故障と修理 | 蘇州日記

蘇州日記

2015年4月から蘇州に単身赴任しています。蘇州での生活をブログに書いてる人が大勢いて、赴任前にとても参考になったので、真似することにしました。

中国で暮らす日本人赴任者の多くは家具や家電製品が供えられた賃貸アパートに住んでいます。

その暮らしの中で結構面倒なことのひとつが、家財道具がしょっちゅう壊れるということです。

幸いにして僕の場合、ものが壊れた時には職場の総務部の日本語のできる担当者に言えば、その人が不動産屋に対して修理依頼をしてくれるのでまだ良いのですが、自分で不動産屋に修理依頼をしなければならない人は大変だろうなと思います。



僕がこれまでに修理依頼した件は次の通りです。

1. カーテンレールが折れて落下した。
2. 給湯器が壊れ、シャワーや水道からお湯が出なくなった。
3. エアコンが壊れた。
4. インターネットが繋がらなくなった。
5. ウォシュレットから水が出なくなった(2回)。
6. 誰も押してないのにインターホンが鳴り続けた。
7. リビングの照明の一部がつかなくなった。
8. 屋外にあるブレーカーが落ちた。
9. アパート区域全体でICカードによる施錠が始まったが、僕のICカードは設定ミスで解錠できなかった。


こちらは上記2のトラブル時の写真です。

 

何度点火ボタンを押してもエラーと表示されてしまいます。

 





僕が蘇州に住み始めて1年8か月経ちます。

その間に10回ですから、2か月に1回のペースで何かが壊れるのです。

日本でもものが壊れることはありますが、2か月に1回って多過ぎでしょ?



しかも、上記は僕が修理依頼を出したものだけです。

他に、別の住民が修理依頼を出してくれたエレベーターの故障があったり、故障しても特に困っていないので修理依頼を出していない件があったりします。



これらのものが壊れるだけでもストレスがたまりますが、更にイライラさせられるのが業者の対応です。

修理に来るまでに何日もかかったり、約束した時間に来なかったり 、こちらの使用方法のせいだと疑われたり、原因を特定しないで適 当に直すから、直ったと思っても業者が帰った直後にまた壊れたり ・・・・・、そんなことの繰り返しです。

これまでに修理完了までに一番手間取ったのがインターネットです 。

 

 


我が家のインターネット回線はADSLです。

 

宅内にあるインターネット接続に関連した機器は、ADSLモデム 、WiFiルーター、固定電話機の3つです。

 

 

 

入居当初から、ネットに接続できないことはよくあったのですが、 ADSLモデムやWiFiルーターをリセットすればたいていは直っていました。

 

ところが、今年の春頃、何度リセットしてもネットに接続できないという現象がしばしば起きるようになりました。

 

ずっと繋がらないわけではなく、20~60分ほど繋がらない後に自然復旧するが、繋がる時間が5~10分で終わってしまうという感じです。

 

そして、ネットに繋がらない時は固定電話機の受話器を取っても「 プー」という音が聞こえません。

 

 

 

固定電話とネットが共に使えないという事象から類推すると、僕の宅内に原因があるわけではなく、電話線が僕の家に来るまでの間に問題があると思われます。

 

最終的に解決したところ、僕のこの推測が正しく、マンションの1階部分にある外部との接続部分が緩んでいたことがわかりました。

 

ところが、修理に来た中国電信の作業員はそのような原因特定の為の推測を一切行うことなく、なぜかWiFiルーターを新品と交換 しました。

 

交換後、試してみると一応繋がったのですが、元々繋がったり繋がらなかったりするという事象なので、単に繋がる時間帯に入っただけで、WiFiルーターを交換したことによって解決したわけでは ないことは明らかなように僕には思えました。

 

しかし、そんなことを中国語で説明することはできないし、もしかしたら僕の推測が間違いで、本当にWiFiルーターの交換で解決したのかも知れない(だって、プロがそういう対応をしたのですか ら)とも思ったので、そのまま「謝謝(ありがとう)」と言って作業員を返しました。

 

ところが、案の定、5分後にはまた繋がらなくなってしまいました 。

 

 

 

翌日、会社の総務部の担当者に事情を話し、後日、作業員に再度訪問して貰いました。

 

そしたら、なんと!今度はADSLモデムを交換したのです。

 

今回も、作業員がゴチャゴチャと作業しているうちに繋がる時間帯に入ったようで、作業員は満足して帰って行きました。

 

そして5分後、再び我が家のネットは切れました。




もう一度、会社の総務部の担当者に事情を話し、三度目のチャレン ジ。

 

同じ過ちを繰り返したくなかったので、総務部の担当者にわざわざ僕の自宅に来て貰い、通訳して貰いながら彼らの作業を監視。

 

その結果、ようやくマンションの1階部分にある外部との接続部分が緩んでいるという原因を特定してくれ、修理してくれました。

 

 

 

中国電信側のスケジュールの都合や、僕が在宅できる時間が限られていることから、問題の発生から復旧まで1か月くらいかかりまし た。

 

その間はもっぱらスマホの4G接続に頼っており、パケット枠ギリ ギリのヒヤヒヤした生活を送っていました。

 

中国電信も、必要もないのに僕に新品のWiFiルーターとADSLモデムを提供して損したことになります。

 

原因を究明してから対応するという習慣がこの国に根付くのはいつ のことなんでしょう・・・・?

 

 

 

ところで、日本のみなさんは「中国ではものがよく壊れる」という 話を聞いても、「中国なんだから当たり前でしょ?」と特に不思議 には思わないことでしょう。

 

でも、冷静に考えるとこれはかなり不思議なことなんです。

 

中国は「世界の工場」であり、日本で販売されている電気製品も大 半は中国製です。

 

中国でものがよく壊れるのであれば、日本で販売されている中国製 電気製品もよく壊れないとおかしいのです。

 

 

 

この疑問に対して、「日本で販売されている中国製電気製品は、日 本企業の中国子会社が作っているからだ」という解答を思いつくこ とができますが、これも必ずしも正解ではないと思います。

 

というのは、1990年代には確かに日本で販売されている中国製 電気製品は、日本企業の中国子会社が作っているものでしたが、最 近では日本企業が中国企業に製造を委託する場合も少なくないので す。

 

そもそも、僕が身近で経験している中国でよく壊れる中国製品の中には、日系企業が中国で生産した製品も含まれているのです。

 

 

 

この謎に対する正しい解答はおそらく、「安いけれども品質の劣る製品が求められる市場」と「高いけれども品質の高い製品が求めら れる市場」の2つがあり、それぞれの市場に特化した企業が国籍に かかわらず存在するということなのだと思います。

 

当然にして、前者の品質基準は後者よりも低く設定されているのでしょう。

 

日本にも中国にもこの2つの市場はあります。

 

しかし、日本では前者の市場が100円ショップなどのごく限られ た領域であるのに対し、中国ではごく一部の富裕者向けビジネスを 除くと大半が前者の市場です。

この原理により、「一般消費者向けの家具・家電」というビジネス カテゴリが、日本では後者に属するのに対して、中国では前者に属 するということなのだろうと思います。

そして、中国資本であれ外国資本であれ、中国国内の前者の市場向けに製品を作っている企業は前者の基準で製品を作り、欧米や日本の後者の市場への輸出の為に製品を作っている企業は後者の基準で 製品を作っているということだと思うのですが、どうでしょう?


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