういう研究者が、これはこういう言葉をこういうところで使っていいのか悪いのか分かりませんけれども、学問的興味、面白がって来てくれることもあり得ると思います。
 これはもちろん解決のためでございますが、面白がるというだけではございませんけれども、そういう興味を引きながら、そうしてできる限りその人たちの考え方も取り入れるような方法で、三つございますから、きれいにするのが。取り入れる方法でやっていけば、おのずから日本の、余り情報を出していないとかいうふうな不評でございますね、これもその人たちの言葉で、その人たちが現地を見てやっていっていただくと。
 ここら辺から私は出発して、そんなことをするんならこんな方法があるんではないかといったようなところは、大きな方法が研究者の中から出てくるかも分かりませんし、若しくはそれを国へ持ち帰って、サミットの場で出てくるかもしれない。そういうふうな感じでございます。


 ありがとうございます。
 では次に、収束しない及び悪化するということも想定を入れなければなりませんのでお話を伺いたいと思いますが、現在、やはり一番気になるのが十万トンに及ぶ汚染水の処理の問題があります。この処理の効果はどう考えられるか。そして、処理費用はどれぐらい掛かるか。
 今、アレバ社が来てこの処理をするということになっておりますが、私たちからいうと、一体どれぐらいの費用がこの十万トンの汚染水処理に掛かるのかということについても詳しく知らされていないと、そのように思いますが、この点について伺いたいと思います。


○石川迪夫参考人

費用のことについては私非常に弱いんでございますけれども、これ、うわさ話で、国会議員のある先生からでございますけれども、うわさ話でございますが、これは一トン二億円掛かるんだというお話を聞いて心配をなさって私のところにいらっしゃった先生がいらっしゃいます。もしそれが正しいということになりますと、十万トンというのは物すごい大変なお金になるわけでございますし、今からどんどんどんどん増えていきますから、兆が二つぐらい掛かるような費用になるんではないかと思います。それで、私、ある友達に聞いてみたら、いや、そこまでは掛からない、多分桁がちょっと違うんではないかというお話も聞きました。
 まだその信憑性が、どのようになるかというのは私自身、恥ずかしいことながらそこのところはよく分かりませんが、それよりも大きな問題は、もし、そういう汚染の水をきれいに取り除いたと、フィルターか何かを使ってやるんでございますが、その放射能はどこでどういうふうに処理されるおつもりですか。その後ろのことを考えないでやみくもにきれいに水をするんだというのはちょっと考えが浅過ぎるであろうというふうに考えております。
 どんな方法でやっていくかということになりますと、例えば、今の方法でもそうでございますけれども、最後に、何しろ汚い水で汚いものを冷やせばいいわけでございますから、きれいな水は、きれいな水とは言いませんけれども、水は蒸発して、これは純水でございますから、どんどん濃縮をさせていくという方向をある時点で考えていかなくちゃならない。それは、これが冷却できると考えたときに考えて、量を減らしてやるということが私は先ではないだろうかと思っておりますが、具体的に言えと今言われますと困ります。


この汚染水の量を減らすというのは、例えばどんな方法で減らすということになりますでしょうか。


○石川迪夫参考人

 これは、炉心が熱を、崩壊熱で熱をずっと出し続けるわけでございますから、ここのところへぶっ掛けてやるかどのようにするかは別にして、ここのところで蒸発をさせてやればよろしいわけでございますので、そして量を減らしていく。最後の方の量になっていれば、やっぱりある程度の量は今おっしゃったような方法で何とか考えなくちゃならないし、その後の固化したものをどうしていくかということも併せて考えていかなくちゃならないと思います。


引き続きまして、収束しない場合について伺いたいと思いますが、福島県で過去に震度五以上の地震データを分析をいたしました。すると、まず昭和二年の八月と十月にマグニチュード六・七、それに準ずる五・九、昭和十三年、マグニチュード七・〇、その六か月後に七・五、昭和六十二年、これはマグニチュード六・七、その二か月後に六・六、六・五、平成十六年の十月に六・八と六・一と、最後に昨年の平成二十二年にマグニチュード六・七、その三か月後には六・二というふうに、この過去九十年間の歴史の中で大きな地震が発生したときは、この福島の場合においては、その間を置かず何か月後かに同規模、同レベルの地震が起きているというのが過去九十年間で五回ございます。
 ということは、今また同規模の地震が起きるとも考えられますが、この場合、この事態、この原子力発電所の状態がどのような想定がされるか、あるいは大津波が発生した場合どのような対策を今考えているのかということについて伺いたいと思います。


○石川迪夫参考人

 原子炉の状況ということだけを考えますと、後、地震が来ようが津波が来ようが、原子炉というものですよ、これはそんなに変わりはないだろうと思います。しかし、あります汚水は津波が来たらこれはみんな持っていくでしょうね、太平洋の中に。そういたしますと、太平洋のチェルノブイリが起こるということになります。何とかこれは防止をするように急がなくてはならないと思っております。急いで間に合うかどうかということはこれは別でございますけれども、人間としてそれは急がなくちゃならないということは考えられると思います。ですから、問題は原子炉自身というよりも水、汚染の水の対策でございます。
 それから、いま一つは、プールがそれほど遮蔽のない状況で、今冷やしているわけでございますけれども、もう一回大災害が来たときにはこのプールがしっかりと保っているかどうか、こちらの方は構造的な面も十二分に考えておかなくちゃならないと思っております。しかし、これは、簡単に言いますと、現場に慣れた人が見て、うん、これはこうこうこんなものを取っ付けておけというこういう勘で、計算機を入れて計算しましても、コンクリート自身にひび割れか何かが入ったらこれはもう全然意味がありませんので、そんなようなものではなくて、実際の実物のものを見てどのようにやっていくか、そういうことが急がれるんであろうというふうに私は思っております。


 収束しない、そして悪化する場合の中に、先ほども質問がありましたが、現場の作業の中断というものが、やはり考えていかなければならないというふうに思います。
 現在、二千七百名と伺っておりますが、方々がもう必死になって働いてくださっております。これから夏を迎える、そして気温が上昇して暑い時期を迎えますけれども、集団熱中症等の環境の変化あるいは悪化に伴い作業が中断されるという可能性、その対策というものを考えていかなければならないというふうに思いますが、参考人としての知見を伺いたいと思います。


○石川迪夫参考人

具体的には、現地へ行ってよくその状況を見てみないとまだ物が言えないんで、私まだ行っておりません、恥ずかしい話でございますが。
 ただ、原子炉、JPDRという日本で初めて原子力発電所を私自身は造りまして、ついでにこれを壊す指揮者であった経験がございます。この経験からいいますと、例えば原子力研究所の中で履いているつるっつるの研究用シューズというのがございますが、これを使わないと原子炉の中に入っちゃいけない規則がございました。初め、そのつるっつるの靴で分解をしようとすると、これはもう危なくてたまりません。それで、普通の作業用の、工業用の作業用のビブラムシューズに替えて、もちろんそれに履き替えるわけでございますけれども、作業をしたといったようなところがございます。
 作業を中断させるような要因、夏になったらどのようになっていくかということを言いたかったわけでございますけれども、今は非常にビニール製のタイベックスーツといったようなものを着てやっておりますけれども、これがもし先ほど言った特別の治外法権でございましたならば、そんなにもう外側の方に、空気の中に放射性物質が飛んでいる状況じゃございませんから、私は普通のつなぎの作業着でいいんではないだろうかというふうに内心思っております。そうすると、炎天下でも働けます。
 それからまた、ビニールのシートで覆うなんていうような計画がございますけれども、これは温泉を造るようなものでございますから、この夏の暑いときでは余計働きにくくするような要因であろうと。
 しかし、もう書いてしまってあるからやらなくちゃならない、こういうばかげたことになりますといけませんですね。やはり考えて、それに適したものを作っていかないと。


では、収束しない場合の、最後に質問させていただきますと、台風、やはり豪雨の影響について伺いたいと思います。
 平成元年から二十一年にかけて、福島県全域及び浜通りを直撃した台風、これ平成元年から二十一年にかけて二十五あります。それから、豪雨における災害はもう十八回になります。また、福島県で起きた水害による床下浸水、特に千件以上を超えた年を調べますと、平成元年、三千四百二十七件、平成五年、二千八十八件、平成十年に四千百五十五件、そして平成十四年に千三百九十五件と、ほぼ五年おきのサイクルでこのような床下浸水の大きな被害が発生しております。
 これからこのような規模の台風、そして豪雨などの自然災害が起きた場合に、工程表の想定ではこれは入っていませんが、原発においてどのような事態が想定されるかということを伺いたいと思います。


○石川迪夫参考人

ますます難しい質問で弱っておりますけれども、災害の方がどれぐらいの頻度でいつ来るかということが分かっておりましたら、またそれなりの対策が取れるんでございますけれども、ないということになりますと、一つは、災害が来ても水をある程度出さないということを考えなくちゃいけないことになるかも分かりません。
 今じゃあじゃあじゃあじゃあ掛けておりますから、水はどんどんどんどん増えていっている方でございますね。それから、これも新聞報道で間違っているかもしれませんけれども、水を移送したらまた入ってきて同じようなレベルになっちゃったと、地下水の関係かも分かりませんけれども、こういったところの解明はきちっとなされていないと思います、先ほどの炉心の中の解明と同じように。何しろ、水が問題ということになりますと、水の解明をすべからく早くしてと申し上げても、私、そちらの土木、地球物理の方の関係ではございませんので弱いんでございますが、それの対策というのは必要かというふうに考えております。
 なお、その対策は津波の対策で、何か物すごい距離のところでなにをするんではなくて、ある程度のエリアにとどめられるんではないだろうかと、ひょっとするとその下の深いところまでコンクリートの塀を入れるなりといったようなこともできるのかも分かりません。この辺りは土木関係者の方に聞いてみたい問題でございまして、ちょっと私の専門とは違いますので、これでお許しいただければと思います。


 それでは、現在建設中の原子力発電所等についての質問をさせていただきたいと思います。
 現在、電源開発が青森県で建設中の大間原発についてお尋ねをいたしたいと思いますが、大間原発は十二メートルの海抜、標高にありまして、四・四メートルの津波を想定をしています。この函館から最短で十八キロという、今回の事故が起きますと警戒区域の中に入ります。そして、大間では四月から八月の間、南西の風が吹く、つまり函館に向かって吹く傾向があります。
 現在は、原子力安全委員会によって防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲、いわゆるEPZは十キロ圏内とされておりますけれども、やはり今後、風の影響を考えた上でエリアを広げることが必要ではないかと、そのように考えます。国の防災指針を変更すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。


○石川迪夫参考人

先ほども似たような御質問があったかと思いますけれども、十キロ圏とかそういったようなものはあらかじめ準備をしておくという範囲だったと思います。しかしながら、実際の避難ということになりますと、風向きとは無縁ではございませんし、風の様相によっては今よりももっと長く行くようなこともあるかもしれませんが、逆に言えばその方向以外のところはこれは余り問題ではないわけでございます。
 したがいまして、私自身が思いますのは、今回の避難はちょっと早過ぎたと。実際上、放射性物質が出たのは三月十五日だったというふうに記憶いたしておりますが、一号機のときに海の方に風が吹いていたんでしょうか、私自身データを持っておりませんが、そういうふうな状況でありますと、二日か三日は家に待機できたわけです。そのときに政府は、自動車とかそういったようなものは準備して、避難の準備はする必要があったかと思いますけれども、避難するかもしれないよというふうにやっておけばいろんなものが持ち出せたわけでございますね。
 原子力災害というのは、チェルノブイリの場合も一日半の被災までゆとりがございました。その前日、あれは火災でもってやってくるまでは、放射能というのはありませんでした。それから、スリーマイル島は、これは誤報でしたけれども、二日間半たった後で知事が避難命令を出している、これは誤報ですから何にも起きておりませんが、そのように時間的なゆとりがあるわけでございます。
 したがいまして、IAEAの規則でも、あらかじめ臨界になるときに逃げ道をよく考えておきなさい、その準備をしておきなさいということで、それ起きた、それ避難というんで問題があったんであろうと思っています。ですから、計画的な避難領域、そこのところに、どこかのところに自動車置場をやったりルートなんかを考えておくことは必要でございますから、これは十キロでもいいかも分かりませんが、実際の防災と計画とはこれは違うというふうに考えておかないといけないと思います。


最後になりますけれども、特に今回、津波の想定とそれに伴う電源喪失について参考人は、過去の歴史的事例から演繹された結果を絶対的数値として信用して設計上採用した不明があると指摘をされておりますが、今後、政府に対して申し上げたいこと、それから協力に対して是非おこたえをされるというふうに思いますが、特に政府に対して今これだけは申し上げたいということを最後に伺って、終わりにしたいと思います。


○石川迪夫参考人

今政府に対して言いたいことというお話でございますと、先ほど申し上げました点に尽きるんでございまして、これは治外法権区域を是非ともつくっていただきたい。そうして、その中に、首相と同じぐらいの権限を、首相と話ができるような総司令官を置いていただきたい。その参謀に、もしおまえら働けと言うんでしたら、なって必要なことは申し上げますが、そういうふうな組織をつくって、その下に働く人たちを、兵隊さんたちをつくっていただきたい。
 それから、非常時のルールを適用することをためらわないように、その中でございますけれども、その代わり、それ以外のところは今までと、平和な日本と同じように暮らしていただきたいと。そのことだけでございます。
  

ありがとうございました。これで終わります。