『養生訓』 焼酎の飲み方(巻四53) | 春月の『ちょこっと健康術』

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「焼酎には大毒があるので、多く飲んではいけない。火をつけると燃えやすいのをみても、大熱であることがわかるだろう。夏季は、伏陰といって陰気が身体の奥にあり、また服装も薄物であって、酒毒が早く肌にもれてきやすいために、少量ならば飲んでも害はない。夏以外の時季には飲んではいけない。
 焼酎を使って造った薬酒も、多く飲んではいけない。毒に当てられる。薩摩のあわもり、肥前の火の酒などは、焼酎よりもさらになお辛くて熱い。異国からきた酒は飲んではいけない。酒の性味がわからず、製法もあやしいからである。

 焼酎を飲むときも、飲んだ後でも、熱いものを食べてはいけない。辛いものや焼味噌なども食べてはいけない。熱湯も飲んではいけない。大寒のときでも、焼酎を温めて飲んではいけない。大いに害がある。京都の南蛮酒も焼酎から造ったものであり、焼酎に対するいましめと同じである。

 焼酎の毒に当たった場合は、緑豆の粉、砂糖、葛粉、塩、紫雪などを、どれも冷水で飲むとよい。温かい湯で飲んではいけない。」


昨日の「酒と甘いもの・辛いもの」 に続く一文です。いまや、悪い酔いしないとか、翌日に残りにくいとかで、健康的とまで言われて、愛飲家の方も増えている焼酎ですが、残念ながら益軒先生の評価は低いですね。大毒があるとまで言われています。


益軒先生のいう毒は、ここでは火熱の毒のこと。夏場ならば、伏陰の状態だし、薄着だから、火熱のものを飲んだとしても、体内の陰を傷つけることなく、体表から発散できるから少量ならいい。それ以外の季節では、かならず陰を傷つけることになる。という主張です。


当然のことながら、焼酎の火熱を助長するようなこと、すなわち熱いものや辛いものを飲食したり、焼酎自体を温めたりしてはいけないということですね。したがって、焼酎の火熱を解消するためには、解熱作用のある寒涼性のものを、しかも冷水で飲むといいということになります。紫雪(しせつ)は、熱病に使われる漢方薬の方剤です。


ということはですよ、梅酒や杏酒のような果実酒を造るときに、氷砂糖を使うのは、焼酎の火毒をやわらげているとも考えられるんじゃないでしょうかね?そういえば、中国の老酒は、飲むときに氷砂糖入れますね。あれ?老酒は醸造酒だけど??。。。いずれにしても、何であれ、酒類の飲みすぎは禁物ってことですね。

 

『養生訓』の原文はこちらでどうぞ→学校法人中村学園 『貝原益軒:養生訓ディジタル版』


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