星の王子さまミュージアム | 虹の架け橋のブログ

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演劇、ヒーリング、アメリカやタイでの生活など、日々感じたことを綴りたいと思います。

こんにちは!

3月も瞬く間に去りつつあります。

お元気でお過ごしでしょうか?

 

箱根にある星の王子さまミュージアムが、今月の31日をもって閉園するとのこと。

とても心地良いお気に入りの場所なので、非常に残念です。

 

前回のブログではありませんが、長年、「いつか行きたい」と思い続けていたものの、一時帰国の度に「また今回も逃してしまった・・・。」ということを繰り返していました。

ようやく念願叶って訪れてからは、すっかりその魅力にはまってしまい、以来、何度か伺うことができました。

 

 

 

 

「星の王子様」を初めて読んだのは、恥ずかしながら、大人になってからでしたが、本を読んであれほど号泣したのは初めてでした。

なんだか分からないけれど、とても衝撃的な本でした。

そして、読み終えた後も、物語の一部は様々な謎に包まれていて、消化・昇華する時間が必要でした。

正直言って、今でも物語について疑問に思っていること、不思議に思っていることがいくつもありますが、私にとって、とても大切な、お気に入りの一冊です。

 

 

ずいぶん前のことになりますが、バンコクを訪れていた日本の友人に、話の流れで、「星の王子様」について熱く語ったところ、彼も「星の王子様」の大ファンだと分かって大いに話が盛り上がり、帰国後にバンコクまで日本語訳の本を送ってくれたこともありました。

 

私は、どこの美術館や博物館に行っても、ガイドブックなどに載っている「所要時間の目安」の3倍はかかってしまうのですが、当然のことながら、星の王子さまミュージアムもじっくりと見て回ると、とても一日では物足りなくて、「続きはまた次回・・・」という展開でした(笑)。

 

 

以前、仕事でフランスに滞在した際には、正に「星の王子様」の作者、サン=テグジュペリの足跡を辿ることとなりました。

 

その中で、リヨンにあるサン=テグジュペリの生家を訪れたのですが、その建物では今でも普通に人が暮らしていて、私が玄関で写真を撮っている時に、丁度デリバリーのお兄さんが中に入っていきました。

 

玄関の背の高いドアの上に、サン=テグジュペリの生年月日が刻まれた楕円形の石が飾られていますが、しっかりと探さないと見つからないくらい、街の風景に溶け込んでいます。

実際、私も一度その家の前を通り過ぎてしまい、「この辺りのはずなのだけど・・・」と言いながら、周辺をうろうろと探して、来た道を戻って、ようやく発見したのでした(笑)。

 

 

 

 

 

それからしばらくして、再び箱根のミュージアムを訪れた際、フランスの街並みの中で、ふと上を見上げてみると、なにやらどこかで見たような風景が・・・。

 

記憶を辿っていくと、

「あっ!これは、リヨンにあるサン=テグジュペリの生家ではないか?!?!」と気づいたのです。

 

そして、よくよく見てみると、私の目の高さのあたりに、「Entrée de la maison natale d'Antoine de Saint-Exupéry (サン=テグジュペリの生家の玄関)」と書かれたプレートがありました。

 

さらに、お店の看板のようなものにも、「Maison de Saint-Exupéry(サン=テグジュペリの家)」と書かれているではありませんか!

 

この意外な発見には、小躍りしたくなるほど嬉しくなってしまいました!

 

でも、本当に不思議なのは、受付で頂いた園内マップにも、「その街角に、サン=テグジュペリの生家のレプリカがあります。」とは書かれていないのです。

しかも、小さなプレートも、お店の看板風のものも、全てフランス語のみ。

私もフランス語は分かりませんが、フランス語を知らない人がちょっと通っただけでは、私がリヨンで生家の前を通り過ぎてしまったように、全くその存在に気づかないことでしょう。

実際、私も、これ以前に訪れた際に、園内をぐるぐると歩き回って、何度もその玄関の前を通り過ぎていましたが、全く目に入りませんでした(苦笑)。

本物の生家の記憶が刻まれた後で初めて、その存在に気づくことができたのです。

 

 

園内のレストランでも同じようなことがありました。

こちらのレストラン、「ル・プチ・フランス」も、星の王子様のモチーフがあらゆるところにちりばめられています。

 

物語に登場する、「ゾウを飲み込んだウワバミ」が壁にくり抜かれているのは、とても有名ですが、その他にも、壁にひっそりと星の王子様が描かれたりしています。

 

あちらこちら写真を撮らせて頂いて喜んでいる私に、ウエイトレスの方々が、「ここにもいますよ!」と教えて下さったのは、天井から吊るされた素敵なランプ。

何と、星の王子様の登場人物が、影絵のようになっていました。

そんな細かいところまで!!!と感激していたら、なんとそのお隣のランプも、そのまたお隣のランプにも、別の登場人物を発見し、脱帽でした!!!

 

サン=テグジュペリの生家にしても、レストランのランプにしても、一般的な大人の目の高さにはないし、園内マップにも書いていない。

まるで、謎解きや宝探しのように、気づく人だけが気づいてくれればいい・・・。

企画・設計された方々のそんな遊び心を垣間見たようで、その憎い演出に唸ってしまいました。

 

 

フランス人の知人たちにも星の王子さまミュージアムの話をしましたが、フランスには星の王子様やサン=テグジュペリ専門のミュージアムはないだろうということで、それが日本に存在することにとても驚いていました。

 

そのうちの一人は、小さな頃におばあさまから星の王子様の本を読んでもらい、星の王子様はとても特別で大切な本だと言っていました。

このおばあさまは、お孫さん一人一人に一冊ずつ、星の王子様の本を贈っていたそうです。

 

 

ミュージアムはとてもこぢんまりとしていることもあり、「テーマ・パーク」と思って行くと、物足りないと思う方もいらっしゃるかもしれません。

でも、私にとっては、物語の世界にどっぷりと浸って、目にも楽しく美味しいお料理まで頂ける、とても心地良いお気に入りの場所です。

レストランを含め、スタッフの方々のやさしさや素敵なおもてなしにも、いつも心がほんわかとやわらかくなるようでした。

 

そして、園内の展示ホールは、サン=テグジュペリの人生について、写真などを交えて、とても興味深い情報に溢れています。

 

サン=テグジュペリは、作家であり、飛行機のパイロットであり、まだ飛行機での移動が安全とは言えなかった時代に、パイロットとして郵便配達にも携わっていました。

砂漠に不時着して、現地の人に人質にされてしまった同僚のパイロットを救出するための交渉も行ったりしていたそうです。

学生時代にも、仕事を始めてからも、様々な波乱万丈の展開があったことを知り、訪れる度に、「星の王子様」の作者として世界中の老若男女に知られている人物の意外な一面、いや、一面どころではなく、多面性に感じ入っていました。

 

 

まるで私にとって、「砂漠の井戸」のような存在になったお気に入りの素敵な場所がなくなってしまうのはとても寂しいですが、これからも違う形で、星の王子様の世界を楽しみ続けていければ、と思います。

 

あまりに残念なので、「私が億万長者だったら買い取るのに・・・」と冗談交じりにスタッフの方に言ったところ、ミュージアムに思い入れのあるお客様はかなり多く、同じことを言ったのは私だけではなかったようでした(笑)。

 

改めて、ミュージアムを創って下さった方々、これまで素敵な世界を提供し続けて下さったスタッフの方々に感謝の気持ちで一杯です。

 

 

サン=テグジュペリの魂が、再び大空を飛び回っているであろうことを想いつつ筆を置きます。

 

 

サン=テグジュペリと星の王子様の像(フランス リヨン)