あしや温故知新VOL71六麓荘町の国際ホテル その2

 

敗戦後には連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)が占用。その後、芦屋女学校の手に渡って、校舎の一部になり、証言によると大学職員住宅としても使用されていたようです。


しかし、この国際ホテルは阪神淡路大震災の被害により解体して現在は存在しません。

 

もう一つの特徴として「六麓荘バスの運行」があったという史実です。

六麓荘は芦屋の中心市街地や駅から約30分と随分と離れている。この辺りのバス運行は阪急、阪神の両私鉄が完全に支配していたが、六麓荘独自でバスを運行させようと「株式会社六麓荘」経営の六麓荘地域交通というバスを運行させました。しかし、結果的に1939年(昭和14年)に阪神バスへ譲渡されてしまいます。

 

六麓荘町は自治会が供用する街灯や下水道を始めとし交番や高級な集会所運営など行政からの支援や助成なくこだわりの街づくりを形成しています。

 

昔から受け継がれる芦屋・六麓荘町は高級住宅街の維持に欠かすことの出来ない「町内会」の存在があります。

自治会で守られている建築協定とは、新築と増改築には町内会の承認が必要というものです。もうひとつは、町内での営業行為は例外なく禁止。

そのため六麓荘町は自動販売機や商店、マンションなどが全く存在していません。

 

芦屋・六麓荘町の豪邸に住む新規居住者達は皆、駐在兼公会堂施設の維持・管理費と町内会の活動経費を支払っていて、新居の計画さえも芦屋市から申請の内容がまず町内会に伝わり、芦屋市より先に町内会から承認をもらっています。

しかし、建築協定は紳士協定のような位置づけです。将来もこの町の景観や環境を保持することが可能だろうか? その結果、六麓荘町に住む住人の要請を受けた芦屋市は、従来の建築協定を格上げした景観保護条例を市議会に提出。

2006年にその条例が可決され、2007年に施行されることとなりました。しかし、それは地域町内会が町全体を考えた時に発想されたことは、昔からの芦屋の人々の伝統でもありました。地域のこだわりから生まれたその条例は「豪邸条例」と呼ばれ当時話題になりましたが、真実は景観と環境を守りたかった住人の皆さんの熱意が行政を動かしたものなのです。

 

【メモ】

現在は芦屋大学、芦屋学園短期大学、芦屋学園中学校・高等学校、芦屋大学附属幼稚園の各教育機関が六麓荘町内に所在している。全て学校法人芦屋学園による運営である。

 

六麓荘は「高級住宅として有名になり、各地で荘の名の住宅地は現れました。

武庫之荘などもそのひとつだと言われています。

 

町創立当時にできた街灯の土台部は香港の街灯そっくり。現在も一部は現役です。

六つの「六」が円形を描いた中に「荘」のマークは造成した六籠拝土地開発会礼の社章。

 

自治会の入会金は50万円とのことです。