あしや温故知新VOL172 若宮町 芦屋の地名シリーズ36

 

 若宮町は南北は国道43号線と阪神電鉄の間、東西は打出商店街から宮川までの間にある古い歴史を持つ町です。宮川の常盤橋の東側にこの地を代表する地蔵尊があります。

 

「常盤地蔵尊」です。広い敷地を利用して昔は「数珠回し」が見られました。

8月も終盤に差し掛かると、関西を中心に地蔵盆という行事が行われます。

地蔵盆の主役は地域の子供たちです。

 

 京都が発祥と言われている地蔵盆、各地で数珠回しが行われていました。

子どもの健やかな成長と無病息災を願い巨大な数珠を回す百万遍念仏を行いました。


「南無阿弥陀仏」と唱えながら数珠を回した風景は現代ではほとんど見られなくなりました。

 昭和19年(1944)町名改正以前は、若宮の他、三反田、宮川の3つの小字名がありました。

  この若宮町には昔、仁徳天皇を祀る若宮神社がありました。この神社は春日町にあった春日神社と一緒で町宮といわれるもので、明治41年(1908)に打出天神社に末社のひとつになりました。  

近隣の五つの神社が祀られています。

 

【若宮遺跡】

 縄文時代の遺跡ですが、現在市営住宅が建っています。

市営住宅は改良住宅として阪神淡路大震災後に建設が始まりました。平成9年(1997年)に発掘調査が行われ、そこから縄文時代晩期(約2500年前)の土器が出てきたのです。縄文時代晩期の土器がまとまって出土したのは芦屋市では初めての出来事でした。

 

 若宮町は阪神淡路大震災で多数の住宅が破壊され、被害が酷かった地域のひとつです。

若宮地区震災復興住環境整備事業として、この若宮町を復興する計画が進められました。

 

 そして古くからの伝説の町が新しい町として復活させるために、地域のコミュニティが豊かになるようにと、「子供が遊べる広場」「健康遊具等のある広場」「シンボルツリーのある広場」「梅や桜が楽しめる広場」「地元で楽しめる花壇のある緑地」「芦屋の石や石臼の石積みのある広場」、多種多様なコンセプトで整備をされています。

 

 小さい地域ですが、住民の皆さんの自治意識が高く、打出村の若宮と言えば昔から若宮ありと言われた伝統の街なのです。