しゃばけシリーズの〈外伝〉。
シリーズは数年前まで紙の文庫で読んでいました。
久しぶりです。
本の購入
最近、ノウハウ本や啓発本などお勉強が続いていたので、
気分転換、100%娯楽で楽しむつもりで本を買いました。
今回はkindleで購入。
書籍の購入は、電子書籍も紙の場合も、都度、楽天koboと比較してしまいます。
キャンペーンだったり、日によってポイント率が違ってりしますので。
しゃばけシリーズ
このシリーズはドラマ化されたこともありますし、昨年はアニメにもなったんですね。
アニメ‥‥‥昨年20周年の記念て、知らなかった‥‥‥無念。
記念のアニメ化だからでしょうか? 現在、配信しているサービスはなく、DVDの販売もないようです。DVDのレンタルならあるのかもしれないけど、未確認。
しゃばけのシリーズとは
江戸、日本橋に長崎屋という大店がありました。
そこには病弱で有名な一太郎という若だんながおります。
あまりにも病弱であったために、若だんなは、両親からも、身の回りの世話をするふたりの「にいや」仁吉も佐助からも、ひどく過保護に守られて過ごしています。
過保護で甘い親や周囲にくるまれている若だんなですが、とてもまっすぐにやさしく、聡明に育っておりました。
実は、若だんなの祖母(おたえの母)が大妖怪だったため、若だんなも普通はひとの目に見えない妖怪を見ることができます。父親はふつうの人間ですが、にいやをはじめ、若だんなの身近にいるほとんどが妖(あやかし)です。
妖たちはみな若だんなが大好きで、若だんなを助けたい、力になりたい、褒めてもらいたいと願って行動しています。
ですが、妖の理屈ははどうしてもひととは違っていて、若だんなのためにと思いながら、どこかずれた思いと行動が思わぬ騒動を引き起こしてしまう。それでも最後には若だんなの機転と、みなのやさしい思いによって、災難や難題は退けらえます。
こうして若だんなたちは、たいてい楽しく暮らしています。
今回は外伝です
若だんなは背景として登場するだけ。
身近にいる妖たちの日常や、奮闘が書かれています。
五篇の物語
あらすじ紹介です。
長崎屋あれこれ
一太郎自身が身の回りにいる妖たちを紹介しようと語り始めた物語。
ふだん身近にいるのは鳴家、生まれる前から一緒の屏風の付喪神、庭の稲荷の守狐、碁の相手をしてくれる貧乏神、猫又、鈴の付喪神、夢を食べる獏など。
なにかとどたばたと騒がしいけれど、みな一太郎が好きで、守りたいのです。
ときには、江戸で妖魔を退治たり封印したりの法力の強い高僧も訪ねて来ます。
そしてまれに、強大な力を持つ本物の「神々」と宴会することもあります。
どたばたの毎日だけど幸せで、ちゃんと明日がやってくる。当たり前だけどありがたい日常、のんびりしたお話です。
まったく別の作品ですが、個人的には
「転生したらスライムだった件」の「転スラ日記」と同じ空気。と思った作品でした。似てます。悲しい出来事があったわけじゃないのに、心の底がちょっと切ない、そんなところも一緒です。
はじめての使い
一太郎と縁がある戸塚の猫又たち。
江戸で猫踊りの手ぬぐいを売り出してもらった礼に、きつねの膏薬を届けにいくことになりました。
使いを任じられたのは、長のそれぞれ息子、とら次とくま蔵です。
ふたりとも自分のことを一人前と思っていますが、旅立って早々に金を盗まれてしまいます。
心許なくなったところで、同胞である猫が人間に捕まっていることを知る。猫は皮をはがれて三味線づくりに使われる。見知らぬとはいえ仲間を放っておけない。
猫を助けることに成功するがとら次とくま蔵は人間に捕まってしまう。
そのうえ江戸の長崎屋に強盗にはいる手引きをさせられる破目に。
まだまだ一人前ではないと自覚した猫又ふたりが、半人前なりになんとかしようと頑張る話。
またあおう
いい道具は、大事にされて100年ほども経ると付喪神となることがある。一太郎の身近にいる屏風のぞきは屏風の、鈴彦姫は神社の鈴の付喪神だ。
古くてよい美術品や道具類を持ち寄り鑑賞する会が催される。楽しみしていた若だんなは熱をだして寝込んでしまった。若だんなに様子を話すために、屏風のぞきと貧乏神の金次が会に出かける。
立派な巻物や道具類があつまった会を突然の雷雨と竜巻が襲った。
付喪神になったもの、なりかけた品も、水に塗れて損なわれれば命を失ってしまう。同じ紙でできた屏風のぞきは他人事でなく、金次と一緒に仲間を助け、さらに塗れた巻物や草双紙を長崎屋で預かって修復することになった。
あとで元気になった若だんなが話を聞いてがっかりしないように、そして褒めてもらうために、妖たちは立派に絵や草双紙を修復することができたが‥‥‥。
妖たちが「若だんなならどうするだろう?」「若だんなに褒めてもらおう」そう思って行動しながら、人助け(妖助け)をする物語。
ひとつ足りない
九千坊という河童の大親分が、若だんなとも知り合いの関東の大親分河童、禰々子と知り合ったときのお話。
九千坊はかつて中国にいた。九千の子分とともに植えと寒さから逃れて泳いで海を渡ってきた先、九州で暮らしている。
九千坊がもつ河童の秘薬のひとつに「青い玉」があった。どんな相手とでも話せるようになる薬だ。このおかげで地元の河童とも馴染むことができた。
「虹の玉」を使えば人の姿にもなれる。九千坊はときどき人の姿になって、世間の情報を仕入れたり、好きな酒を手に入れて楽しんでいる。平和な日々だった。
河童は猿と相性が悪い。はっきりいって並みの河童は猿に勝てない。
その猿が「青い玉」を入手したらしい。猿は地元の侍を騙し、河童の討伐に大軍勢を差し向けてきた。
九千坊は仲間をともなって関東へ逃げることにした。
小田原あたりで流されてきた関東の河童を助け、ここでも猿が河童を攻撃していることを知る。
関東の大親分、禰々子が猿と大名に囚われていた。禰々子が深く長い眠りにはいっているところをさらわれたという。
ここまで逃げてばかりの九千坊も、関東の河童を手伝い、禰々子の救出に加わることになる。
かたみわけ
時が流れ、若だんなは世間的には「旦那さま」と呼ばれるようになり、今は仁吉をともなって商いの用事で江戸を離れていた。
長年、江戸の妖魔を封じてきた高僧ふたりも去年今年と相次いで亡くなり、それぞれ代替わりしている。
そのひとり、寛朝の仕事を引き継いだ秋英が困って長崎屋に助けを求めてきた。事情を知らぬ僧が怪異の品を寛朝の形見として信者に与えてしまったのだ。秋英はいそいで回収したが、ひどく危険な六つの怪異が行方不明だという。
若だんなは不在、妖たちは跡を継いだばかりの秋英と協力しあってなんとか怪異を取り戻し、封印する、ことができるだろうか。
ほっこりします
このシリーズには本当の極悪人はめったに登場しません。
今回も河童目線で語られ日本征服をたくらむ猿、自分の代わりに他人を地獄に送り込もうとする幽霊、くらいかな。
「やさしいひとの周りにはやさしいひとが集まる」というか、若だんなのそばにいると妖たちもやさしくなるようです。そのやさしさはどんどん周囲にひろがっていくような、幸せな世界がしゃばけです。
読書記録にしては、すこし内容を書きすぎました。