あしや温故知新VOL186 緑町 芦屋の地名シリーズ45

 

 どの地域にも「緑」がつく町があります。

その多くは「緑町・緑台・緑ケ丘」などですが、むしろ「縁(えん)」の意味や願いが込められています。政令指定都市の横浜市・大阪府の堺市の埋立地に緑町があり、造船所や製鉄所の隣にあります。


 芦屋市には翠ケ丘町がありますが、縁ケ丘とはならず、緑が多い丘陵地が翠ケ丘がなづけられたものです。

 

 緑町の東側は兵庫県住宅供給公社が分譲した中層マンションが中心です。臨港線から緑町に向かうと街路樹の「欅」が綺麗に並んでおり、西側の整然とした区画の中で個性的な戸建て住宅が落ち着いた町の景観を作っています。


 北側に位置する松浜町が松浜公園と一体となっているとすると欅や生垣の素晴らしい街と呼んでも差し支えないでしょう。

 

 阪神芦屋駅にシーサイドタウン芦屋浜の中では最も近い地域なのです。区画分譲当時は旧市街地の方も抽選に並んで10倍から20倍の倍率の人気地となりました。 


旧市街地との調和を図る努力を惜しまかった時代です。

 

 みんなでえらんだ「芦屋の未来遺産~芦屋文化の100年リレー」(芦屋ユネスコ協会が2010年10月に発行した芦屋市政70周年の事業)さすがに、歴史と文化の伝統となると山手地域や芦屋川周辺に評価されてしまうのでしょうが、

 

 堂々とシーサイドタウン浜芦屋の高層住宅からの夜景や中央緑道、中央公園の桜並木、計画公園の良さなどが取り上げられています。


 中央緑道には阪神国道電車軌道敷きの枕石が使われていることや宮川大橋なども残したい歴史です。丘を意識的に作った公園など、このシーサイドタウン芦屋浜は優れた都市計画プランが住環境の良さを求めた未来都市ならでは工夫がある街です。

 

 猿丸吉左エ門芦屋市長が昭和24年創刊の「広報あしや」に「真夏の夜の夢」と称して、寄稿されています。(あしや温故知新VOL134に掲載)


 その中で、「豪華客船で米国大統領が2千トンのヨットで芦屋海上ヨットハーバーまでやって来て、芦屋ストランドホテル(架空)の描写がある。その中に芦屋キネマの世界的女優のスターたち50人と歓迎パーティをやっているのです」(VOL45芦屋キネマ撮影所)と夢見ています。


 この市勢要覧には、芦屋の未来像が書かれています。奥池キャンプ場やゴルフ・カントリーハウス奥池遊園地。有馬までの横断道路(芦有道路)高燥住宅地帯(奥池周辺)奥池温泉、芦屋川上流には発電所。城山遊園地・動植物園からロックガーデンまでのロープウェイ、三条温泉、芦屋川付近には、図書館、公会堂、芦屋川河口には水族館と市営プール、海水浴場、打出浜に国際ヨットハーバー、観光ホテル、テニスコートとプールなどの観光計画の図面が添付されています。


 芦屋の未来を市長がリーダーシップを以って、市勢要覧や「広報あしや」を通じて市民に方針を説明しています。

 


 この夏の夜の夢は現在実現されていることに気が付きます。