本日13:00より、農林水産委員会が開催されました。

議題はEPA及びTPP交渉に関する件について。


私は国会議員として初めて質問に立ちました。


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(長谷川 岳)

「改めて、鹿野農林水産大臣、ご就任おめでとうございます。

今回、ご就任に際してお聞きしますが、大臣は9月17日の就任記者会見において、菅総理大臣から指示された内容として発表された中にはTPPについて全く触れられておりません。それはなぜなのか。また、TPPを前提として大臣を引き受けられたのか否かお伺いしたいと思います。そして菅総理大臣は10月1日の所信表明演説において、TPPへの参加を検討する」と表明いたしましたが、この発言に対する大臣の受け止め方についてお伺いいたします。またTPPの定義をどうとらえているのか大臣にお聞きします。」



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(鹿野農林水産大臣)

「菅総理から農林水産大臣を拝命したのは、EPAの推進に力を入れてくれということでありました。菅総理の所信表明におけるTPP参加の発言については、あくまでも検討するということであろうと思います」



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(長谷川 岳)

「今回のAPEC(エイペック)で突然態度表明をすることは、国内におけるコンセンサス形成プロセスが不完全ではないでしょうか。政権さえ維持していれば外交上は政府の責任で何でもコミットしてしまえるというのは、傲慢であり余りに国会軽視ではないかと思います。現在の状況の中、APECでTPP加入を表明することで本当に1次産業が守られるのか。大臣、副大臣、大臣政務官の三役にTPP参画の賛否をお聞きいたします。賛成か反対で簡潔にお答え下さい。」


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(鹿能農林水産大臣)

「長谷川先生の思いを込めての質問でございますが、TPPについては政府内で現在検討中であり、最終段階にきておりますので、私自身の意見についてこの場で述べることは差し控えたいと思います。」

(篠原農林水産副大臣)

「私も同じく、菅総理、鹿能農林水産大臣と考え方を一緒にしまして、対応しているところでございます。」

(松木農林水産大臣政務官)

「反対と言いたいが、大臣、副大臣になぞらえてやっていきます。」



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(長谷川 岳)

「北海道選出の松木政務官におたずねします。

北海道では、十勝管内が人口35万人中、就業人口の15%が農林水産業に従事し、製造業4000億円のうち食料品、飲料、飼料等製造分野で2900億円と7割強を占めます。同様に、網走管内は人口31万人中、就業人口の15%が農林水産業で、製造業は4200億円のうち、食料品、飲料、飼料等製造分野が6割弱の2400億円、宗谷管内は7万人のうち就業人口の15%が農林水産業、製造業が980億円のうち、食料品、飲料、飼料等製造分野が9割の890億円にものぼります。

こういった数字をみても、TPPは1次産業だけの影響とお考えでしょうか。」


(松木農林水産大臣政務官)

「1.5%だけだといった人もいましたけど、そうではないでしょう。もっと、幅広く影響があると思っています。」



(長谷川 岳)

「政権交代のきっかけとなった2009年の民主党マニフェストにおいて、’FTAの交渉を促進する。その際、食の安全・安定供給、食料自給率の向上、国内農業・農村の振興などを損なうことはない’と記載しているが、先日農水省が発表した試算においては、国内農業・農村の振興を大きく損なうものでございます。仮にFTAよりも自由度の高いTPPに参加するとなればマニフェスト(公約)は守られると認識されているのでしょうか。また、本年3月に閣議決定したばかりの「食料・農業・農村基本計画」においては、食料・農業・農村政策を国家戦略の一つと位置づけ、平成32年度の食料自給率(カロリーベース)を50%に引き上げることや小麦の生産を倍以上に増やすことなどが盛り込まれております。農水省試算では食料自給率は14%に低下する結果となっていますがが、マニフェ

ストに盛り込まれている食料自給率50%の達成のためにはどの程度の予算が必要と考えているのか。その試算はございますでしょうか」


(鹿野農林水産大臣)

「TPPに対する対応はまだ方向が決まったわけではありません。そういう意味で、これに対してどう対応していくかという、いわゆるぎりぎりの調整が行われております。」


(長谷川 岳)

「民主党が進めている戸別所得補償制度は「販売価格が生産費を恒常的に下回っている作物を対象に、その差額を交付する制度」としているが、農産物の自由化を前提とした制度なのか、そうではないのか、再度確認したいと思います。」


(鹿野農林水産大臣)

「戸別所得保障制度というのは、現在の国境措置というものを前提としてのものでございまして、そのことは明確に述べておきたいと思います。」


(長谷川 岳)

「特に北海道畑作農業の基幹作物である甘味(かんみ)資源作物、でん粉原料用馬鈴しょの生産量減少率は100%の試算結果となっています。加工原料作物は地域の製糖工場・でん粉工場で加工された上で、製品として流通しており、地域農業・地域社会・地域経済に大きく影響いたします。北海道農政部における米、酪畜を含めた7品目の影響試算においては、生産減少額は5,563億円、関連産業・地域経済への影響を含めると2兆1,254億円の減少になります。このように北海道経済が壊滅的となる数字が積み上がっていますが、このことに対しどう受け止めているのか、鹿野農林水産大臣に改めてお伺いしたいと思います。」


(鹿野農林水産大臣)

「高橋知事がTPPに対しての影響が約2兆1千億円という数字をお出しになったことは承知しております。これは、大変大きな影響を及ぼすことになるのだということを、改めて認識をしながら、その中で、どう対応するかということを検討させていただいているということです。」


(長谷川 岳)

「松本外務副大臣におたずねします。昨年来から日米関係が悪化しており、政府が沖縄普天間問題を先延ばしし、未だ解決に至っていない。間髪入れずに、中国、ロシア等は圧力をかけてきた。その一つが尖閣問題であり、北方領土問題であります。このような外交ミスの代償として、日米同盟の再構築のためにTPPの参加検討を自ら表明することに至ったのでないか懸念している。その点についてお聞きしたい。 


(松本外務副大臣)

「日米関係については、ご指摘のとおり、解決をすべき課題がある。日米関係は深い関係であるがゆえに、さまざまな課題があり、しっかりと両国の政府間で解決をすべきものであると認識していますが、基本的に、日米関係が悪い関係であるとは認識しておりません。大変良好な関係の中で推移をしていると認識しております。先般も、日米外相会談が行われたところでありますが、広範な形での連携・協力が進められたと理解しております。TPPについては、米国にどうこう、ということについてはないという風に承知しております。アジア・太平洋地域において、当初は4カ国でスタートしたものだが、現在、9カ国が交渉しているという中では、大変大きな割合を占める国々が参加をする中で、経済、通商のルールが作られようとしているということがひとつ。二つ目は、こういった通商の交渉というものはこれまでも数々行われておりますけれども、今回は、すでにこの一年間で6回の交渉が行われており、アジア太平洋地域の一員として、これに対してどう対処するかを判断する必要があり、わが国の国益からどのように判断するべきかを考えています。」


(長谷川 岳)

前原外務大臣は、10月19日の講演において、「日本の国内総生産(GDP)における第1次産業の割合は1.5%。1.5%を守るために98.5%が犠牲になっている」と発言したことは、食料の安定供給を果たす第1次産業の役割を軽視した発言であると受け止めるが、真意を確認したいと思います。ちなみに私どもの同僚のプロ野球出身である石井参議院議員は、1.5kgの心臓と肝臓で俺の100キロの体を支えているのだと。非常に、私はこの1次産業分野は非常に大切なものであると考えます。松本外務副大臣に真意を確認したいと思います。」

                       

(松本外務副大臣)

「前原大臣の前後のご発言をお読みになった上でのご発言だったと思いますが、前原大臣は農業を切り捨てていいと思っている人は一人もいないということも申し上げております。また、農業は大切で、農業の食料自給率は高めるべきだというのが私の考え方であるとも申し上げています。そして、諸外国を見る中で、徹底した国内農業の支援策をやっていることを認識し、自国の農業を保護した上でその国を開くということをやっている。メリハリをつけた政策をしっかりやらないと大局を見失って国力が落ちてくることに危機感を持った上で、全体の大局を見る、という意味で申し上げたという風に私は理解しています。1.5%のために98.5%が犠牲になっているというのは、1.5%を切り捨てていいというようなことの意味では全体の文脈の中では申し上げていないと私は理解しております。」



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(長谷川 岳)

もう一度伺いますが、では「犠牲」と言う言葉は正しいのでしょうか。」


(松本外務副大臣)

ご指摘のとおり、10月19日の発言については、今申し上げているような全体の文脈の中で、長寿社会で農業従事者が長生きするのはいいことだが、従事者の平均年齢が65.8歳、1.5%を守るために98.5%のかなりの大部分が、韓国の事例を見ても犠牲になっているのではないか、こういうことを考えるときに私は今こそ国を開くということを本気で考えないともはや日本の競争力はどんどん低下してしまうのではないかという申しあげをしております。」


(長谷川 岳)

「改めて、一次産業の役割を軽視した発言だと思いますので、前原大臣に、一次産業の皆さんに対してお詫びを求めたいと思います。」


「続けて、仮にTPPに参加した場合、日本農業は崩壊し、これまでと比較にならない程、食料を海外に依存することになると想定されます。食の安全・安心が確保されるのか疑問。また、食料小麦輸出大国であるロシアは本年8月から小麦の輸出禁止に踏み切っており、これまでも輸出規制を実施した国が、平成20年からウクライナ、カザフスタン、そしてベトナム、ブラジル、ボリビア、約20カ国ある中、安定的輸入を確保できる時代では無いことを認識しているのか、日本の食糧安全保障をどう確立していくのか、鹿野農林水産大臣、松本外務副大臣それぞれにお伺いしたい。」


(鹿野農林水産大臣)

「ロシアの小麦につきまして、APECの食料担当大臣会議におきまして、ロシアの食料大臣とお話したときに、小麦の輸出につきまして、まだ決まってないという風なことでしたけれども、来年の7月まで延ばすということも報道の中で承知をしておりますが、これからの国際社会におけるところでの食料の飼料というものは対等になってくるということも予測をしなければならない。また、食糧安全保障のAPECの会議におきましても、2050年には1.7倍の食料が必要だと研究されていることも重要だと思います」


(長谷川 岳)

「経済産業省において、TPP不参加による基幹産業の損失について試算されているが、「日本がTPPに不参加のままでEU・中国とのFTAも遅延する」との勝手な仮定の下での試算であり、意図的に影響額を膨らませているとも受け止められるが、いつどなたの指示でこの試算は作られたのか。松下経済産業副大臣はどのように受け止めているのか。」


(松下経済産業副大臣)

「産業界の大きな危機感を反映して今回の試算になっている。中小企業を含むわが国の製造業、貿易を担っている輸出入、貿易産業界、大変大きな危機感のもとに、現在、雇用をどう確保していくのか、どういう風に、GDPの底上げをするのか、毎日腐心している。そのような状況で、現状維持ではなく、相対的に日本を閉ざして、世界の潮流から取り残されると、産業界は危機感を抱いており、そのようなものを反映した考え方です。特にEU市場では、日韓の家電メーカーのシェアが逆転しました。基幹産業が韓国製などとの厳しい競争にさらされる中で、EPAの締結の遅れ、関税の差額がきちっと出てきますので、大変な致命的な打撃になるということです。そのような意味で、今回の試算は、こうした問題意識から、TPPに参加しなかった場合のコストを明らかにするもので、全体の輸出に関連する84兆円のうち、自動車、電機、輸送機械といった、基幹産業に絞って算出したものです。全体の規模からいくと、4分の1ということです。」



(長谷川 岳)

「P4とTPPでは、それぞれの国家間の貿易投資関係の緊密度の違いから性格は大幅に異なり、24の作業部会がどのような着地点を目指しているのか、より詳細な情報が必要だと考えます。そして現在議論が集中している農業貿易の自由化問題以外に、看護士を含む医療制度や、郵政の資金運用など金融サービスの規制の調和について、どの程度の幅を持った条約を考えているのか検証すべきであり、それがあって初めてTPP参加への検討ということになるのではないでしょうか。どのようにお考えか、お伺いしたい。」

 

(松下忠洋 経済産業副大臣)

「アメリカの年次報告は毎年議論してますが、これには幅広くいろいろなものが含まれております。その中でお互いの国々が激しい議論を長年行っております。その中で、自分の国の存在感をしっかり示すために、日本の農業はおっしゃるとおり、人間の体でいえば心臓であり肝臓であると思っておりますし、そこから日本の全国に血液を送っている、大事な部分でありますから、そこをしっかり強いものにしていかないと、私たちの国も成り立っていかないと考えていますし、中小企業を含むわが国の製造業、420万あります。輸出輸入貿易、そういったものを組み合わせて、両方がしっかりと強いものになっていくためにはどういう風に知恵を絞っていけばいいのか、そこが知恵の出しどころだと思っています。」


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(長谷川 岳)

「郵政の問題についても言及していただきたいと思います。」


(松下経済産業副大臣)

「年次の政府の要望書の中にしっかりと入っているひとつでありますし、わが国としては、すでに、郵政改革法案を本国会で提出しておりますので、そのご審議をしっかりお願いしたい」


(長谷川 岳)

「アメリカは逆の発言をしていると伺っておりますがいかがでしょうか」


(松下経済産業副大臣)

「アメリカの主張はいつもそうです。そのとおりにする必要はないと思っていますし、私たちは自分の主張を繰り返しながら、激しい交渉をして今日やっております。」


(松本外務副大臣)

「TPPについては、広範な交渉がなされている。4カ国で出来上がっているTPPと、9カ国で現在進行中のTPPがございます。9カ国のTPPについては、米国を含めて、5カ国が加わる中で、非常に広い分野でさまざまなことが議論されています。他方で、結論が出ているわけではありません。まさに今、交渉の途上、予定された数回のうちの何回かで今行われているところですが、これからTPPという9カ国もしくは9カ国プラスアルファのTPPができようとしている中で、日本の主張をどこで伝えるのか。その判断をすべき時期がそう遠くないうちにきていることを私は外から集めてきた情報の中で今申し上げている。」

「郵政も当然、交渉のうちの参加をしている米国がこれまでも主張していることはわれわれも承知しており、その国を中心にテーブルの俎上に載せようという動きの中でテーマになっているものと理解している」


(長谷川 岳)

「だとしたら、経済産業省は何故、この24の作業部会において、どういう影響を与えるのかという試算の中に入っていないのかということについては、改めて問うていきたいと思っています。」

「今回のような問題は、貿易政策における司令塔不在という状況は、菅民主党政権の調整能力の低さは過去の自民党政権時代とは比較にならないし、今後も起こりえることでしょう。このため、貿易・投資政策の司令塔として、農業貿易も横断的に権限を持つ通商代表部といった組織の検討が望まれるのではないでしょうか。最後意見として述べさせていただき、締めさせていただきます。ありがとうございました。」

委員会の様子は動画でも見ることが出来ます。

http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php

(参議院インターネット審議中継;21分30秒頃から)