『養生訓』 日本人は体気が弱い(巻四32) | 春月の『ちょこっと健康術』

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中華、朝鮮の人は、脾胃つよし。飯多く食し、六蓄の肉を多く食つても害なし。日本の人は是にことなり、多く穀肉を食すれば、やぶられやすし。是日本人の異国の人より体気(たいき)よはき故也。


中国や朝鮮の人は、脾胃が強い。飯を多く食べ、六畜の肉を多く食べても、身体の害にはならない。日本人は彼らと違って、穀物や肉を多く食べると、身体に弊害がある。これは、日本人が他国の人々よりも体気が弱いからである。


六畜とは、六種類の家畜で、馬、牛、羊、狗、豚、鳥のことです。狗は犬ですね。犬が家畜?私たちには「えっ?」と思うことでも、それは単に食文化が違うだけ。中国や韓国には赤犬という食肉用の犬種があるそうです。チャウチャウも元は食肉用だったとか。


広州では、机以外の4本足は何でも食べると言われるくらいですからね。行ったことはないので、実際のところは存じませんが。そういえば、SARSが流行したときに、その原因はハクビシンだと騒がれましたっけ。ハクビシンは、中国名を果子狸というジャコウネコ科の動物です。


「羊頭狗肉」という言葉があります。「羊の頭を看板に飾っておきながら、実際に売っているのは狗(犬)の肉であるようなものだ」という古事から、「見かけを装って内実をごまかす」あるいは「見かけに中身が伴わない」という意味で使われます。ということは、犬は羊より低級に扱われたってこと?


益軒先生は、日本人は体気が弱いからとおっしゃっていますが、これには「梅雨~夏の養生法(脾を調える)」 シリーズでお届けしたように、湿気が多いという日本の風土が深く関わっています。長年の多湿環境下で、大陸の人たちに比べると、脾胃は弱くなっていると考えられます。実際、中国や韓国の人たちの食べっぷりをみると、勝てないなぁと思いますが、どうでしょう?


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