生理は予定日から2週間遅れてきました。
前回の検診で先生に言われた通り、いつもより量が少なく3、4日で終わってしまいましたが…。
手術後1か月検診の日、先生にそう伝えると、
「それでいいんです。これから徐々に戻りますよ」
そう言われて安心しました。
血液検査、内診、エコー検査の結果がどれも異常なかったので、
「じゃあ、このテープはがしますよ」
ずっと傷に貼っていた医療用テープを先生がはがし、私はこの時初めて自分の傷を直視しました。
赤いミミズばれのような線が、おへその下から13センチほど伸びています。
自分の体にこんな傷ができたことがショックで、当時の私はとても受け入れられませんでした。
こんな体、誰にも見せたくない…。
強く、強く、そう思いました。
「今日からお風呂に入っても大丈夫です。無理せず、これまでの日常生活に戻していってください。お仕事されているのであれば、復帰して構いませんよ」
私は、「今までありがとうございました」と、先生に頭を下げて病院を出ました。
この時の私は、喪失感と虚無感でいっぱいでした。
会社を辞めてしまったので仕事がない。
かといって結婚に結びつくような相手もいない。
病気のことを知られたくないので、友達とも疎遠になっている。
これからどうしよう…。
ものすごい孤独と不安感にさいなまれ、気づかぬうちに涙をこぼしていました。
その夜、浮かない顔をして夕食の席についた私に、両親は何があったのか尋ねました。
私は正直に今の心境を伝えると、
「みどりは今まで休むことなく働いてきたんだから、長期休暇だと思えばいいんだよ」
父が言いました。
母も大きく頷き、
「そうよ。冬の間は大人しくしてなさい。春になったら就職活動すればいいんだから」
そう言ってくれたので、少し心が軽くなりました。
長期休暇か…。
振り返ってみると、会社に就職してからこんなに長く休んだことがありません。
仕事は忙しいけれど充実していたので、風邪をひいて1日休むだけで罪悪感を覚えたこともありました。
体を休める良い機会なのかな…。
私はできるだけ前向きに考え、
「冬眠するクマみたいに春になったら活動しよう」
そう心に決めました。