こんにちは!
いかがお過ごしでしょうか。
松山での「カラダでTRY ANGLE」の公演から、あっという間に一月が経ちました。
公演の後すぐに、次のプロジェクトへの準備が始まったため、余韻に浸ってじっくりと振り返らないままに、次へと進んでいる感じがしています。
長い事、ソロでの作品の創作・発表をすることがほとんどだったため、仲間との創作・稽古の日々というのは久しぶりでした。
やはり、仲間がいるからこその気づきも多く、お互いに色々と話し合えたり、経験を共有できたりすることの喜びも味わうことができました。
舞台という空間は、一種の魔法が働くような、不思議な時空が発生する場所だと感じます。
照明や音響という力もあるのと同時に、特に本番は、普段以上に神経が研ぎ澄まされて、集中力も異常に高まることもあるためか、また、稽古中にはいないお客様も同じ空間にいらっしゃるためか、三次元の世界とは違う「ゾーンに入る」感覚があります。
今回も、舞台上で突然自分の影が床に見えて驚き、影と遊んだりしながら動いた場面がありました。
照明や音響との技術リハーサルや、本番同様の最終リハーサルもあったのに、その時には、その影に全く気づかなかったというのが不思議でなりません。
もしかすると、微妙に自分の立ち位置や、共演者の立ち位置が違っていたのかもしれませんが、リハーサルの時からそこにあったのに、自分が気づかなかっただけかもしれません。
演劇の稽古・公演について、恩師が言っていたことをいつも思い出します。
「皆、稽古の時には色々と新しいことを試したり、実験したりする。そのうち、稽古が進んで、立ち位置や、動作やタイミングなどが決定し始める。そうすると、全てが同じことの繰り返しになってきてしまう傾向がある。演劇におけるパラドクスの一つだけれど、俳優にとっては何百回も練習したことだし、次に言うべき台詞も既に決まっているけれど、『役』にとっては、全てが今初めてやっていること、言っていることだ、というのを忘れてしまいがちになる。だから、もちろん全てをぶち壊すわけにはいかないし、行くべき立ち位置には行かなきゃいけないけれど、本番の舞台上でも、ほんの小さなこと ――― 例えば、カップの持ち方を少しだけ変えるとかいうこと ――― において、常に新しいことを試して、新たな発見があるように祈っているよ。」
この、ささやかな遊びは、お客さんや共演者からは、はっきりとは「見えないもの」かもしれません。
でも、自分の中でのハッとした感覚や、遊んで楽しんでいる感覚というのは、別の形で自然と伝わっていくものではないかな、と思っています。
そして、結果ももちろん大事ではあるけれども、そうしたすべての「過程」がとても大切なのではないかと思っています。
稽古の中での鈴木ユキオさんの言葉や、稽古後の帰り道での仲間との会話、そして、ダンススタジオMOGAの皆さんのやさしさと細やかなお心遣いから、本当に多くを学んだ日々でした。
照明、音響担当の方々、舞台の仕込みや撤収をして下さった方々、企画から本番後まで「目に見えないところ」でお仕事をして下さった方々、本当にありがとうございました。
本当に、良き方々との出会いでした。
心から感謝しています。
芸術の秋。
探求は日々続いていきます。