あれから22

「阪神淡路大震災のその時・・その4

 

震災の記録は多数残っている。

だが、私にはこのお話しが忘れられない。

 

消防団詰め所近くに4階建ての鉄筋コンクリート造のマンションがあった。

地震で、1階部分から3階部分は完全に押し潰されていた。4階も半分以上が破壊されている。ここのマンションがあったとは思えないほど酷い現場だった。

 

  現場には自衛隊の部隊も到着していた。警察も機動隊員が現場に到着していた。

そして、東京消防庁のレスキュー隊が工作車を持ち込んでいた。そして、私たちの消防本署隊と消防団の部隊が作業を開始していました。

 

  しかし、混乱した。この現場の指揮を誰が取るか?が問題なのです。

 

   救助資機材は東京消防庁の部隊が「心臓の音を聞き分ける道具やサーモグラフィーで生命反応を確認できる」装置を設置した。その手際の良さは目を見張る速さだ。

がれきの撤去を機動隊が自衛隊に依頼したが、「上の判断を待つと言う」東京消防庁が「静かにしてください。今からスコープを入れるから・・・」

「がれきの撤去を優先して、救助ができるルートを確保するべきだ・・」機動隊長は主張した。

 

   それぞれの無線のチャンネルが違うため、現場では指示や命令で混乱した。

 

   階級も組織も違う。これが混成チームの欠点である。

私、たちは「人海戦術でやってきたが、隊長を中心として指揮系統はしっかりしていた」

 

  現場の混乱・・・・。回りの人たちにも影響した。

 

「父を助けて・・・早く」

「娘一家がまだ中にいるんや、早くしてくれ・・・」

 

無音状態で心音を聞く装置の東京消防チームは黙々と任務を遂行していた。

その時・・・「このサーモグラフィに生命反応が・・・・」東京消防庁チームが生存者を発見した。

 

機動隊長は「私たちはこの方面は素人だから、こっちの指揮下に入ります。指示を・・」

 

自衛隊の隊長は「今、うるさい無線を切りましたから、人命救助だけを優先してくれればいい」

 

そして、生命反応のある鉄の扉を溶断機でカットした。

 

この溶断機を使えるは私たちの消防団員だった。

「こんな時に役に立つとは思っていなかったが、溶断機までよく用意できたもんだ」

 

「助けるぞ!絶対に!」私たちの目的だけは揺るぎないものでした。

つづく