あしや温故知新vol98 文豪谷崎潤一郎と芦屋市その2

 

 また、ごく普通の芦屋の下町の庶民の生活などを描いた「猫と庄造と二人のをんな」という名作がありますが、芦屋の旧国道沿いの金物屋の主人公「庄造」が猫をかわいがり、ビリヤードや盆栽が趣味で「安いカフェに遊びに行くことで憂さ晴らしするような普通の男です。奥さんの品子と気が合わない母親は、自分の兄の娘小金持ちの福子をそそのかして庄造と結び付けようと画策するのですが、猫には人間以上の愛情を注ぐ、庄造に怒り心頭です。

 猫のリリーに異常な嫉妬心を持ってしまう。

 

 結局は品子と別れて、阪急六甲にある家に品子は住みますが、リリーを品子に預けたために品子が留守にすると庄造はリリーに会に行くのです、そしてリリーを抱きしめるのです。

 どうもこの品子は谷崎潤一郎の別れた2番目の奥さん古川丁未子さんではないかと言われています。


元祖!猫好き映画です。

 

 映画が1956年に公開されています。製作は東京映画、配給は東宝。キネマ旬報ベストテン第4位というモノクロ映画です。

 キャストは庄造:森繁久彌、福子:香川京子、晶子:山田五十鈴、おりん:浪花千栄子

 

 実はこの映画のロケは芦屋市で行われています。

 ラストシーンは芦屋浜で猫のリリーを雨の中で探すというシーンですが、この撮影に芦屋市消防署が協力しています。

 

 父たち消防隊と森繁さんの記念写真が残っているので、生前に聞いたら「雨の量が確認できるほど映画の撮影は難しく、すごい量を放水した」と言っていました。

実際の映像では、小雨程度にしか映っておりません。

 

 また。打出の商店街から海岸へ向かう道や景色は古きよき時代を彷彿されます。201961日に芦屋ルナホールで幼少期を芦屋で過ごした香川京子さんのトークショーと上映会がありました。残念ながら私は参加できませんでしたが香川京子さんは1931年誕生されて間もなく芦屋市へ転居し、小学校に入学される1年前に東京に引っ越しされています。

 

 谷崎潤一郎原作の芦屋が舞台の猫文学の最高傑作「猫と庄造と二人のをんな」はで香川京子さんは森繁久彌さんとの共演です。1950年公開の「細雪」にも実は出演されています。この1956年までにはすでに多数の映画に主演級で登場され、国民的女優になっておられます。