高度経済成長期の真っ只中、万国博覧会が開催された
1970年。
関西の地方都市の一角で、小さな焼肉店
「焼肉ドラゴン」を営む龍吉と妻・英順は、
静花、梨花、美花の三姉妹、一人息子の
時生と共に暮らしている。
失くした故郷、戦争で奪われた左腕……。
辛い過去は決して消えないが、毎日懸命に働き、家族は
いつも明るく、些細なことで泣いたり笑ったりの日々。
一方、店内は、静花の幼馴染で彼女に密かに思いを寄せる
哲男など、騒がしい常連客たちでいつも大賑わいだった。
「たとえ昨日がどんなでも、明日はきっと
えぇ日になる……」それが龍吉のいつもの口癖だ。
しかし、そんな強い絆で結ばれた「焼肉ドラゴン」にも、
次第に時代の波が押し寄せてくる……。