「まえがき」書けました〜
きっといい本ができますよ〜(ご期待ください)
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まえがき
私、丹波篠山のど田舎に住んでいますが、本当は、都会で住みたかったのです。高校の時「こんな田舎を出て行ってやる、きっと都会にはシアワセがあるはずだ〜」と東京の大学を目指しました。選んだ大学の入れそうな学科が哲学科だったので、好きな本でも読んでいれば四年間過ごせるだろうと踏んで、そこを受験。バブル絶頂期の卒後はマスコミを志望し、小さな美術の出版社とその後新聞社に勤めます。締め切りと文字数を守るのに異様にこだわるのはここが原点!
結婚し、なぜか丹波篠山に舞い戻り家を建て子供を産みました。でもずっとしたかったことは「マスコミ(文字業界)への復職」です。それを夢見て、今は辛抱と子育てをしていました。でも、次男のダダさんが3歳の時に「知的障害のある自閉症」と診断されてしまいました。目の前が真っ暗。一番辛かったのは、描いていた自分の人生を諦めることだったのかもしれません(と、そこで、挫折をしつつも、結局12冊も本を出す人生になっちゃったんだけど)。
でも、自閉症も知的障害も知らないし、それまで障害について考えたこともなかったんですから、我が子のためには、勉強するしかありませんよね。そうして、探して、学んでしていくうちに、自分なりに少しずつ理解ができてきました。そんなときに、亡き父が母に、こう言ったそうです。「綾子が哲学を選んだのが、ここでいきるんやな」と。いやいや、いきたかどうかわかりませんが、確かに「人間は考える葦である」ということは実感されました(汗)。考えた考えた。やってみたやってみた。だって自分に「ない(と思っていた)もの」は、想像するしかないから。
ダダさんに知的障害と自閉症という障害があって、人生一転。それをどうこう言う暇もなく、目の前の暮らしに追われます。そりゃたいへんなんですって、自閉症児の子育てって!そして、きっと子供が自閉症でなければ、出会わないであろう人たちに、たくさん会うことになるんです。これをお読みになっている方とも、もちろん出会えてはいないでしょう。そもそも、今は四六時中顔をつき合わせているおめめどうのスタッフとも、同じ町にいてもすれ違うだけだったに違いありません。
おめめどうを始めて10年経った頃、当事者さんもたくさんやってこられるようになりました。巻カレやコミュメモをお使いになって暮らしが楽になり、感動される方も少なくありません。本当にみなさん個性豊かで、どなたもなかなかのワールドをお持ちですよ。まさか、出会うとは思わなかった人たちと出会える、これこそ人生の醍醐味ですね〜。そのおひとりが、コラボで本を出すことになった「もりもとさん」。2年ほど前に、FBで知り合いました。
ある研修会に訪ねてくださり、「もりもとです」と書かれた「おはなしミニ」を渡してくださいました。私の講演はいつもの怒涛のおしゃべり。それを揺れながら聞いてくださっていました。そのあと無謀にも「ご飯を食べにいきましょうよ」とお誘いしたのです。ついてきてくださったのですが「断れない聞き方しちゃったなあ」と反省しましたよ。選択肢がないやん(汗)そして、ぎこちない雰囲気のまま食事が終わり、もりもとさんはポツリと言いました。「食べるなら食べる。話すなら話すがいいですね」。ああ、ほんまもんの自閉症だ〜(笑)。
今回「もりもとさん」と本を出そうと思ったのは、もりもとさんが書いておられた世界が、私がダダさんと過ごしていて、イメージしていた自閉症の世界にとても近かったから。知的障害があるので言葉で話してはくれませんから、どこまでいっても想像でしかなかったダダさんの世界が、その通りだったんだと教えてくれる。それは、彼らのために作った「おめめどうグッズ」「筆談コミュニケーション」が実際必要なものなのだという確信にもなりました。
そして、もりもとさんは「その世界」をけして嫌がっておられない。しんどいこともたくさんあったようですが、「それが自分」ときちんと理解しておられるところです。ともすれば、親、支援者、そして、当事者さんも、ネガティブに捉えがちな業界なので、鬱陶しい話も多い。でも、その中で「それって、どういうことだろう?」と考えて、果敢に(?)チャレンジしておられる姿に非常に感じ入りました。類い稀な人権感覚がおありなのも、人生いろいろありながらずっと表現者をされてきたからかもしれません。
また、お話しする上で(話はすべてチャットですが・汗)、「なるほど!この見方、感じ方が違うんだ!」と発見をしていくからです。(私にとっては)障害のある家族との暮らしでとても大切な姿勢は、いかに「別人格」かという当たり前をわかっていくことなので、その視点(あるいは、指摘)は新鮮でありがたいものでした。
この冊子は、もりもとさんが、三年前から綴られている「自閉症体験シリーズ」の中からピックアップした文章それぞれに、不肖ハルヤンネが500文字のコラムを書かせていただきました。もりもとさんの「その世界」は、本人からの視点で書かれていて、ハルヤンネコラムは、親や支援側の視点です。その違いにも気づいていただけたらと思っています。
今回、文章をいただき、一回だけ読み「この文章からくるイメージ」を「サッと、パッと」17日間で書き上げました。非常に感覚的なものですが、できあがってみると、かなりいいものができた!とまたまた自画自賛。
「自閉症は百人百色」と言われていますから、「私の思ってたのと違う〜」「僕はこんなじゃないよ〜」もあって結構!でも、自閉症のことを知る手がかりの一つには、必ずなりますよ。自閉症の自分の子供ってどうなの? 自閉症のうちの生徒はどう思ってるの? 自閉症の利用者さんはどう感じてるの? そして、どんな手立てをすればいいの? まで見えてくるでしょう。
イラストも、もりもとさんがシンプルに描いてくださっています。とにかく「その世界」を一緒に覗いてみましょう。
♪ようこそ・ようこそ♪
2018年春 奥平綾子@ハルヤンネ