インドネシア、スマトラ島北端に位置するバンダ・
アチェの海岸で男がひとり倒れている……。
日本からアチェに移住し、NPO法人で地震災害復興支援の
仕事をしている貴子は、息子・タカシと暮していた。
タカシの同級生クリス、その幼馴染でジャーナリスト志望の
イルマが、貴子の家で取材をしている最中、日本人らしき男が
海岸で発見されたとの連絡が入る。
まもなく日本からやって来る親戚のサチコの出迎えをタカシに
任せ、貴子は男の身元確認に向かう。
記憶喪失ではないかと診断された男は、しばらく貴子の家で
預かることになり、海で発見されたことからインドネシア語で
“海”を意味する“ラウ”と名付けられる。
だが彼に関する確かな手掛かりはなく、貴子と共にタカシやクリス、
イルマ、サチコもラウの身元捜しを手伝うことに。
片言の日本語やインドネシア語は話せるようだが、いつもただ
静かに微笑んでいるだけのラウ。
そんななか、彼の周りで不可思議な現象と奇跡が
起こり始めるのだった……。