敬称略で失礼します。
ガイドブック
各物語の解説から
十二国記誕生のきっかけは「魔性の子」。
これはひとりの教育実習生が実習先でかかわった高校生高里の話。
彼にかかわると祟るという噂があった。実際、祟りのように彼の周囲で事故などが相次ぎ、被害はエスカレートしていく。祟りを起こしているのは彼本人なのか?
彼は自分がここにいてはいけない、という。本来は別の世界に属する者のように。
実際に彼は別の世界に属する存在だった。彼自身が忘れてしまっているどこか、その世界も彼を探し求めている。
彼が帰るべき向こう側、こことは違う世界。
「魔性の子」を書いたときに、向こう側として作られていた世界を描いたシリーズが十二国記である。
人物紹介、用語解説、物語年表、世界地図
ガイドブックらしく必要な解説は網羅されている。
とくに物語年表には対応する作品名も書かれていてありがたい。
物語の外、それぞれの背景や裏話もあり
出版の歴史、誕生から新潮社での完全版出版まで。
NHKによるアニメ化。
18年ぶりの新作を前にしたイベントなど。
編集やイベント関係者などそれぞれの視点で書かれている。
特別エッセイや描きおろしイラスト
萩尾望都、辻村深月をはじめ、有名作家(クリエイター)が寄稿している。
そのすべてに十二国記への愛があふれている。
上記萩尾望都をはじめ、9名のそれぞれのイラストあり。
作者のインタビュー
作者、小野不由美自身へのロングインタビューは12ページ。
物語の生まれる過程や人気キャラクター楽俊のモデルについて語られる。
短編「漂舶」
延王と延麒のある1日。
王としてたって100年、愛されていながらもある意味で信用のない王と麒麟。大宰らに軟禁されているような日々を送っていた。ある日、ふたりは結託して朝を抜け出す。別々に向かった先は同じ、ある人物の墓だった。
王は思いを語らない。麒麟はしずかにその場を離れる。
読み手は記憶の中で、ある物語をたどる。「東の海神 西の滄海」
シリーズのファンです
井の中の蛙ファンならではの上から目線です。
ご容赦ください。
特別エッセイ、別の作家さんの寄稿文で涙がにじみました。
分析すると、こんなに素晴らしい同志がいて、こんなに強く十二国記を愛してくれているんだ、と。
アートギャラリー、芥見下々さんが描かれた陽子からしばらく目が離せませんでした。
画集も欲しいけど、本編を読み返すのが先かな。
このシリーズには電子版がないのですよ。