あしや温故知新VOL244 黒川古文化研究所その2

 

 昭和36年7月31日(1961年)黒川古文化研究所の設立者であり、理事長3代目幸七氏が逝去。国際文化住宅都市「芦屋市」に相応しい施設であることが、国内外の来遊者も認めています。その幸七氏を失ったことは芦屋市にとっても代えがたい損失となった。


 その後、活動が広がり昭和49年に、大阪平野を一望のもとにおさめる現在地(兵庫県西宮市苦楽園三番町1450)に移りました。 中国・日本の多様な美術工芸品・資料、約8,500件を収蔵し、それらをはじめとする東洋古文化に関する調査研究を行い、研究紀要「古文化研究」を発行しています。

 

 展観は年2回、春と秋に開催しています。春は複数の分野から代表的な所蔵品を選んで紹介する名品展、秋は特定の分野に絞った企画展となっています。また、例年夏には西宮市内で、近年の学界の研究成果を発表する伝統の夏季講座も開催されています。

 

公益財団法人黒川古文化研究所は、兵庫県西宮市苦楽園にある東洋古文化の研究・展示機関である。中国と日本を主とした美術品の保存と研究と公開展示を目的に1950年に芦屋市に設立され、1974年に現住所に移転した。春と秋に各約1ヶ月間の展覧会開催の他に、出版物刊行も手掛けている。また、展覧会期間中の研究所内での講演会開催以外に、外部での講演会などの活動も行っている。西宮市の広報に記載された内容です。

 

収蔵品は、大阪で証券業を営んでいた実業家の黒川家が3代にわたって収集したものであり、2代目の黒川幸七が収集した日本と中国の美術工芸品を中心とするコレクションには国宝 2件、国の重要文化財16件(162点)、重要美術品 62件(78点)を含む。貨幣、書画、刀剣、銅鏡など収蔵品の分野は多岐にわたるが、中でも日本刀は質量共に屈指のコレクションと評価されています。

 

国宝 

短刀 朱銘貞宗 本阿花押(名物伏見貞宗)(鎌倉時代)

短刀 銘来国俊 (鎌倉時代)

 

重要文化財 

刀剣・刀装具太刀 菊御作(鎌倉時代)

太刀 銘備前国長船住景光 (裏)(鎌倉時代)

太刀 銘大和則長作(鎌倉時代)

 無銘 伝・行光(鎌倉時代)

 無銘 伝・行光(鎌倉時代)

太刀 銘国光(鎌倉時代)

刀 無銘 長谷部(南北朝時代)

 銘慶長九年十一月吉日信濃守國廣作 依賀茂祝重邦所望打之(安土桃山時代)

太刀 銘一(鎌倉時代)

太刀 銘包次(鎌倉時代)

豊干禅師図鐔 銘安親 (江戸時代)

書跡紫紙金字金光明最勝王経 巻第三(奈良時代)

伏見天皇宸翰願文(鎌倉時代)

絵画寒林重汀図 伝董源(中国五代)

考古資料羽黒山御手洗池出土銅鏡 140面(平安時代)

碧玉製模造品弓矢等 8 伝奈良県天理市布留出土(古墳時代)

などです。

 

芦屋市から移転したとは言え、私はこの黒川古文化研究所の打出春日町の展観を見たことがあります。

子どものころでしたが、刀剣がかなり印象的で怖かった記憶があります。

現在も黒川古文化研究所は活動を続けておられますので、是非芦屋市にあった黒川古文化研究所を一度、訪れて欲しいと思います。

 

【参考文献】

芦屋市史 昭和31年 本編・資料編

芦屋市史 昭和46年 本編・資料編

芦屋郷土誌 細川道草 昭和38

芦屋の里 島 之夫 昭和4

阪神間モダニズム 納屋 嘉治 平成9年

芦屋の生活文化史 民俗と史跡をたずねて 昭和54年 芦屋市教育委員会