PERFECT DAYS 人を感じる | 想いを描けば必ず叶う

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「PERFECT DAYS 」

 

「ベルリン天使の詩」が

わからないままだったので、

ヴィム・ベンダース監督の映画、

今回はどうだろうという

気持ちもあって観てきました。

 

 

  説明することしないこと

 

 

 

ヒラヤマ役役所広司はほとんど喋らない。

淡々とトイレ掃除を生業とする人の

日々が毎日同じように過ぎていく。

 

 

そこに至るまでのプロセスは想像に頼る。

妹が訪ねて来て家族の話を一言だけ言って

それでこの主人公の背景がわかる。

 

 

途中の幻想的な映像と最後の言葉がリンクして

テーマはそこかと。

 

もしかしたら、

自分は感動や感涙やオチを期待し過ぎて

いるのかもしれない。

 

 

きっと誰の人生にも、ヒラヤマさんのように

いろいろなことが起きている。

 

でも、たくさんの感情を抱えながらも

たいていは、説明したり論理立てて納得したり

ということがないまま

過ごしてるんだろうな。

 

 

 

  多面性

 

キャスティングが豪華でした。

かつ、脇の役者の力量が

よくわかりました。

 

役作りの浅さとか小道具とか衣装とか、

ちょっとそれはおかしいと

思うところもいくつか。

 

おこがましくも感じることも発見。

 

これは観た人と直接語り合った方が良い。

 

私特有の観方ですから。

全体には役所広司の存在感が引き立つ

「生きる人」の映画でした。

 

 

  人を表現する

 

この映画のことがずっと頭に残ってて、

どうも落ち着きつかない日々を過ごした。

 

まあ、そのくらい深い映画だったということです。

 

「この世界は本当はたくさんの世界が繋がっているように見えても、繋がっていない世界がある…」

冒頭に流れる主人公のモノローグ。

 

 

振り返ると、

あちこちに伏線があって

それが最後に全部繋がるのだと思うけど、

理解不能なシーンもある。

 

もう一つ、気になるのが役者の表現について。

どの映画もやっぱりそこに目が行ってしまう

私の癖。

 

そもそも人には多面性があるので、

それを表現するのはそう簡単なことではないのだ。

 

 

例えば、会社では嫌な上司でも

家庭では優しい良きパパだったり。

 

半グレみたいな若者が

動物愛護に力を注いでいたりとか。

 

怒ると怖いけど慈愛に満ちたやさしい面があるとか。

あくまでも例ですがいくらでもある。

 

 

どちらの姿も真実なわけです。

それで、映画の役で言うと、

いい加減でチャラい若者という設定なら、

いい加減風な喋り方や仕草だけでいいのかというと、

それは一つの面でしかない。

 

 

また、重い病気を抱えていたら、

普段の話し方も常に深刻になるのかというと

そんなことはないはず。

 

 

役作りだけじゃない。

どの表現も自分の人生体験と観察から生まれる。

 

そしてたくさんの面があることに気づく。

この話は尽きない。

私の関心ごとの一つ。

 

昔は深く考えることもなく、

気づかずにそのまま過ぎていったことばかり。

でも、体験を重ねるほどに

色々なものが見えてくる。

大人になるのもなかなか面白いものです。

 

 

  役と役者の身体

 

前から感じていた「役柄と役者の身体」について。

 

主人公は押上のアパートから車で渋谷に行き、

複数のトイレを清掃する。

 

その近くの公園に田中泯演じるホームレスがいる。

ホームレスは身体をくねらせ、踊るような仕草をする。

衣装もアーティスチックだ。

 

田中泯が素晴らしいのは言うまでもないが、

身体能力が高いので、ホームレスの弱々しさを感じない。

 

すっと伸びた背筋、しなやかな手足の動き。

 

ダンサーはいくらでも伸びられるという自由がある。

ホームレスは伸びずに縮こまる。

自由ではない。

 

トイレ清掃人の役所も

背筋がすっと伸びて、無駄なお肉などない。

 

中高年にしては颯爽とした歩き方。

いえ、これは、中高年は颯爽と歩かないという

私の一般化なのかもしれない。

 

 

役作りはどこまでリアリティを求めるのか。

著名な出演者たちは、

その素顔をどこまで出すのか。

 

そういえば、

一昨年に観た「土を喰らう12カ月」の

沢田研二もそうだった。

 

山里に1人住む初老の作家の役。

ステージを飛び回っていたスレンダーなジュリーは

どこにもいない。

 

ゆったりとしながら、

手捌きよく料理をするその手もふっくらとして、

あのジュリーの面影はない。

 

でも、節目がちに淡々と話す、

感情を抑えた会話や、存在全体から醸し出される色気は、

やっぱり沢田研二なんです。

 

その色気は、彼の本質そのもので、

年齢や容貌とは無縁なんじゃないかと思えるわけです。

スターはやっぱりスターだ。

 

役作りの話、あまりに深くて興味が尽きない。

 

 

余談1

 

老朽化した押上のアパートの全景は

斜め俯瞰から撮影されている。

 

 

「シャルウィダンス」の撮り方によく似ていると思ったら、

ヴィム・ベンダース監督は、

あの映画を観て役所広司を見出したそうだ。

 

こういうところで見つけてもらえるって、

実に役者冥利に尽きる。

 

 

余談2

サイトから、田中泯さんの動画のコメント。

言語化が素晴らしいので文字起こしてみました。

ーーー

また今日もトイレの掃除をやっている。

図形のような手紙が差し込んである。

それが次の日にもチラッと見える。

これ毎日に期待があるから。

小さな期待かもしれないけど

それが僕たちの日常に散りばめられているはずなんです。

 

 

木だって毎日違うわけです。

僕らは季節って大まかに分けて

言ってるけどそうじゃない。

 

1日1日なんです。その美しさ。

彼は毎日そこに行って

ベンチに座ってパンの袋を開けて食べて。

 

そうすると

今日だけかもしれないけど猫を抱いた人がいる。

 

それはちっとも不自然じゃない。

なんかの証拠なんです。

毎日違うってことの証拠。

人が1日1日生きてることの

証拠を見せてくれる女性がこっちに座ってる。

 

客席で黙って観てる人たちが

それをどこまで合点しいるのか。

 

あるいは自分と照らし合わたりしているのか。

その行為が観客席で生まれたら

それはもう社会性を持ってるんです。

 

それは普通の映画の、

客の共感を得ようとしてあの手この手を

費やしているのとは違う、

あの一瞬でできちゃうんですね。

 

*写真は公式サイトから借りました

公式サイト

 

 

 

 

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