あしや温故知新vol229 芦屋の金融機関 その2華麗なる一族
昭和49年(1974年)に公開された映画『華麗なる一族』は政財界にまたがる閨閥によって富と権力を手にしてきた主人公のより高きを目指す、野望と愛憎を描いた作品です。
原作は昭和48年(1973年)に刊行された山崎豊子の同名社会派小説で、「沈まぬ太陽」「白い巨塔」などとともに山崎氏の代表作として知られています。
作品はフィクションですが、昭和40年(1965年)に起きた山陽特殊製鋼倒産事件がモデルと言われて過剰な設備投資によって倒産し、粉飾決算が明らかになった同社に巨額の融資をしていた神戸銀行は太陽銀行と合併することになり、金融再編成の源流となったものがモデルになっています。
紆余曲折を経て太陽銀行と合併して太陽神戸銀行となったものです。
芦屋に住む=華麗なる一族とされるのは、いかにもですが、谷崎潤一郎作品「細雪」と同様に作者の芦屋に対する街へのイメージと確かにオーバーラップしています。
この神戸銀行の物語は芦屋市では伝説になっていると思います。
松浜町にあった神戸銀行のプールはステータスで庶民には入ることが中々できないプールでした。
神戸銀行時代から、小学館の学習雑誌「小学一年生」の裏表紙にも広告が掲載されていました。神戸銀行の子ども向けキャッチフレーズは「ぼくもわたしもこうべぎんこう」ということで
昭和56年(1981年)に開催されたポートピア'81に出展したパビリオン「神戸プラネタリウムシアター」でも、小学館が同行取引先の一員として協賛企業に参加していました。
平成2年(1991年)4月1日に三井銀行と太陽神戸銀行が合併し、太陽神戸三井銀行になりました。合併発表時に3年以内に新行名とすることが決まっていたため、桜の花びらをモチーフにしたシンボルマークから、1992年4月1日、さくら銀行に行名変更しました
実は私のキャッシュカードは「太陽神戸銀行」のままです。
平成3年(1999年10月14日 - 住友銀行と統合を前提とした全面提携を発表しました。
平成13年(2001)年4月1日 - 住友銀行と合併し三井住友銀行となって現在に至ります。
神戸銀行時代、芦屋市の指定金融機関としても存在し、現在も現役で指定金融機関として行政を支えてくれています。
また、芦屋市にあった社宅も金融機関がたくさん存在しており、銀行を身近に感じていました。
もう1銀行、三和銀行が芦屋市の古くからの銀行でした。
テニスコート付のおしゃれな社宅が記憶にあります。
昭和6年(1931年)8月16日 山口銀行御影支店芦屋出張所として開設。
昭和8年(1933年)12月8日 三和銀行御影支店芦屋出張所と改称。
昭和11年(1936年)12月 三和銀行 芦屋支店として営業開始
後に三菱UFJ銀行として、現在も芦屋支店があります。三和銀行と神戸銀行の2銀行が芦屋市の指定金融機関として長く担当してくれていました。
近年三菱UFJ銀行から指定金融機関離脱の意向が示され、その後は三井住友銀行の1銀行になりました。
【参考文献】
芦屋市史 昭和31年 本編・資料編
芦屋市史 昭和46年 本編・資料編
芦屋郷土誌 細川道草 昭和38年
芦屋の里 島 之夫 昭和4年
阪神間モダニズム 納屋 嘉治 平成9年
芦屋の生活文化史 民俗と史跡をたずねて
昭和54年 芦屋市教育委員会
ドキュメント銀行 前田裕之 ちくま書房