ニューヨーク・タイムズに気になる記事がありました。
2年前、ブロンクスの荒れた地域に開校したチャータースクール、「Haven Academy」の話しです。
アメリカの学校のシステムはちょっと複雑ですが、軽く説明します。
チャータースクールとは、州の予算で運営される公立校です。
しかし毎日のオペレーションは民間会社の手にゆだねられています。
公立校の規律にとらわれず、自由な教育方針が実践できるのが大きなメリット。
NYCではチャータースクールはどこも人気があります。
さて、このヘブン・アカデミー。
ここには幼稚園児と小学校の低学年児が通います。
他の学校との大きな違いは、家庭的にも経済的にも恵まれない子供のために開校していること。
●ここの生徒の3分の1は、フォスターファミリー、つまり里親に育てられています。
●他の3分の1は、市から監視(子供の安全の為)を受けている家庭出身。
●残りはアメリカ国内でも最も貧困といわれる地域で育つ子供達が占めます。
里親で育つ子供達の問題は、度重なる引っ越し。
多くの子供はたらい回し状態です。
一年で6回引っ越し=里親が変わる子供もいるそう。
そしてその引っ越しに付いて回るのが転校。
ひっきりなしに学校が変わるので、授業に付いていけるわけがありません。
里親に育てられているというだけでも相当なストレスであるのに。
しかしヘブン・アカデミーは、子供が引越ししたって車でちゃんと迎えに行きます。
学校を続けるのはどれだけ大切な事か、彼らは知っているから。
しかし言うのは簡単ですが、実際は大変なこと。
引っ越しの続く生徒は一人や二人ではありません。
学校全生徒の3分の1が里親に育てられているのですから。
その送迎ルートは頻繁に変わると言います。
生徒がたらい回しにされている証拠なのです。
またトラブルのある家庭からくる生徒達。
学校が言うには、この生徒達に一番問題が多いそう。
フォスターケアにかかる子供は、登校時、カバンの中にちゃんと荷物が入っています。
でも問題のある家庭から来る子はそうではありません。
親のケアが行き届いていないのです。
またランチの時間も、どの子供がむさぼるようにご飯を食べるかもちゃんと見てます。
家でご飯を食べさせてもらっているのか、学校が目を光らせているのです。
そして出席率。
フォスターケアに置かれている子供は出席率が良く、問題を抱える産みの親に育てられている子供は休みがち。
月曜日や、連休明けに登校しない子供は多くいるようです。
年明けは、130人中、20人が登校しなかったと・・・
家庭でそれそで問題を抱えている生徒達。
そんな子供達をサポートする目的で設立された学校です。
学校側はできるだけの事をしてあげようと、いろいろと工夫しています。
登校時には制服をチェック。
指定の服でなかったり、汚れていたりする場合は、そっと別部屋に連れて行き、予備の制服を着せてあげるそう。
またある時、1年生がリュックサックでなく、スーパーのレジ袋で登校してきた時は、新しいバッグを与えました。
(ここで私はウルっときました・・・)
日本は貧富の差が激しくないので考えられないのですが、アメリカでは現実です。
「恵まれないアフリカの子供に募金を」というのを見かけると、いつも「もっと近くにもいるよ・・・」と思ってしまう。
この学校は州の予算が頼りですが、それではとてもこの子供達のニーズに答えきれません。
引っ越しを重ねる子供達の送り迎えだけで、年間約650万円かかるのです。
今年は約2500万円の寄付を頼りにしているといいます。
この記事でニューヨーカーの関心が集まり、目標が達成できればいいなと願います。
オリジナルの記事はこちらです。
New York Times
「Pass the Squishy」