028あしや温故知新 VOL.28 芦屋道満大内鑑

芦屋の民話


芦屋の民話にこんなお話があります。

 

  村上天皇の時代、河内国のひと石川悪右衛門は妻の病気をなおすため、兄の芦屋道満の占いによって、和泉国和泉郡の信太の森(現在の大阪府和泉市)に行き、野狐の生き肝を食べることを進めます。石川悪右衛門は狐の肝を手に入れようとします。


 この話には異説もあります。加古川市でも芦屋道満が住んでいたという伝説は有名です。


 しかし、鷹尾山麓とは芦屋の城山付近の山々のことです。ロックガーデンや荒地山がそれです。


 摂津国東生郡の安倍野(現在の大阪府大阪市阿倍野区)に住んでいた安倍保名が信太の森を訪れた際、狩人に追われていた白狐を助けてやるが、その際に大怪我をしてしまいます。


 そこに葛の葉という女性がやってきて、保名を献身的に介抱します。葛の葉が保名を見舞っているうち、二人は愛し合うようになり、結婚して童子丸が生まれます。


 安倍保名の父郡司は石川悪右衛門と争って討たれますが、息子保名は悪右衛門に仇討ちを果たします。

 童子丸が5歳のとき、葛の葉の正体が保名に助けられた白狐であることを知られてしまいます。全ては稲荷大明神の仰せである事を告げて葛の葉は信太の森へと帰っていきます。

 

「恋しくば尋ね来て見よ 和泉なる信太の森のうらみ葛の葉」

 この童子丸が、陰陽師として有名な安倍晴明でした。


 清明は白狐の母からもらった水晶をつかって、世の中の動きをすべて知ることができ、都では天下一の陰陽師となったのです。しかし芦屋道満は嫉妬の末に完敗して都を去っていきます。最後は播磨の佐用町で亡くなりました というお話でした。

 

  歌舞伎や人形浄瑠璃・能で演じられる 芦屋道満大内鑑(あしやのどうもんおううちかがみ)で有名な物語ですが、芦屋とついていたので異説もあるとは思いますが、摂津国・和泉国と芦屋の距離関係からおそらく、芦屋道満は鷹尾山麓に住んでいたと考えるのが合理的かも知れませんね。


 民話とはそういうものだと私は思います。

 

 しかし、あの有名になった陰陽師、安倍晴明が芦屋と縁があったと思うだけでも楽しいじゃないですか。


蘆屋道満をモデルにした呪術廻戦も存在しています。


芦屋の民話から