朝鮮王朝の研究を始めて、現在の韓国社会の基盤が儒教に基づいたモラルと価値観が当時の王朝から受け継がれていることがよく理解できた。
だが、韓国にもまだ残っている仏教と儒教のせめぎ合いについては、奥が深く、自分の中で不明な部分が多かった。その謎を埋めてくれる書籍と出会った。
麻生川静男さんの「本当に悲惨な朝鮮史『高麗史節要』を読み解く」を実際に読んでみると、あることがわかった。
高麗では当初文人により、大乗仏教の精神である社会福祉の発想で人々を導いていこうとしていた。ところが、高麗王朝の後半に武人政権が台頭したことにより、仏教が廃れていき、再び文人政権が復活してからは、儒教と科挙の制度が朝鮮王朝に引き継がれていった。そして、この儒教は朱子学として韓国社会に定着していった。
その影響を自分なりに考えてみると、家長制度、男尊女卑、財閥と庶民の格差社会が、この高麗と朝鮮の王朝時代から韓国社会へと引き継がれていることが明らかだ。
日本社会からは時代錯誤のように見えるが、千年以上続いて来た朝鮮半島で守られて来た伝統なのだ。ただ、それがいいかどうかは当事者がよく考える必要がある。人々が幸福になる韓国社会のために。It was kind of difficult!