本日10:00より、環境委員会が開催され、私が質問に立ちました。


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(長谷川 岳)

北海道の長谷川岳です。札幌市民の98%の水資源を供給している南区定山渓に住んでおりまして、このあたりにはクマゲラが住んでおります。私の家の500M先には、ヒグマのけもの道があり、一度遭遇したこともございます。生物多様性というものに、十分肌で感じる場所に住んでおりますので、早速質問に入らせていただきたいと思います。


 21世紀は環境の時代と言われております。菅政権におきましても、「新成長戦略」の「成長分野」の筆頭は、グリーン・イノベーションであるとしております。
しかるに、環境省における平成22年度一般会計予算額は2072億円となっております。これは政府全体の予算額のわずか0.22%を占めるにとどまっております。
環境省の平成22年度の定員は1245人ということですが、これは国家公務員全体に占める割合が0.21%となっております。また、行政機関の公務員全体の定員に占める割合は0.42%となっております。これは予算と同様、環境省は定員も少ないものであることを示しております。
気候変動、生物多様性などの分野で、次々に新しい政策を打ち出していかなければならないのに、この程度のマンパワーでは不十分ではないのでしょうか。松本環境大臣のお考えをお伺いします。

(松本龍環境大臣)
とても重要な話をしていただいてありがとうございます。
全公務員における割合が0.2%ということで、私も環境大臣になってからまだ50日くらいですが、本当に多岐にわたって環境省が取り組んでいるということを改めて気がつきました。
環境省の定員の割合はわずかではありますが少しずつ増やしていかなければならないという思いは自分自身にはあります。
しかしそこで税金を使うわけですからしっかり安いコストで多くの成果を上げるという本分はしっかりわきまえていかなければならないと思います。
厳しい財政状況の中で他の省庁はいろいろ削減されていますが、環境省については毎年増員が少しずつではありますが認められてきています。
低炭素社会の構築や生物多様性の保全など重要な課題に一丸となって取り組んでいきたいと思っています。


2)定員の問題

 「地域における多様な主体の連携による生物の多様性の保全のための活動の促進等に関する法律案」にあるように、環境とは地域に根ざしたものであり、地域によって多様な環境を保全するためには地域に密着した行政を行うことが第一と考えます。国がしっかりと責任を持って国民の生命、生き物、地球を守っていくためには、地方の現場の体制を強化することが必要と思われますが、大臣のお考えをお聞かせください。

(松本龍環境大臣)
ご指摘のように地域の人たちがしっかり頑張られる姿、そして地域住民とフォローアップしていく姿を作らなくてはならないと思っています。私がここ十数年、政治で一番大事なことはということを考えてきましたが、孔子様が約二千年前、弟子から政治の要諦はと聞かれて、こう言ったのだそうです。「近き者説び、遠き者来る」。これは地方自治の原点だと思います。今までのリゾート法であるとか様々なグリーンピアとか近くの人は泊まりません。宮崎に住んでいる人は宮崎のリゾートには行かずきれいな海で泳ぎます。プールでは泳ぎません。ですから、近き者喜んで初めて、そのうわさを聞きつけて遠くから人がやってくる。このことをしっかりやらなければこれからダメであろうと。昔の施策は遠くから人を呼ぼう呼ぼうとして施設を造ったりしたけれどもそれが今さんざんな状況になっている。だから、これを改めていくのがこれから新しい環境の時代、今おっしゃった二十一世紀、環境の時代であろう。
小さなその町の人が喜んで、本当にこれで良かったなということが実感できたときに、園噂を聞きつけて外から人がやってくる。町おこしというのは、先生は町おこしの名人ですから、そういう意味ではそれが大事だろうと思っています。奄美地方もレンジャーの皆さんも活動していただきました。
そういう意味では3日前も、地方環境事務所にしっかり頑張ってくれと、そして、今まで前任者のやったことではなくて、もっと自分で仕事を見つけてきていろんなことをやりましょうと言いましたし、自分を模倣するということはやめましょうということも言いました。
いろいろ言いましたが、私たちも出先機関の改革については、住民に身近な行政はできるかぎり地方自治体にゆだねるという補完性の原則のもとでやっていますが、いずれにしても国と地方の役割分担をしっかりしていきながら見直しを行って行かなくてはならないし、それぞれが責任を守っていくという責務を果たしていきたいと思っています。


3)TPPと生物多様性
 菅政権は11月9日、TPPについて「関係国との協議を開始する」旨、閣議決定しました。このような流れの中では、より一層の農地の大規模化、集約化が求められます。里地、里山を守ることが困難になると思われます。
 いみじくも時を同じくして、COP10は開催されました。生物多様性を守るためには、日本の里地・里山が高く評価されております。環境問題を克服するために、我が国は今こそ自国の誇れる伝統、文化であるこの里地・里山を世界に広める必要があると考えます。
 この、APECのTPP参加検討と、COP10における里地・里山の保全、同じ時期に世界に発せられるこの二つのメッセージは全く矛盾するものであると考えますが、環境大臣としてはどのようにお考えでしょうか。
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(松本龍環境大臣)
TPPにつきましては、関係諸国と協議を始めることのみ閣議決定されています。今おっしゃったとおりCOP10でもSATOYAMAイニシアティブが採択されました。五十一の国や機関が参加をし、大きな成果であると思います。
原生林があって、里山があって、人里がある、そういう日本古来の住まい方をしっかりやっていくには、やはり農林水産業も含めて大きな役割を果たしていると思います。そして生物多様性の保全にも大きく貢献をしているということは私も認識を一にしております。現在、政府部内においてTPP協定交渉への参加について検討を行っているところと聞いていますのでしっかり心していきたいと思います。


4)閣議決定の検討という話になりますが、環境省としての試算を作らないのかということを質問させていただきます。たとえば里地・里山のような、集落が守られることによって、どのような効果があるのか、数値的な試算は存在しないのでしょうか。逆に、TPPの推進により、里山が守られないことで、どのようなマイナス効果が考えられるのか、環境省主導で試算することは非常に必要であると思います。TPPの議論では、農林水産省、経済産業省、内閣官房が独自の試算を算出し、議論の遡上(そじょう)に載せております。たとえば、農林水産省には、農業の多面的機能の損失額が3兆7千億円という試算が出ております。環境省も、ぜひとも、このような試算を作るべきだと考えますが、いかがでしょうか。

(松本龍環境大臣)
大変重要なご指摘だと思います。
生態系と生物多様性のサービスという「TEEB」という枠組みがCOP10の中で注目されたのですが、今おっしゃったように里山があることによる経済額、なくなることによっての損失、森林を取り除いて何か開発をする、その経済額、損失。そこには様々な多様な生き物がありますし、CO2の吸収もあるということもあって、そういうものをやっていかなければならないということはcop10でも様々議論があり、私は注目に値する話だと思います。
しかし環境省として、生物多様性の観点から試算を独自に行うことは考えていません。総体としてなかなか難しいと思います。
しかし重要性は十分認識しており、これまで定量的評価は十分行われていませんでしたが、環境省として、今後、生物多様性の経済的な価値や生物多様性の損失に伴う経済的な損失などの把握に努めて参りたいと思います。


5)前原外務大臣は、農業生産額はGDPの1.5%であり、そのために残りの98.5%が犠牲になっていると発言しておりますが、このことについて環境大臣はどのようにお考えですか。
(松本龍環境大臣)
その発言については詳しく存じ上げていませんが、一次生産の場である農地や、森林、湿地、小川等々生物多様性の保全や自然体験の場としても多面的な意義や機能を有している認識は共有していると思います。
TPPの問題についてはこの場では発言を差し控えたいと思います。


6)COP10について質問します。COP10の現場責任者としてご尽力された近藤副大臣にお聞きします。私はGLOBEにも参加させていただきましたけれども、里地・里山とは何か、端的にご説明していただきたいと思います。

(近藤昭一環境副大臣)
北海道を中心に全国的に活躍され、また愛知県出身で私の高校の同窓でもあるということで、また環境問題について一緒に取り組んで参りたいと思います。
里山ですが、位置的には町と奥山の間ぐらいにある、たとえば水田やため池、雑木林など我が国の原風景ともいえるところだと思っています。ただ、そこのひとつの特徴としては、長年にわたる人間の働きかけを通じて形成をされてきた自然の恵みやふるさととして魅力にあふれた場であると認識しています。
またSATOYAMAイニシアティブはこのような里地里山を含め、農林業などの人間活動を通じて維持形成されている世界各地の二次的自然環境を広く対象としている、このことも重要だと思っています。
つまり日本のSATOYAMAもありますが世界各地にそれぞれの特徴をもった里山があるということであり、そこで人間と自然が共生している場であると認識しているわけであります。
世界各地から収集した事例を基に、日英両言語での事例、紹介ビデオならびにホームページ等の視覚的な媒体も作成、活用し、その普及に努めています。引き続き、里山をはじめとするSATOYAMAイニシアティブが対象とする環境のイメージや概念の普及に努めてまいりたいと思います。


7)今のご説明ですと、私たち年代までなら何とかわかると思うのですが、若い世代にわかるでしょうか?先月開催された生物多様性条約締約(ていやく)国 第10回会議(COP10)において、SATOYAMAイニシアティブを推進するためにパートナーシップへ参加することを勧奨(かんしょう)する旨の持続可能な利用に関する決議が採択されました。
 我が国の誇るべき伝統・文化である里地、里山を世界に広めるためには、それがどのような概念であるのか、もっとわかりやすく説明する必要があると思われます。その方法論はお持ちでしょうか。たとえば、私も子供のころに呼んだ桃太郎などの、日本昔話とか、あるいはアニメ、あるいは、シンボリックなイメージ戦略として、水田、畑などのイメージを使って、より若い世代にわかりやすく伝えていくというような方法論を、もう一度お聞かせいただきたいと思います。
(近藤環境副大臣)
大変重要なご指摘であると思っていまして、まさしく私どもの年代ということかもしれません。私個人的なことで申し上げましても里山というかこうしたものを大事にする心を忘れてはならないということで、私も二人の子供がおありますけれど、なかなか休みがとれないですが、休みにはこうした原風景に連れていくと、こういうふうに私としても個人的にはやっています。
またSATOYAMAイニシアティブパートナーシップ発足式に私も参加しましたが、NGO、NPO、あるいは民間企業なども含めて多くの方々に参加をしていただき、こうしたネットワークの中でビデオ、事例、こういうものを紹介する中で進めていきたいと考えております。


8)米国の参加について
 COP10では、アメリカ合衆国が正規の参加ではなく、オブザーバーとしての参加でした。アメリカ合衆国では、この会議の存在自体が広く知れわたっていないと伺っております。環境問題は各国が連携して初めて解決に向かうものであり、超大国がオブザーバーとしての参加ということでは、実効性を伴わないのではないと考えます。米国に正式参加を促すために、何か具体的な戦略があればお聞かせください。
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(近藤環境副大臣)
ご指摘のことは大変懸念されるところです。
ご承知のとおりCOP10においては米国はオブザーバーとしての参加であり、かなりいろんなところにご参加であったと承知しております。そういう意味では決して生物多様性の保全に後ろ向きなのではなくて、これまでも国際協力を進めているほか、COP10の議論にも参加しようという意図は私も現場におりまして感じました。
また我が国の提案した国連生物多様性の十年が決定されれば、米国も含め国連全体で生物多様性の保全に取り組むことになると承知しております。
また実はさきにCOP16のプレ会議に私もメキシコシティに行って参りました。また米国の温暖化の担当の方ではありましたけれども環境問題で意見交換をさせていただいたところです。
様々なルートを通じて米国の条約加盟については努力してまいりたいと思います。


法律案についての具体的な質問に入らせていただきます。

9)法律案の予算
 生物多様性に関する平成23年度概算要求金額を教えていただきたい。そして、たとえば、この法案に関連事業のひとつである、「地域における生物多様性保全活動」の来年度予算は、約2億4千万円となっており、40あまりの事業があると伺っております。この法案が周知されることになれば、さらに事業数が積み上がることが予想されますが、いかがでしょうか。
(松本環境大臣)
ご指摘のように市町村やNGOの関心も高く、平成二十二年度については二億4千万円の予算措置を行っております。全国各地の取り組みに活用いただいているところです。
来年度については同様に二億4千万円を要求しており、今年度に事業が終了する地区もあることから、新たな要望に対しても限られた財政の枠内で対応が可能であると考えております。
一層の効率的な、また効果的な執行に努めてまいりたいと思います。


10)海外比較
今回の法律案について、海外での、類似の法律が存在するのでしょうか。また、あるとすれば、予算措置はどのくらいのものか伺いたいと思います。

(鈴木自然環境局長)
実は海外の事例はあまり網羅的に承知しているわけではないのですが、たとえば韓国では自然環境保全法の中で村等が行う生物多様性保全上優れた取り組みに対して必要な措置等をとるという規定があります。
財政措置についてはまだわかりませんが、SATOYAMAイニシアティブパートナーシップ等も使いまして各地の事例等にも把握していきたいと思っています。


ぜひとも、他国に先駆けてリーダーシップをとっていただきたいと思います。

11)法律案の内容①
この法案には、環境大臣、農林水産大臣、国土交通大臣により「地域連携保全活動基本方針」を策定するとありますが、そもそも、この3省だけで足りるのでしょうか。たとえば、後ほど質問させていただきますが、土地所有者不明地に関する問題については、法務省が密接にからんでいます。生物多様性の問題は、3省だけではなく、多くの省庁にまたがっていると考えます。環境省のリーダーシップが不可欠と思いますが、大臣の見解をお聞かせください。

(松本龍環境大臣)
各地域における保全活動は、原生的な自然環境が残されている奥山地域は主に環境省、農林業が営まれている森林や農地は主に農林水産省、都市内に残されている緑地や河川は主に国土交通省など様々な地域で行われているます。活動の内容は、外来種の防除、良好な森林を維持するための間伐、水鳥の生息に配慮した田んぼの整備、河川の魚道の設置とか、いろいろ様々な省庁に分かれているということはもうご承知のとおりであります。したがって主務大臣とそれぞれがなっておりますが、今おっしゃったように三省を超えた共通の課題ということで環境省は引き続きリーダーシップをとってまいりたいと思います。


12)法律案の内容②
 本法案第四条第一項には、地域連携保全活動基本方針に基づき市町村による地域連携保全活動計画の作成することができる旨明記されております。計画作成のノウハウは誰が指導するのでしょうか。環境省の中で、その体制をどのように整えていくのか、お聞かせいただきたい。

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(自然環境局長)
今ご指摘あった主務大臣が策定します基本方針野中で、地域の特性に応じた活動の重要性やこうした計画の作成に係る手続き、それから園計画を作る際の指針などを書き込みたいと思います。
また具体的な計画を書く際の手引き書みたいな、もっと具体的な中身についても環境省で作らせていただこうと考えておるところでございます。

13)森林売買について①
先ほど触れました、土地所有者不明地に関する問題で、少し時間をとらせていただきたいと思います。日本の森林は、日本の環境を守る、水資源、土壌を守るため、あるいは生態系の維持、CO2の削減、生物多様性の観点からも重要だと考えます。そのためには国内の森林整備は不可欠であると考えますが、実際はそれもできていない、異常事態になっています。特に、北海道で起きている問題について、北海道議会の小野寺議員を始めとする多くの地元の皆様にご協力をいただきましたので、質問させていただきます。
まず最初に、深刻な問題となりつつある森林売買についてお伺いします。海外資本による森林売買の事実を林野庁は把握しているのでしょうか。把握しているとすれば
いつの時点から把握しているのかお聞きしたいと思います。

(田名部農林水産政務官)
まず各方面からいろいろご指摘があったことを踏まえて、平成20年6月から調査を開始をいたしました。現在もその調査を続けているところでありますけれども先生ご指摘の北海道の件について、これは平成二十一年に報告を受けているところでございます。
(長谷川岳)

聞くところによりますと、林野庁長官は、自ら北海道に出向いて、海外資本に買収された水土保全林の視察を行ったと聞きますが、長官からその報告等、伺っているでしょうか。率直な感想等を伺いたいと思います。

(田名部農林水産政務官)
済みません。今、確認をしたところ、長官ではなくて計画課長が…現場の方に伺ったということでありますが、その報告は改めてしっかりと受けたいと思います。


14)森林売買について②
林野庁はH18年~H20年における海外資本の森林買収の実態を調べる「全国調査」を行っていましたが、何故この調査の対象を30ha以上の売買という広大な森林のみを対象にしたのでしょうか。また、H21年における売買の実態調査を中止しているのは何故でしょうか。国として、対象森林の条件を変更した上で、早急に実態の解明に向け本調査を再開すべきだと思いますが、見解をお聞かせ願います。

(田名部農林水産政務官)
先生のご指摘のとおり調査の対象が三十ヘクタール以上ということで、実は、これは大きな面積でなければその水資源、水を確保できないというような観点から、件数ではなくて広い面積ということでこの三十ヘクタール以上ということで調査をしていました。
もう一点、平成二十一年度以降調査をしていないのではないかということですが、平成二十一年七月に平成二十年の取引を対象に調査を行っています。
それで現在ですけれども、今年の4月から各都道府県に面積に関わらず土地の売買があったときにはしっかりと速やかにご報告をいただくように各都道府県にお願いしているところでございます。
(長谷川岳)
もう一度質問しますが、売買の実態調査を中止しているのはなぜでしょうか。

(田名部農林水産政務官)
売買の調査は中止しておりませんで、平成二十一年7月にもこの調査を行っています。平成二十一年7月の調査は平成二十年の売買についての調査を行ったところであり、調査はやめていないというかちゃんと継続をしているところです。
(長谷川岳)
確認ですが、平成十八年から調査は続行しているという認識でよろしいでしょうか。

(田名部農林水産政務官)
平成二十年7月に平成十八年、平成十九年の取引を調査し、平成二十一年の7月に平成二十年の取引を対象に調査を行っています。

(長谷川岳)
引き続きその実態調査を続けていただくことを望みます。

15)森林売買について③
森林を守るために最も大切なのは、「国内の森林の所有者を把握する」ことであると思います。1ha以下の森林の所有者、1ha以下の売買等を含め所有者を把握する必要があると思いますが、田名部農林政務官のお考えをお聞きしたい。
(田名部政務官)
先生ご指摘のとおり所有者を把握するということは非常に重要なことだと思っており、これまでその把握が適切に行われていなかった状況があります。
それを踏まえて今までは各都道府県からの情報を基に聞き取り調査を行ってきたわけですが、今年4月からは面積に関わらず売買が行われたときには届出をしてもらうということと併せて、国土交通省との連携、また登記簿の調査や地積調査の情報ということも含めて連携をとりながらその把握に努めているところです。
(長谷川岳)
届出だけではなくて一ヘクタール以下の森林所有者、売買をしっかりと把握するためのあらゆる手段を取っていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

(田名部政務官)
非常に重要なことだと考えておりますので、各省庁との連携をとりながらその把握に努めて参りたいと思います。


16)森林売買について④
今、日本で起こっている森林の買収問題の大半は「保安林指定を受けていない民有林」で起こっており、私は“保安林=水源であるから、保安林を網にかければ水は守れる”と考えるのは危険だと思います。そもそも保安林は森林全体の3割程度しかないのですから、保安林ではない森林についてもしっかり目を光らせていく必要があると思いますが、政務官としてはどうお考えですか?

(田名部政務官)
現在、森林法に基づいて、保安林に関しての伐採の許可制度であるとかその転用の規制が行われているところであります。保安林以外の部分に関してもこれは開発行為に対する許可制度というものが設けられてrおります。あわせて森林所有者が誰であってもきちんとその適切な森林の施行が行われるようにしていくことが非常に重要だと考えておりますので、そういったことを都道府県に対してもしっかり指導を行っていきたいと考えております。


17)森林売買について⑤
「海外の資本が森林を買収しているのは水資源が目的である」ように考えている方が大半ですが、水資源や二酸化炭素、木や不動産、生物多様性や国土、安全保障・・・等々、様々な角度から議論をする必要があります。しかし、残念ながらそこまでの議論にはなっておりません。また、この問題は多くの法や官庁が複雑に絡み合っており、立法までの道のりは困難を極めます。であるなら、例えば「問題解決の為に国にどんな組織を作るべきか」といった議論を国が行っていく必要があるのではないでしょうか。

(田名部政務官)
この影響の大きさであるとかまた具体的に発生している問題というものをしっかり把握する必要があると思っています。それを踏まえて国防上というか安全保障上どういうことが必要なのかということは他省庁との連携を深めながら検討していく必要があると考えています。

18)森林売買について⑥
 森林をダメにしたのはいろいろな理由がありますが、そのひとつとして森林所有者が森林施業計画を出していないことが挙げられます。たとえば、5年以上の森林施業計画が出されていないかつての国立大学等の演習林があると聞きます。どのようにお考えですか。

(田名部政務官)
各演習林での独自の経営計画を策定をして計画的な施行が推進されているとともに、国立大学の時代には国有林として扱われていたことから森林施業計画は作成されていなかったところであります。

19)森林売買について⑦
 国は「外国企業でも良いから森林を売りたい」という森林所有者に対し、どう対応しようとしているのか全く解りません。森林所有者が森林を手放す理由としては、「長く低迷してきた木材林業関連の企業に、さらに不景気の波が襲っている。」「山から木を伐採して売るにも、輸入材の安さに押され儲けを上げることは難しい」「所有者が解らない森林が多数あり、コスト削減の為の林道を作れない」「海外資本が森林をかなり高い値段で買う」「木材・林業関係の森林所有者が高齢となり、後継者が居ない」などを理由にあげることができますが、このように海外資本に森林が売られ続けるのは、「国家存亡にかかわる一大事」であると考えます。
事実として、釧路湿原の摩周側17万坪をふくむ森林原野等が売りに出されています。これは生物多様性を守るということで東京の会社が買う交渉をしていると地元の不動産業者から聞いています。転売されるようなことがあれば問題だと思います。このようなことは本来民間に任せる性格のものではなく国も積極的に関与すべきことだと思います。田名部政務官のお考えをお聞かせください。
(田名部政務官)
所有者をしっかり把握するということと、売買の事実がどうなっているかということ、この実態調査を含めてしっかりと行っていきたいと思いますし、あわせてその森林の所有者がだれであり、きちんとした公益的な森林の役割を守るための取り組みをしっかり行っていきたいと考えています。


20)森林売買について⑧
 COP10の議長国として、生物多様性に深く関与する森林を早急に把握し、その森林に関しての規制・監視を強化すべきではないでしょうか?現状では、都道府県と市町村しか指定されていません。民有林も指定されるべきではないでしょうか。
(田名部政務官)
しっかりと状況を把握しながら森林の整備、そして保全を進めていくことが重要だと考えますし、森林・林業再生プランを作成いたしたしました。
今の林業の現状ということを考えますと非常になかなか未来に希望が持てない、利益も上がらないといういろんな状況の中でそれが衰退をしてきたと考えています。
しかし今申し上げた森林・林業再生プランを基に十年後には国産材の利用率を50%と、そしてそのことをもとに農山漁村というものをしっかり、まさに地方を元気にしていきたいという思いで今取り組んでいますので、生物多様性ということも含めて環境にもしっかり貢献できるような体制作り、プランをこれから実行して参りたいと思います。
(樋高剛環境政務官)
環境省からもお答えさせていただきます。
生態系の基盤となるまさしく森林の保全ということ、これ生物多様性の観点からもとても重要であると考えているところでありますが、我が国の自然環境を把握する、そのために自然環境保全基礎調査を実施してきたところであります。
その結果をしっかりと活用して生物多様性の観点から重要な地域の把握に努めさせていただいているところでありますが、その取り組みもしっかりさせていただきたいと思います。
環境省におきましては自然環境保全地域あるいは国立・国定公園などの保護地域制度を所管していますが、これらの制度の活用により生物多様性上重要な地域について優先度の高い地域から適切に保全して参りたいと思うわけですが、北海道の情報も含めて是非またご指導いただきたいと思います。

21)森林売買について⑨
 森林の区分や森林に対する規制がアバウトすぎると考えます。所有者での区分は大雑把に公有林と私有林の2つに分けられ、規制等から見ると保安林とそうではない森林の2つの区分だけとなっております。また、森林政策における森林の持つ機能面からの分類でも“水土保全林”“森林と人との共生林”“資源の循環利用林”という不思議な3分類のみであります。つまり、生物多様性に密接にかかわる森林や、自衛隊の基地や空港、原子力発電所という施設に隣接する森林は、他の森林と区別されていないことが異常なのです。また、規制も保安林以外はほとんど無く、このことも議論が必要です。例えば、北海道においては自衛隊基地周辺3kmの森林の調査を開始していますが、聞くところによると現在50箇所以上の森林所有者が特定できない状況であり、その中に海外資本も含まれていると聞いております。また水源である森林も海外資本の買収されており・・・これはすでに林野庁長官が視察をされた森林ですが、今後、我々は森林の場所や特性等を考慮し、その森林に合った対応をしていく必要があると思われますが、どのようにお考えでしょうか。

(田名部農林水産政務官)
森林計画において重視すべき機能に応じてその目指すべき森林の姿というものを区分することはその仕組みはあるのですがその他の観点から森林の機能発揮ということとは別にその区分をするということが非常に困難であるというのが今の考えであり、それぞれの土地利用という観点から土地の取り扱いを検討するべきものであると考えています。

22)自然再生事業
 環境省における自然再生の事業、エコツーリズム、環境教育のような事業を活用して地域の活性化を図ることが生物多様性を保全するために大切です。自然と調和した生活が行えるようしっかりとした予算を確保していただきたいと考えております。
 たとえば、北海道寿都町では、9基の風力発電を設置し、キロ単位15円で売却すれば2億8千万円の余剰金が発生します。それを1次産業の基金に回していると聞いております。このような環境循環型事業という形の、いわゆる公共事業というものは、環境省主体で行われるべきと考えますが、いかがでしょうか。

(樋高環境政務官)
まず全段の予算の確保という点ですが、ご指摘のとおり地域の自然環境の保全、再生、そして地域経済の活性化の両立を図るということは生物多様性の観点からもとても重要であると認識しています。
特に先生がおっしゃったエコツーリズムについては、地域の魅力を高める、そして多くの観光客を引き込むことにより地域経済の活性化につながるなど、自然環境に触れあう機会をつくることにより環境保全の関心が高まっていくものであると認識しています。
環境省としても、エコツーリズムのためのプログラムの作成あるいはガイドなどの人材育成、エコツーリズムのための基礎となる国立公園などの整備を進め、生物多様性の保全が元気な地域作りにつながる事業を特別枠として要望をさせていただいているところでございます。
先生は地域おこしのプロフェッショナルでもありますので是非こういった面でもご指導いただきたいと思う次第であります。
そして、後段の部分ですが、日本各地には豊かな自然、風力、太陽光、バイオマスなど様々な環境資源が存在しています。宝物であると思いますが、こうした地域の資源を上手に活用する、住民も参加をしながら時にビジネス化も図っていこうと、そしてその利益を住民が享受をすれば、環境対策、それともう一つ大切な地域活性化を同時に推進することができると、今後の社会のあり方として理想的であろうと思います。
このような観点から、環境省においては、地域資源を活用して、かつ地域住民も参加できる環境ビジネス手法といたしまして、環境コミュニティビジネスを推進させていただいています。資金調達の手段をまとめたり、ファンドの設立方法をとりまとめたマニュアルを作成したりしながら広く情報提供をすることなどを通じて支援を行っています。
こうした地域資源を活かした環境ビジネス、地域それぞれに根ざした、特性を活かした取り組みが全国的に広がっていくことは、今後我が国において持続可能な社会づくりを進めていく上で大きなカギを握るというものでありまして、促進して参りたいと思います。

(長谷川岳)

環境を成長分野ととらえるならば、豊かな自然をほどよい富に変換し、地域の皆様がそれを享受できるような仕組みが必要なのではないでしょうか。それが国家戦略として環境を考えるということだと思います。
私は、地域再生のためには環境を主体とした公共事業のあり方を検討するべきであると考えています。従来の完結型から環境循環型公共事業へと切り替えるためにはどのような手段が必要か、国を挙げて知恵を絞るべき時期がきていると私は思います。その意味でも、地域の特性に密着した方法での政策推進をすべきであり、実効的な制度設計を期待しております。その点について、もう一度、環境省の見解を伺いたいと思います。

(松本龍環境大臣)
先ほども「近き者説び、遠き者来る」と言いましたが、地域の人たちが喜んで初めて遠くから人が来るということが政策の原点だと思います。よさこいソーラン祭りにしても最初は百人か百五十人くらいから始まって、それを聞きつけて全国に広がっていった。
ですから、そういう地域から発信して外から人が来るというのが、私はすべてのこれからの政策手段であろうと。遠くから人が来るために箱物をつくるのではなくて、近くの人たちにNPOとか地域住民とかそういう人たちにバックアップしていくやり方がこれからの新しい時代だと。
私はもう十数年前からそれを言い続けて居ますが、経済がこれだけ疲弊して、もう無いものねだりはやめましょうと。うちにないからあの箱物をつくってくれはやめましょう、あるもの探ししましょうと。そして、今度の里地里山法案はあるもの守りです。あるものを守りましょうという法案だと私は思います。
環境ビジネスについても、今何をみてもエコ何とかなどいろいろあって、私もこれからは時代が違ってくるんだな、そのインセンティブによってビジネスも変わってくる。そして最先端の技術を持っている国が、今、消費者の部門で今CO2が削減されていないと言われますが、祖今度そういう製品を買うことで民政部門のco2を押さえていく。そういうところをずっと育てていけばビジネスちゃんすも広がっていくし、グリーンイノベーションということが広がっていく。子供たちもそれに気がついている。生物多様性のときも再度イベントに子供達や若者が中心になってやってきた。やはりそういう機運を盛り上げていって、あるものを探しましょう、守りましょうという法律をどんどん作り、それをツールにして様々な生態系を守る、森、川、湿地を守る、そういうことに我々は力を尽くしていきたいと思います。


23)環境教育の必要性
 次世代の子供たちへの教育という部分での質問で最後をしめさせていただきます。生物多様性の理解を深めるためにも環境教育の必要性を十分感じております。北海道も、富良野自然塾等含め、非常に環境教育のNPOが活発になってきておりますが、教育者が参加する研修会でアンケートを行った時に、先生たちのほとんどが環境問題の基礎知識を全く持っていないということを耳にしました。温暖化がどの程度すすんでいるのか、今後どうなると言われているか、全くわかっていないと。
その理由は、学校で一度もまとめて環境問題の勉強をしたことがないことが非常に大きいと考えます。未来の子供たちに環境保全の大切さを学んでもらうためには、環境教育の必要性を強く感じています。そして、環境省が文科省と連携し、強く押し進めるべきだと思います。また、里地・里山等含めて、五感で理解するための学校外での授業が必要でありますが、北海道はご他聞に漏れず、北教祖大変強いところでございますから、こういった課外授業についての教師の認識を変えなければなりません。環境大臣のご意見をお聞かせ願います。

(松本龍環境大臣)
ここには環境保全活動、環境教育推進法に基づきとかいろいろ書いています。
アメリカでは、たとえば長いブリッジがあって、そこの現場をみたり、そこを通って物づくりに対する関心を高めようとか、そういうことが小坂大臣もおられますけれども大事だろうと思います。
もう一つは親と子の会話とか、先生と子供達の会話とか、もったいないという言葉がありますが、あるいはそういう何か小さいこと、地域での小さいことを探しながら、そこの地域にいろんなおじいちゃんおばあちゃんがいて、この人達がいろんな知恵を持っている。こういう人たちと子供たちを接触させるとかいろんなことが、やっぱり環境教育もふくめてそういう地域で発信をしていく、そしてそれをふくらませていく作業がいずれにしても必要だろうと思います。
文科省とも連携していきながらしっかり取り組んで参ります。ありがとうございます。


(長谷川岳)

特に森林の問題は、今、一番敏感な問題でございますので、早急に対応願います。これで質問を終えさせていただきます。どうもありがとうございました。  


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特に森林の分野は小野寺道議のご協力をいただき、北海道を代表する議員として質問させていただきました。
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なお、田名部政務官は「視察に言ったのは林野長官ではなく計画課長」と発言されましたが、改めて、林野庁長官自身が視察したことを確認いたしました。
今後とも、委員会の質問で内閣運営を追求していきたいと思います。


本日の委員会の様子は、動画でも見ることができます。

ご興味のある方は、以下のリンク先をご覧くださいませ。

http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php