3時56分起床、ニュースチェック、パソコン。

シンバルがテレビの上に乗っかって、勝手にテレビのスイッチをONOFFに切り替えている。

昔のテレビは箱型だったけど、今じゃ薄型。

わずか2~3cmのテレビ画面上部に、バランスよくねまっているシンバル。

どうしてそんな不安定なところが好きなの?

危ないから下ろそうかと思って触ると「シャー」とか言って怒るし。

・・・・

8時半、自宅出発。

歩いて35分、代々木第2体育館へ。

天皇杯全日本レスリング選手権大会初日。






・ 注目の試合、まずは一回戦で、白井親子対決。

うらやましい、全日本選手権という大舞台で息子と真剣勝負できるなんて。

結果は、素早いタックルからのアンクルホールド連発で、息子の圧勝。

でも、試合前にご挨拶にやってきた白井オヤジが、とてもうれしそうな笑顔だったのが、結果以上に印象的だった。

ここまでストイックに自分を追い込んだからこそ、こういう努力家にしか神さまが与えない、笑顔。

・ 印象的な試合は、グレコ55キロ級の3位決定戦。

高校生の文田選手が、社会人の第一人者、尾形選手を堂々と破って入賞。

グレコローマンスタイルという、相当の技術を要する、それも日本のお家芸の階級で、名だたる学生や社会人選手を下しての銅メダル。

まだ18歳。

7年後の東京五輪のメダル候補。

そして、親父の文田さんは、学生時代の同期生。

同期生の息子がここまでやる時代なんだなぁ、と、観客席で腕を組む。

もう一人の同期生、佐藤満教授は、久しぶりに専修大学のスエットを着て、セコンド業務。

大声で的確なアドバイスを送りながら、コーチとして、教育者として学生を指導。

全日本チーム強化委員長を務めた佐藤先生のこういう真摯な姿が、レスリング関係者を刺激する。

・ 劇的な幕切れは、女子51キロ級の決勝戦。

向田選手が6-3でリードして迎えた1秒。

満を持して、「これしかない」というぶら下がり一本背負いを仕掛けた、今年の世界選手権代表の宮原優選手。

ものの見事に3ポイントを獲得し、宮原の大逆転勝利。

しかし、宮原に喜びはない。

同じエリートスクールの後輩に、ここまで追い込まれ、逆転勝利しかできなかった現状に恥ずかしさを感じているようだった。

宮原選手は世界選手権でも結果が出なかった。

ペタンとお座りするようなレスリングでは、重心が下に落ちてしまい、からだの力を相手にぶつけて行けない。

からだも出来上がってきたのだから、もっと下半身の推進力で相手を圧倒するようなレスリングを期待したい。

いつまでもセンス頼りの試合では、一日何試合も勝ち抜けまい。

・ 専修大学関係では、フリースタイル55キロ級の稲葉(OB・警視庁)が、日体大4年生の森下に力負け。

森下選手は、前のルールの時の受け身型から、攻撃型にレスリングスタイルを変えており、持ち前の身体能力がレスリングに生きてきた。

完全な世代交代を感じさせる試合内容。

組手の上手な稲葉にレスリングをさせなかったのも、森下選手の老獪さ。

ゴールデングランプリ大会での優勝経験が生きてきたか、完全に格負けしていなかった。

稲葉の場合は、ここまで組み手を研究されていては、次は新しい戦法を二つ三つマスターするしかないだろう。

少し本格的にグレコをやってみてはどうだろう。

決勝戦でももろ差しになりながら首投げを警戒して自ら組手をほどいていた。

もったいない。

グレコができれば、脇くぐりからのバック投げで大量得点を期待できたのに。

結婚したばかりなのだから、進化を期待したい。

・ 同じくOBの荒木田は、第2ピリオドに圧巻の逆転勝利。

荒木田の老獪な組手とがぶりとステップを絡めたフェイントで、若い岡選手が先にばててしまっていた。

コンディションもすこぶるよさそうだったし、こりゃしばらくは、なまくらさえ出なければ、荒木田の天下は続く。

・ 学生では、グレコ55の北村が、いつもながら不器用な試合展開で、力を発揮する前に敗退。

せっかく一本背負いがかかったのに、フォールのチャンスを逃す。

そのあとは、差し合いの技術があまりにも少なく、試合展開を自分の流れにできず、3-5でずるずると敗退。

差し上げの技術と、フェイントステップの習得、そしてがぶり返しの強引さが来年への課題か。

芸を磨いて、組手の得意技をあと三つは身につけてほしい。