『養生訓』 医は仁心をもって行う(巻六45) | 春月の『ちょこっと健康術』

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「医は仁の心をもって行わなければならない。名利を求めてはいけない。病いが重く、薬では救いがたいとわかっていても、病人のいる家から薬をせつに求められたならば、多く薬を与えて、その心をなぐさめるべきである。病気の診断にたけていて、生死をよく知る名医との評判を得ようとして、病人に薬を与えず様子をみながら死なすのは非情である。医者が薬を与えなくなると、病人はますます失望して生きる力をなくす。それが理というものだ。あわれみをもつべきである。」


「医は仁術」、よく耳にする言葉ですね。『ことわざ大辞典』には、「医は仁愛の徳を施す術である。病人という、いわば弱い立場にある人を救うのが医者の道であって、単なる金もうけの手段であってはならない。」とあります。「医は算術」というお医者さん、昔もいたんですね。益軒先生は、「君子医と小人医」 でも、同じようなことをおっしゃっています。


「薬がもはや効かないとわかっていても、求められたならば応ずるべきだ。薬さえ与えられなくなると、それだけで病人の落胆は大きくなるのだから。」という理屈。そうおっしゃる気持ちはわからなくはありませんが、いつも論理的な益軒先生にしては、ちょっと感情的な印象を受けます。もしかすると先生の身近に、「薬もくれずに見殺しにされた~」みたいな事件があったのかもしれませんね。でも、効かない薬を与えるほうが、かえってからだによくないように思うんですけど…。


『養生訓』の原文はこちらでどうぞ→学校法人中村学園 『貝原益軒:養生訓ディジタル版』


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