映画を観た友人が、

 

 

 

「よかったんだけど、最後の結論が、

結局やったのか、やってないのか…???」

とモヤモヤしていると聞いたので、

原作に興味をもちました。

 

 

とはいえ、なかなかのボリュームなので躊躇していましたが、

今回、Amazon Audibleをお試ししたので、聞いたのでした。

約10時間…を最初1.7倍、

慣れてきたところで2.3倍くらいまであげて…。

 

友人には

「原作読んだよ。

結論、知ってるけど聞きたい?」

と意地悪してみる予定です。

 

ところで内容、ネタバレは無しで…。

 

酒におぼれ暴力をふるう父。

優しく愛してくれていた母は、

ある日、さよならも言わずにただ出て行った。

 

たくさんいた大きな兄や姉も。

末っ子のカイアは7歳。

一人、出て行くこともできず。

 

母が帰ってきてくれる筈という思いにすがって、

怖い父親を避けながら、

湿地のあばら家で生きるしかない。

 

ある時期、

カイアの歩み寄りから父が変わった。

酒を控えて、父子の穏やかな日々が…。

しかしようやく届いた母からの手紙を見た父は、

ふたたび酒に逃げ、そしてついに帰ってこなくなり…、

おそらくはどこかで命を落としたのだろう…。

 

カイアはまだ8歳…、文字は読めない。

しかも父は母の手紙を焼いてしまったので、

将来にわたって内容を知るすべも、

差出人の住所を知る機会も失われた。

 

カイアはたくましく生きる。

貝を掘って、ジャンピンの店に買い取ってもらい、

ボートのガソリンやトウモロコシ粉や、生活必需品を買うことを覚え、

兄の友人だったテイトに文字や湿地の生き物について教わり、

 

ジャンピン夫婦と、テイトだけが味方。

 

町の人は湿地の住人を蔑んでいる。

見つかれば攻撃されるから、

カイアはほとんど町に出ず、

ひっそりと、野生動物のように隠れて、

湿地で生き、成長していく。

 

並行して語られるのは、

15年後のある男性の死。

 

湿地にある古い火の見櫓から転落し、

町のヒーロー的な存在チェイスが命を落とした。

 

事故か他殺か。

湿地には、

事故の証拠も、事件の証拠も残されていない。

 

潮の干満が証拠を消したのか。

誰かが徹底的に証拠を消し去ったのか。

 

カイアが容疑者として逮捕され、裁判が始まる。

 

このチェイスの死以降の捜査や裁判の様子と、

カイアの7歳からの人生が交互に描写されます。

 

それが起こるとわかっていて、

カイアの年齢も行動範囲もそこにじりじりと近づいていく。

 

サスペンスのように捜査の手が迫ってくるのとは異質なんだけど、

その時に向かってしまう否応のない収束感というか、

時間と場所のピントが合っていく感じというか…。

 

それでいてその時がくると、核心は見えなくなる。

真相は隠されたまま、

裁判でも核心部分は語られない。

 

それでも判決はでます…!

 

映画版は観ていないのですが、

湿地がとても美しく描かれているとのことです。

 

文字だと

どうしても「湿地」というジメジメ感と、

カイアの境遇の暗さや孤独の描写、

人生の袋小路感が強くて、

湿地全体も暗く感じてしまったのですが…。

 

映像で、

美しく見せてもらうのはいいかも。

 

ところで、文字だけでも、

著者が生物…動物学者ということで、

「湿地」や林のリアルな生物の描写がたくさん…。

特に鳥がいっぱい…、で、

わたしは鳥が怖い…。だから、かなりきつかった。

 

ほかにホタル、カマキリの特に繁殖時の雌の残虐性とか…

カマキリの話は知っていましたけど、ホタルも…って。

狐やその他、野生の本能の話…。

 

生き続けるって、厳しい。

 

その後の話、

カイアがテイトを愛したのは本当だろうけど、

信じるとか頼りきるのとは違ってた…んだと思う。

 

読了後も、彼女について

書かれていないことが、

まだまだ、たくさんあるんだろうなと、

あれやこれや、

余白をたくさん感じる作品でした。