医説曰、食して後、体倦(う)むとも、即寝(いぬ)る事なかれ。身を運動し、二三百歩しづかに歩行して後、帯をとき、衣をくつろぎ、腰をのべて端坐し、両手にて心腹を按摩して、たて横に往来する事、二十遍。又、両手を以、わき腰の間より、おさへなでて下る事、数十遍ばかりにして、心腹の気ふさがらしめず。食滞、手に随つて消化す。
『医説』 にいう。「食事の後に、体に倦怠感があっても、すぐに寝ることのないようにせよ。身体を動かし、二~三百歩静かに歩行してから、帯をとき、衣服をゆるめ、腰を伸ばして端坐し、両手で心腹を按摩して、たて横に往来する事、二十遍。また、両手で、脇腰の間より、おさえなで下ろすこと、数十遍ばかり行うと、心腹の気がふさがらずにすむ。食滞は、なでさする手に動きにしたがって消化する」と。
『医説』は、南宋の医師、張杲(ちょうこう)の著書です。張杲は、張李明(りめい)ともいい、医家伝や医書・医薬に関連する逸話などを、その内容別に出典も明示して引用しているそうです。
ここでも、昨日の「食後にすること」 と同様に、食後の歩行や導引術が薦められています。つまり、そうするのがいいと、中国古代の医家も言っているのだという益軒先生の主張ですね。