手術の不安と将来を悲観して、私は精神的に不安定になっていきました。
気分の落ち込みが激しく、いつも憂鬱で、夜もあまり眠れません。
仕事ではつまらないミスが目立つようになり、
「体調でも悪いの?」
と、同僚に心配されました。
インターネットで検索すると、開腹手術の場合、
術後1ヶ月したら仕事に復帰できると書いてありました。
「たった1ヶ月で大丈夫なのかな…」
私は自分の精神状態を考えると、1ヶ月で復帰はとても無理なように思えました。
例え体が回復したとしても、精神面が今と同じような状態であれば、
これまでのように働くことができないと考えたのです。
色々悩んだ末に、私は会社を辞める決心をしました。
上司や同僚に自分の病気のことは絶対に知られたくなかったので、
退職理由はあくまでも「一身上の都合」で通しました。
同僚の中には、
「本当は花嫁修業なんでしょ?」
と、ちゃかす人もいて…
辛かったです(泣)
会社を退職した後は、手術前検査や入院・手術の説明があり、
○○病院へ頻繁に足を運びました。
手術同意書の提出を求められた日は、母と一緒に病院を訪れ、
先生からより詳しい説明を受けました。
「どうしても切らなきゃいけないんですか?」
「他に方法はないんでしょうか?」
母は最後まで食い下がっていましたが、
「筋腫だけを摘出するので子宮は残ります。
娘さんは将来、妊娠できる可能性があるんですよ」
先生の言葉に、ようやくあきらめがついたようです。
「ごめんね…。お母さん、何もしてあげられなくて…」
病院を出た後、母は申し訳なさそうにつぶやきました。
うなだれる母に、私は思い切り笑顔を作って言いました。
「大丈夫だよ。悪性の腫瘍じゃないんだから」
大丈夫、大丈夫…。
何度も母に繰り返しましたが、
本当は手術の恐怖を打ち消す為に、
自分に言い聞かせていたのだと思います。