✴️あしや温故知新VOL109 芦屋警察署誕生!秘話✴️review懐かしのバックナンバー42
芦屋警察の沿革は、大正8年10月6日現在の精道小学校の南側にありました。
芦屋遊園地(松浜公園北部)の一角にある官有地に当時の御影警察署に所属する芦屋警部補派出所が新設されたのです。
精道村の他、本庄村・本山村の三ヶ村を管轄したのが始まりだ。
精道村は明治末年より風光明媚な健康住宅帯として急激に人口を増やし、明治42年においては世帯数762、人口3,904名でしたが、大正8年には2、5倍の世帯数1,937.人口8,666人に膨れ上がったことで、芦屋警察署の前身が誕生したのです。
その後も、人口の急増が止まらず、昭和2年に大正8年よりさらに2.5倍の世帯数4,305、人口21,779人となり、本庄村・本山村も人口が増加し、警察署の設置の必然性に迫られたのです。
そうして昭和2年4月30日、芦屋警部補派出所は昇格し、芦屋警察署が創設されました。
庁舎は昭和2年4月12日起工。
8月上旬に近代的建築の粋を誇る鉄筋コンクリート3階建て、本館(現庁舎)や宿舎や駐車場が竣工した。
総工費107、563円その経費の50,000円は精道村において支出し、70,000円管内資産家の一般寄付により、合計120,000円は県費に採納されました。
この警察署は村民の寄付によって建設されたものなのです。
芦屋警察署は創設当時の人員は警部署長以下38名でしたが、その後精道村の高級住宅地としての発展が目覚ましく、市制実施の昭和15年には、世帯数8,147、人口41,925人となり、管内本山・本庄両村の人口も増加したので、それに伴って15年5月1日には警部署長以下65名に達している。
さて、芦屋警察署の設計は兵庫県営繕課によって設計されています。
置塩章氏が営繕課長であったため、置塩氏の得意とするロマネスク様式の建物です。
竣工の石造庁舎には正面玄関のアーチや上部にある「ミミズク」の彫刻があります。
1995年の阪神淡路大震災もあり、老朽化したことから2001年に南東部にある石造の部分は保存され、外観も意匠も景観に配慮したものになっています。
当初は壊して新築の計画もあったのでが、ミミズクがあるのは「芦屋警察署と国立図書館だけだ」という村民の誇りを残すという英断がなされたのです。
ミミズクをモデルにした同署マスコットキャラクター「ミミちゃん」(女子)と「ズッくん」(男子)を発表した。
いずれも2頭身の“ゆるキャラ”風。デザインした同署地域課の田中芙貴巡査(24歳)は「芦屋で愛されるキャラクターになってほしい」と話しています。
同署旧庁舎の玄関にミミズクの像があることから、夜も眠らずに活動するミミズクのように警察が24時間安全を守るという意味を込め、キャラクターを作ろうと考案。
絵が上手な田中さんが5月、「かわいらしくもしっかりした部分を」と考えて創作しました。
※置塩章氏は大正から昭和にかけて関西地方で活躍された建築家で経歴が凄い。
明治43年東京帝国大学工科学造家学科(建築学科)卒業後に陸軍技師として勤務し、大正9年に兵庫県庁に勤務、兵庫県徽章のデザイン他、県議事堂、警察署、学校を設計している。
【参考文献】
芦屋市史 昭和46年 本編
芦屋市史 昭和31年 本編
芦屋の地名を探る 文化振興財団
芦屋郷土誌 細川道草昭和38年
芦屋の里 島 之夫昭和4年