「何で俺がおりんと一緒にプロレス観に行かなきゃならないんだよ」
とか言いながら、一人娘のお願いには弱い馳浩57歳。
それも、《プロレスリング・ノア》初観戦。
それも、セブンイレブンでチケット予約して。
一枚7000円✖️二枚。
「プロレス観戦7000円って、高いの?安いの?」
と、呑気に語るリポート女子大生おりん。
「高いと思うか、そう思わないか、観てから考えて、それをリポートすれば?」
と適当なこと言うと、
「東京ドームでBTSの1万円は高いとは思わないんだけどね」
と。
「ナニ?BTSって?」
「ばんたんそにょんたん」
「ナニそれ?」
「防弾少年団」
「あぁ、K-POPね。」
女子大生は、人生の全てを考える基準がK-POPらしい
(((o(*゚▽゚*)o)))
東京ドームでBTS1万円と
後楽園ホールでノア7000円!
‥‥比較する基準がわからない。
わからないからこそ、(解説者つきで)直接観にいってリポート書くのが「ジャーナリズム」の宿題なのだそうだ。
そんなわけで、始発のかがやきで金沢に帰る予定をキャンセルし、大学のリポート宿題を書くためにプロレス観戦する娘の解説役として後楽園ホールへ。
渋谷で乗り換え、神保町で乗り換え、そして水道橋駅へ。
そう、電車で移動。
「馳浩、若い子連れてるぜ」
と、乗客に見つかり、文春にチクられるのかとか思いながら、adidasのジャージ着て21歳の娘連れて、初めて電車で後楽園ホールへ。
黄色いビルのエレベーターに乗り込む前にトイレに行って用を足す。
緊張する。
自分の試合で後楽園ホールに来てもちっとも緊張しないけど、お客さんとして自分でチケット買って来るの初めてだからか、無性に緊張する。
もし、しょっぱい試合なんかしてたら、思わず乱入してしまうんじゃないかとか勝手に心配したりして。
五階の受付をバレずに通り抜け、グッズ売り場を通ると、何と、ピンクのティシャツを着た若い女の子たちがずらり並んで売り子を務めている。
明るい(๑˃̵ᴗ˂̵)
「パパ、あれ、プ女子って言うんだよ」
「ナニそれ?」
「プロレス大好き女子」
‥‥‥
俺の時代は(って、もう20以上年前だけど)おっさんばっかりだったけど、今やプ女子なる単語もあるわけね。
そういえば、カープ女子とかいたっけ?
座席は西C列16。
これで、S席(一番高い席)。
前から5列目。
リングと同じ高さの階段席なので、まずまず観やすくて快適。
お正月初戦ということもあり超満員。
(ご祝儀満員か?)
と思っていたら、さにあらず。
試合内容が、素晴らしかった。
前座の二試合に新人が出てきて、基本通りの動きをしていたのだが、
「お父さんのマスターズの時のおちゃらけた前座より、こっちの若手の方が応援したくなる。カラダがむちむちしてて、母性本能くすぐるわ。やっぱ、男なら最低でも体重100キロだね」
と、おりん。
「どこが?」
「まじめで一生懸命だから」
と。
ふむ。
おりんのいうことにゃ、坊主頭の新人3人は、
「プロレス界のジャニーズJr.」
なのだそうだ。
ようわからん。
でも、そのキビキビとしたぎこちない仕草がキュンとくるのだそうだ。
(そんなもんかね)
そして、鍛錬したムチムチな筋肉がたまらないのだそうだ。
57歳のパパの102キロの筋肉は、
「張りがない」
のでダメなのだそうだ。
(ふーん、そんなもんかね)
次に女子大生のハートを掴んだのが、ヨーヘイ。
俺も初めて観たのだが、確かに目が釘付け、魅力満載。
一番細っこいんだけど、筋肉質で、試合がうまくて、芯が強くて、ヘラヘラしてて、やられっぷりが凄くて、色気がある。
不思議だ。
観たことないタイプ。
俺はプロレスラーなのに、プロレスのことよく知ってるのに、その俺が、惹きこまれてしまうほどの魅力満載。
コイツ、伸びる。
休憩の後、いよいよタイトルマッチ。
GHCタッグと、GHCヘビー。
火野選手。
赤い髪と、分厚い肉体と、喋くりと。
三拍子揃っており、不器用な谷やん(マイバッハ谷口)をしっかりとリードして試合を成立させている。
対戦相手の潮崎や中島が張り切れば張り切るほど、その上をいくエンタメぶり、というか、観客の期待を良い意味で裏切る試合展開。
こりゃ凄い。
こういう訴え方があったのか。
馬場さんのプロレスに吉本新喜劇と新日本プロレスと自衛隊を織り交ぜたような空間。
面白すぎる。
「お父さん、どうして肉(火野選手)のおへそ出てるの?」
と、おりん。
「そりゃ、出臍だからでしょ」
と、目の付け所がディープな女子大生。
火野選手にハマってしまったようだ。
「お父さん、帰りに肉食べてこ。お腹すいた(๑˃̵ᴗ˂̵)」
って、そこかい?
プロレス観て肉にツボがハマったようだ。
そして期待のメインイベント。
きよみやかいと選手、22歳。
さっそくきよみや君のFacebookでツイッター調べる今時な女子大生。
「私より一つ年上だ」
「19歳で入門したから3年しかやってないのにチャンピオンなんだ」
「マイク持っても喋るの下手だね」
「筋肉が凄い」
「じゅんぺいくんと仲が良いんだ、一緒にスイーツ食べに行ってるよ」
GHCヘビー級チャンピオン、きよみやかいと選手。
「やっぱ若いチャンピオンは良い!」
と、はしゃぐ女子大生。
その気持ち、なんとなく、わかる。
「で、そのほかに気になった選手は誰?」
「杉浦!」
「杉浦って、おっさんずラブじゃん?」
「だって、カッコいー」
ようわからんが、一押しがきよみやかいと君で、2番目が杉浦ということは、やはり筋肉フェチか?
そんなわけで、プロレスリング・ノア初観戦の女子大生は、ディープな空間にハマってしまったようだ。
帰りに先ほどまで闘っていた選手たちが、スポンサーである「ザ リーブ」提供のお菓子を配っているのを観て、
「お父さん、あのお菓子もらってよ」
ときたもんだ。
なんでまた、この俺がと思いつつ、娘のリクエストには素直に従う馳浩。
やった、森永のチョコボールゲット
(๑˃̵ᴗ˂̵)
俺は子供かよ、とか思いながらも、プロレスラーにもらったチョコボールが、無性に嬉しかった^_^
さっそく帰り道でチョコボール頬張るおりんと馳浩。
お正月からシアワセな、気分。
帰りも電車を乗り継いで、代々木駅前のタイ焼きを買い、渋谷駅でも途中下車して道玄坂ファーマーズステーキ400グラム食べて、大満足。
道玄坂からは、もちろん歩いて帰宅。