『養生訓』 良医を選ぶ(巻六29) | 春月の『ちょこっと健康術』

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体験して「いい!」というものを中心にご紹介します。
「いいかも?」というものをお持ち帰りくださいませ。

「保養の道には、自分で病気の予防を心がけるだけなく、医師をよく選ぶことも大切である。天下にもかえることのできない父母の身体や、自分の身体を、庸医の手にゆだねるのは危険である。医者の良し悪しを知らないで、父母や子、孫が病気したときに、庸医にゆだねるのは、父母には不孝、子や孫には無慈悲なのと同じである。

 「親に仕える者も、また、医を知らなければならない」という、程子の言葉は当然であろう。医者を選ぶには、自分が医療について十分には知らないまでも、医術の大まかなところを知っていれば、医者の良し悪しはわかるだろう。たとえば、自分で書画がよくできない人でも、基本的な筆法を習っておけば、書画の巧拙がわかるのと同様である。」


庸医というのは、医術のあいまいな凡庸な医者、つまり、やぶ医者のことですね。養生においては、予防するだけじゃなく、良い医者選びも大事とおっしゃるあたり、実証的で現実的なご意見です。そして、医者の腕前の良し悪しを判断するために、医術のおおまかなところは学ぶべきだというのも、なるほど論理的。


別の項目では、「ただ世間にもてはやされている医者が良医とは限らない」というようなことも述べられていて、決してミーハーじゃないところはさすが益軒先生です。そして、これより後に、医師としての心がけや医学書について、また薬や灸法についてなど、けっこう細かく書かれているんです。おいおいご紹介しますね。


程子は、中国宋代の兄弟の儒学者、程顥(ていこう)と程頤(ていい)の尊称です。二人なので、二程子とも呼ばれます。『二程全書』という語録が残っています。


『養生訓』の原文はこちらでどうぞ→学校法人中村学園 『貝原益軒:養生訓ディジタル版』


春月の『ちょこっと健康術』-椿