こんにちは。
2018年が始まってから1週間が経ちました。
バンコクは、しばらく少し涼しい日が続いていましたが、また暑くなってきました。
さて、今年は、元旦からパフォーマンスを行いました。
舞台はタイの伝統家屋。
マヒドン大学サラヤ・キャンパス内にある、とても美しい野外の建物です。
元旦にパフォーマンスをしようと決めた時に、パッとこの場所が思い浮かびました。
2018年1月1日の夕暮れ時に合わせて、
衣装を着け、新年のエネルギーとともに踊り始めました。
照明は夕日。
音響は鳥の鳴き声や、水面の揺れる音、風の音。
遠くから、楽器を練習する音も聞こえてきます。
今年初めてのパフォーマンスを終えてふと空を見上げると、
満月らしきまんまるのお月様が!
「わぁ!きれいだなぁ!」と感嘆の声を上げ、写真に撮りたいなぁ!
なんて言っていると、自転車に乗ってやってきた警備員3人に声をかけられました。
タイ語が片言の私には、
「〇△※※☓○○※△~ 先生???」
と言う感じで聞こえ、よく分からなかったものの、彼らの態度からして、
「あぁ、不審者に間違われているなぁ・・・。」と思いました。
そして、「元旦早々、2度目の『逮捕』劇かしら・・・?!」とも。
以前の『逮捕劇』の模様はこちらをご覧ください。
「音楽リレー ~Bach in the Subways 2015より~ 」
それで、何とか、大学で演技の授業を担当していること、もう用事は済んだので帰ります、
と言うことを伝えました。
すると、「〇△※※☓○○ 女性 ※△※※△」と言うので、
「暗くなったから、女性が一人でいると危ないですよ。」と言われているのかと思い、
しかし、「こんな早い時間に、キャンパス内でそんなこと言われるのも不思議だなぁ・・・。
いつも、もっと帰宅は遅いのに・・・。」などと不思議に思いながらいました。
とにかく、不審者と思われている以上、退散するに越したことはありません。
着替えるために別の建物に向かおうとすると、近くにはまた他の警備員2人が出てきて話していました。
「どうやら、問題を起こしてしまったようですね・・・。ビデオに撮っていただけなんですけど・・・。」と言ったものの、がっかりしながらいました。
2015年の逮捕劇を思い出しつつ、「それにしても、アーティストが伸び伸びと表現しようとすると、どうして他の人は不審者扱いするのかなぁ・・・。」と、苦笑しつつも、悲しくなりました。
多くの携帯電話にカメラやビデオカメラ機能が付いて、
誰でも簡単にあちらこちらで撮影することができる昨今、
タイ・ハウスで元旦に誰かがビデオを撮っていようと構わないではないか。
確かに普段着ではないから多少は目立つにしても、誰に迷惑をかけるでもなく、
騒音を出しているわけでもなく、たった3分ほど動くだけであるのに・・・と。
そんな気持ちを抱えながら、しばらくして帰宅しようと、また同じ道を歩いていると、
顔見知りの警備員のランさんに遠くから呼び止められました。
「明けましておめでとうございます!」と言いながら、ランさんの方に歩いていきました。
ランさんは、早朝はバイク・タクシーの運転手、夜は警備員の顔を持つ、働き者のスーパー・マンです。
私は、稽古で遅くなることが多く、彼とよく顔を合わせます。
すると、「また遅くまで練習してるの?」と言われました。
「今日は、元旦だから、新年を祝ってパフォーマンスをビデオに撮っていたんですよ。」と答えました。
すると、「警備員たちが、あなたのことを幽霊だと思ったんですよ。」と言うので、「またまた、ご冗談を!」言うと、それがどうやら本当らしい?!?!
私が野外で稽古することも知っている彼は、防犯カメラを通して、私がビデオをセットしたり、踊ったりしている様子を見て、
「またハルナさんが練習してるなぁ」と思っていたらしいのです。
ところが、しばらくすると無線のやり取りで、「タイ・ハウスに幽霊が出た?!?!」という話が始まったとのこと。
最初、社会学部の駐車場付近で当直をしていた警備員たちから始まり、それが音楽学部の警備員たちにも伝わり、
トランシーバーを通じて、210ヘクタールの広大なキャンパス全ての当直の警備員が、事の成り行きを実況中継で「見守って」いた、とのこと!
私は大笑いでした!!!
それで、全てが腑に落ちました。
白い着物を羽織った私を見た警備員が「女性云々」と言っていたのは、「女の幽霊云々」と言っていたのでしょう(笑)。
そして、ここで授業を担当していると言っても、何だか納得いかないような顔をしていたのも、「幽霊」だと思っていたのだから、
その「幽霊」が喋ったりして、すぐに事情を理解できなかった、ということだったのでしょう。
そして、タイ人は幽霊をとても怖がる、と聞いていたのは本当だったのだ、と身をもって確認することができました。
ランさんは、他の警備員たちが怖がっているのを面白がって聞いていた模様?!
「しばらくしてから、ようやく『あれは僕の友達です』って無線で言ったんだ」と言いながら、ゲラゲラ笑っていました。
何と罪なお方でしょう!(笑)
2人で大笑いでした!
そして、「新年のいいジョークだったね!それに、Good acting!良い演技だった、ってことですよ。
だって、みんな本物の幽霊だって信じたんだから!」と。
私にとっては、元旦から最高の褒め言葉でした!(^-^)
確かに、幽霊だと信じてしまった警備員にしてみたら、元旦早々、非常に迷惑な事件だったかもしれません。
でも、人々の日常に、非日常の瞬間を創り出す、というのは、私の仕事の大きな一部です。
ですから、元旦からしっかりと仕事をしたのだなぁ、ということをひしひしと感じることができました(笑)。
パフォーマーなのだから、元旦からパフォーマンスの仕事をするのが使命と感じた、それだけの理由で、
「新年」という見えざるお客さんに向かって演じるはずが、図らずも、恐らくは100人以上の「聴衆」が、
生中継でこのパフォーマンスを見守ってくれていたことを知り、嬉しい限りでした。(^-^)
求めよ、さらば与えられん、とは正に!(笑)
その晩、友人にこの話をしたところ、タイ・ハウスには幽霊がいるという話は
以前からあったそうで、インターネットで検索すると出てくるそうです。
そうとは知らずに、勝手にその方の空間に侵入してしまって申し訳なかったなぁ、と思いましたが、
そう言えば、パフォーマンスの始めに、空間に入る前にタイ式の手を合わせる挨拶を自然としてから始めたことを思い出しました。
かろうじて、礼儀知らずとは思われずに済んだだろうか・・・?!
それにしても、新年から、時空を超えてどなたかと初共演していたとは!(^-^)
なんだかますます嬉しくなってしまいました。
そんな訳で、元旦 幽霊騒動は無事に(?)幕を下ろしたのでした。
今年も、早速盛大な一年の始まりです!
全ての方々にとって、実り多き、良き一年となりますように!