あしや温故知新VOL231  業平竹??あるんです!

 

 伊勢物語の主人公、平安時代の六歌仙の一人、在原業平(825-880)のように美しいと言われるほどの色男の代表です。ちなみに美女の代表は小野小町が有名です。

 

 さて、この在原業平の名前の竹があります。

 名前は「業平竹」といいます。命名者の牧野富太郎博士は、「容姿端麗女の如き業平に擬し斯くは名づけしならん」と「日本植物図鑑」にあるとか。つまり、平安前期の美男歌人「在原業平」を想像させる美麗な竹だと解説しています。

 

 別名ダイミョウチク、セミアルンディナリアは葉は葉枝先に46枚ずつ付き、長さ1015cmで、無毛で硬質、葉耳は発達せず、狭披針形をしており先が尖る。


 稈は直径34cmと細く、節間は長く枝が短い。若竹は緑色だが、冬には次第に紫色を帯びる。高さは58m。枝は一年目は節から3本出るが2年目からは78本出る。タケノコは7月上旬。皮(稈鞘)は、帯紫緑色で無毛。

 

 青業平竹(アオナリヒラ)は業平竹(ナリヒラダケ)より大きく、桿や枝は緑色のままで、葉が細いらしい。関東地方南部が原産と考えられています。


 芦屋市郷土研究家の細川道草氏の「芦屋郷土誌」でこの業平竹を知って喜ぶ記述がありました。「芦屋は業平と関係が深いところで私の住んでいるところも業平町という。


 業平竹とはどんな竹であるかといろいろ聞いてみたが、わからぬまま数年たった。ある日、宝塚の植物園を散歩していると「業平竹」が見つかった。非常に嬉しかった。」


 そう回顧し業平竹の説明をしておられます。

 

 伊勢物語に登場する在原業平はモテモテ男のプレーボーイ!


 昭和に入って、芦屋市の松浜町に住んでいた「白洲次郎氏」や7歳年下の浜芦屋町に住む音楽家「貴志康一氏」も男前・・・色男だった。

 

 この有名人たちも美しい竹「業平竹」

メダケに似ているのですが、本州の中南部、四国、九州に生え、庭園に植えられる。高さ5~10メートル、径約3~4センチメートル。稈は冬季に紅紫色になり、節は高く二輪状。おのおの三本の枝を出す。


 竹の皮は紫緑色で毛がないのが特徴です。

 

 京都府立植物園の業平竹は晩秋から花が咲き始め、4月の半ばには満開になる。細く伸びた花糸の先に黄色の葯が付いているのが雄しべで雌しべは中に隠れている。


 この京都府立植物園に行くとこの業平竹の花が咲く風情が解説されています。


 【余話】

 芦屋の郷土史研究家の細川道草(本名 久吉)氏は明治30年10月に香川県三豊郡に生まれ、昭和24年に芦屋市図書館に勤務されています。

 この郷土誌に「私は田舎育ちのためか自然や風物が好きで私を抱いてくれる。郷土を研究し、自分が住んでいるところをよく理解し進んで自然がどのように自分たちを抱擁し、郷土人に影響しているか・・・」と昭和38年の「芦屋郷土誌」のあとがきに書いてあります。

 

 私自身、この郷土誌を読んだときに細川道草氏のように、後世の人たちに芦屋郷土誌に

を少しでも書き足せればと思いました。

 私は生まれも育ちも現在も芦屋市の地にいます。

 移り変わりもこの目で見てきました。

 

 細川道草先生が「長谷君、君なぁ。この村上春樹という作家は知らんけど、谷崎潤一郎の文豪を比較するのはどうなんだろう」と叱られるとは思います。


 そんな思いでこれかも書き連ねて参ります。






 

  【参考文献】

芦屋市史 昭和31年 本編・資料編

芦屋市史 昭和46年 本編・資料編

芦屋郷土誌 細川道草 昭和38

芦屋の里 島 之夫 昭和4

阪神間モダニズム 納屋 嘉治 平成9年

芦屋の生活文化史 民俗と史跡をたずねて 

昭和54年 芦屋市教育委員会